2008年07月27日

ピノキオたち

 「Garden of Earthly Delights」、歌詞の意味を長い間、取違えていたのかも知れません。今、読むと、Pink Floyd の『Wish You were here』中の「welcome yo the machine」と「Have a Cigar」を合わせたような内容に思えます。
 以前に作った話とは、別のものを、歌詞を元に作ってみます。


 マホガニーの扉が開かれて、僕らは室内に招き入れられた。彼は座っていた。冷ややかな光沢を持った椅子、黒檀で出来ているのだろうか。皮の座面は、彼の体重で深々と沈んでいた。
 僕は、上着に鏤められている宝飾の輝きに照らされている彼の顔を見ると、ピノキオの見世物小屋の親方を思い出してしまった。

「やあ、ぼうやたち、さあ、お入り。座って座って。アハハハハ! ギターのコードは抜いて置かなくっちゃね、ねぇぼうや。」
「さあさあ、話を始めようか。気楽に喋っていいんだよ。チェホフみたいに、気の効いた台詞は言えないって、アハハハハ。構やしないよ。君らが訛ってても平気さ、おじさんはね。」
金色の歯だ。
「ええと、ぼうやたち、始めてかな?」
「まあ、気楽に、葉巻でもどう? ところで、どのぼうやがピンク君かな?」
「まあ、中には、舞台映えしない奴もいてね、はら、耳を片方切り落としたこともあるんだよ。
すると、びっくり、ものすごく格好良くなってね。」
生温い掌で僕の首筋を撫でた。
「ふうん、君らは、問題なしだな。よしよし。」
彼は大きな机から書類を出して来た。
「さあ、『快楽の園』へようこそ!だ。
これこそ、君らが望んでいた人生さ。スターの生活だよね。
欲しいものは何でもある。」
「報酬も莫大さ。けど、…」
彼は窓外へ目をやった。そこには、奇妙な風体のスターたちが沢山いた。
「人を殴っては駄目だよ。お行儀よくね。」
「それから、これが重要なのだけれどね、私ら、事務所の人間が何をしてるかなんて勘ぐってもいけない。私らに口出しするのは厳禁だからね。」
「他のバンドが来て、君たちを蹴落とすのが心配だって、アハハハハ、大丈夫さ。
床は柔らかいからね。落ちたって平気さ。まあ、君らは大丈夫だよ。」
「葉巻はどう? ところで、ピンク君はどの子だっけ?」

 僕らは、こうして書類にサインをしてしまった。後は、ロバになるだけだった。
posted by ノエルかえる at 09:37| Comment(2) | TrackBack(0) | Oranges & Lemons | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月21日

Alfred Williams "Villages of the White Horse"

 『English Settlement』について話す時に、パートリッジは、「シーザーが来る前に、イギリス人が住んでいた。ここからはイギリス人の住む所、と言う目印なのだ」と、アートワークのホワイト・ホースを説明します。
 これは、おそらく、Alfred Williams の『Villages of the White Horse』からなのどと思います。

 Alfred Williams は、1877年生まれで、1930年に没した詩人です。スウィンドン近郊に住んでいたということです。文壇で活躍したのではないようです。ウィキペディアでは、Self-taught scholar・Poet 独学の学者・詩人と。Swindon railway worksで働きながら詩作をした人なのだと。教育も受けていず、幼い頃から労働しなければならないほど、貧しい生活であったようです。ハンマー詩人と渾名されていたということです。
 独学で勉強をしたようですが、オックスフォードのラスキンホールへ英文学を学びに通ったようです。(聴講?) 工場で働きながら、朝四時に起きて、ラテン語、ギリシャ語、フランス語も身につけたそうです。
 13作残した詩集のうち、『Life in a Railway Factory』が、知られた作品ということです。
 鉄道工場ということでしたら、『イングリッシュ・セトルメント』よりも『スカイラーキング』の方が近似のものがあるのかも知れません。

 この郷土の先輩詩人からの影響が、パートリッジ、ムールディングにあるのかどうかは分かりませんけれど。

Swindon web での説明

『Villages of the White Horse』on Amazon.uk

AW Cover.jpg
posted by ノエルかえる at 10:43| Comment(0) | TrackBack(0) | English Settlement | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月20日

Jim Moray 「All You Pretty Girls」

81年、マンスフィールド生まれの、ソングライター、
Jim Moray の2008年のアルバム『Low Culture』に、所収の「All You Pretty Girls」。


on iTunes music store


『Low Culture』on Amazon.jp



Jim Moray のこれまでの作品:
『I Am Jim Moray』(EP)2001、『Sweet England』2003、『Jim Moray』2006。


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2008年07月17日

XTC at playlist.com

イタリアのファンサイト、10ft.のトップページにリンクされていた、
XTC at playlist.com をメモ:
URL:http://www.webalice.it/10ft.it/playlist.htm

XTC at playlist.com

サイドバーのリンク欄にも追加。
posted by ノエルかえる at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月15日

At the Sea

Pugwash 「At the Sea」のプロモーションビデオ。
パートリッジは、映像には出演していませんけれど。



posted by ノエルかえる at 18:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月09日

A Taste of Honey

 Todd Bernhardt さんとの対談の「Rook」の回では、また、映画『A Taste of Honey』のことも、パートリッジは話しています。
 「A Taste of Honey」については、私は、ビートルズが『プリーズプリーズミー』の中で取り上げた歌と言うだけしか知りませんでした。
 Shelagh Delaney が18歳で書き上げた戯曲『A Taste of Honey』があって、
それが、58年に、ミュージカルになり、61年に、Tony Richardson監督が映画にしたものということです。
 歌「A Taste of Honey」は、Bobby Scott と Ric Marlow の共作。ミュージカルの為のものではなくて、『A Taste of Honey』というタイトルに触発されて書いたものなのだそうです。これを、ビートルズも取り上げたのです。
 パートリッジは、映画『A Taste of Honey』の音楽のことを言っていました。映画の音楽は、John Addison。
 YouTube で検索しましたけれど、音楽が聞けるものを見つけることが出来ませんでした。
 映画の予告編(?)に、ビートルズの「Ticket to Ride」を付けたものがありました。バスから、町を眺める様子が興味深いので、



 こちらは、映画の雰囲気を感じられるのではないかと、




iTunesには、John Addison の『Film music』があるのですが、『A Taste of Honey』はないようです。


 『Addison : Film music』 on iTunes


『A Taste of Honey』 IMDb



『The Film Music of John Addison』on Amazon.jp

posted by ノエルかえる at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | Nonsuch | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

Basil Kirchin

 Todd Bernhardt さんとの対談の「Rook」の回で、
パートリッジが、「Rook」執筆中に思い起こした作曲家として挙げているのは、
Basil Kirchin です。

 1927年生まれで、2005年に亡くなった、英国の作曲家です。
ジャズドラマーとして、音楽家の経歴を始め、映画音楽を書くようになったのだそうです。
 リーダーとなったバンドでは、デッカと契約をして、ジョージ・マーティンの制作で録音をしたとのことです。
鳥の声などを使い、イメージ性の強い音楽を作ったそうです。
 彼の実験的な音楽は、後のブライアン・イーノに大きな影響を残したとのことです。


 iTunes にも、何枚かのアルバムがありました。「Rook」を思わせる曲としては、
下の、「Sketch One」などはどうでしょうか?



「Sketch One」 on iTunes


posted by ノエルかえる at 10:22| Comment(1) | TrackBack(0) | Nonsuch | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月07日

イアソンとメディア

 「Jason and the Argonauts」、歌詞には、言葉として出て来るだけのようです。黄金の羊毛を求めて旅をした神話、というだけで使っているのでしょう。
 それでも、このイアソンとメディアの伝説を、小川国夫がいくつかの伝説をまとめてエッセイにした「海鳥のように」をもとに、簡単にたどって覚え書きしておきます。

 ペリアス王に、金羊皮獲得を命ぜられたイアソンは、カウカソスに赴きます。ボスポラスの〈青黒い岩〉を、アテネ女神の助けで何とか切り抜けたアルゴ号は、黒海沿岸のアイア国に辿り着きます。
 カウカソスの山脈は、プロメテウスが青銅の手枷足枷で四肢を岩に留められ、鷲に肝臓を啄まれている所です。
 船からは、生肉を啄んだ鷲が山脈から飛び立つのが見えます。
 アイアの王アイエテスは、イアソンから来訪の目的を聞き、炎の舌と青銅の脚を持つ牛に犁を付けてアレスの野を耕し、大蛇の歯を撒くと、それは武装した兵士となるから、それをすべて打ち倒したら、金羊毛を渡そう、と言います。
 この謁見を、アイエテスの王女でもある、ヘカテを祀る巫女のメディアが見ます。女神の企みで、メディアは、イアソンに恋をします。
 メディアは、コルキスの峰で劫罰にあっているプロメテウスの流す体液で育つ草、プロメテイオンから抽出した薬をイアソンに渡します。これを身体に塗れば不死となり、槍や剣にも振りかければ、無敵となる、と教えます。
 イアソンは、難題を為果せ、金羊毛を手に入れます。アルゴ号が、まだ、停泊している間に、アイエテス王は、イアソンとメディアの企みに気が付きます。メディアは、アルゴ号に向かい、王が気が付いて追手を向けたことを伝えます。そのまま、船に乗り込みます。
 追手の首領は、メディアの兄のアプシュルトスでした。二人は、金羊毛を返すとアプシュルトスを騙し、アルテミスの神殿で、彼を殺します。儀式めいた殺害。イアソンは、汚れた血を浄めるため、死者の手足の先を切り、三度切り口を吸い、三度歯の間から吐き出しました。
 その後も追手を逃れて、パシス河を遡り、ブルガリア、ユーゴスラビアを縦断し、アドリア海に出て、再び、ポー川ヘ入り、ローヌ川を降り地中海へ出ます。アフリカへも渡った後に、ギリシャへ帰還します。
 けれども、帰り着いた故国イオルコスでは、ペリアス王が、イアソンの両親を殺していました。神々の企みは、このペリアス王をメディアに殺させることなのでした。メディアは、王の娘達に、老いた牡羊を切り刻んで大釜で煮ると、若返り子羊になる、と言う秘法を見せます。それを見た娘達は、父王を切り刻み大釜で煮殺します。
 イオルコスの王座を手に入れた二人は、大都コリントスの支配権も得ます。けれども、コリントスの人々には、神憑りのメディアの支配は堪えられないものでした。
 コリントスの人心がメディアから離れる中、コリントスの権力者クレオンが、自分の娘グラウケーとイアソンの結婚を申し込みます。メディアはコリントスから追放とすると言うのです。イアソンは、それを承諾します。
 イアソンから、グラウケーとの結婚を聞かされたメディアは、最後の望みだと言って、二人の間の子供二人を連れて行くことを願い出ます。イアソンは「あの子らこそ胸の慰めなのだから」と、拒みました。
 メディアは、そのまま館を出て行きます。階段を上りながら長男を殺し、屋上で、地上からイアソンが見ている前で、次男を殺します。そして、二人の亡骸をイアソンに投げつけます。

「妻である自分は夫の〈胸の慰め〉ではないのか。その時その時の都合で利用される切り札に過ぎないのか。…愛とは何だったのか、」
別の伝承、メディアは、死んだ息子達をヘラ・アクライアの聖域へ連れて行き、将来息子達が秘教崇拝を受けるために、自らの手で埋葬した。

 XTC の航海が、アルゴ号には似ていなかったと願います。

 メディアの呪いは、すぐには解けず、ポセイドンの聖域イストモスの岸で朽果てていたアルゴ号の船首が崩れ落ち、その時偶然その下にいた、イアソンを打殺したとの、伝承もあるのだそうですから。



posted by ノエルかえる at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | English Settlement | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月03日

やくもいずるの物語

「始まるよー!」
辻でおじさんが叫んでいる。紙芝居がやって来たんだ。
 子どもたちが砂埃を立てながら集まって来た。

 「今日は、ピータ・パン・プキン物語だよー!」
「そんなの知らない、ピーター・パンじゃないの?」
「西洋のお話だからね、それも、TV というものがあった、ずっとずっと昔の話なんだ。
名前を変えておこうか、やくもいずる太郎にしようか、
やくもいずる太郎の話!!」
おじさんは、ハーモニカを吹き鳴らす。お話が始まる。

 やくもいずる太郎が町へとやって参りました。
綺麗な五色の弁を振りまいておりました。
「散華と言うものですかね?」おじさんは、誰に聞いているのかしら?
「花咲か爺さんなの?」となりの子がつぶやいた。
「花じゃないんだよ、有り難い言葉が書かれたものなのだ。ともかく、」
五色の弁を撒いておりました。弁は、水面を滑る笹舟に似て、スイーと飛んで遠くまで届きます。
でも、ほら見てご覧、懐から弁を取り出すたびに、お金を落としておりました。
やくもは、ひもじさを囲っておりました。いずるは、ぼろ家に住んでおりました。
「ふうむ、バチカンの金ぴかって、誰のためのものなのかねぇ?」おじさんの独り言。
町の人は太郎を歓待しおりました。
でも、人々を自分の前で跪かせたい人っているものなのです、いつでも。
太郎は、そんな人の敵愾心の火に油を注いでしまいました。
憤然と!
「どこの誰が太郎を崇めておるのだ!」おじさんはふんぞり返って声を張り上げた。
「わーい!!太郎!!」子供たちの声援は、おじさんの演じる悪代官を打負かす。
町の人々は、みんな、太郎のところへ押し寄せよりました。
寺にも市にも人が居りません。
いずもに話を聞こうと、人々は自分の家へ招きます。その家では、屋根が持上りおるのです。
「何で、屋根が持上るの、太郎は力持ちなの?」と子供の一人。
「人がギュウギュウ詰めで屋根が開いちゃったんだよ。」と子供の一人。
「みんなが笑った息で屋根が飛んじゃったんだよ。」と子供の一人。
「三本の紫の雲が立って屋根を持ち上げたんだろう}と子供の一人。
「ともかく、町の人みんなが太郎のところへ来たんだよ、ある人を除いてね。」とおじさん。
「どこの誰が・・・太郎を崇めておるのだー!!」
お役人たちは、太郎の名前をちゃんと言えません。
太郎は、そんな人の心に憎悪を掻立ててしまいました。
「たろおおう! お前はAV嬢と付合いがあるな!」おじさんは凄みます。
「AV嬢って?」と子供の一人。
「Apple Venus のことだろう」と子供の一人。
「どんな愛も、すべての愛は崇高です。」おじさんは、今度は太郎を演じます。高い澄んだ声です。
ああ!、
言葉では人々を取り戻せない役人たちは、力ずくで太郎を捕まえおりました。
太い樹に釘付けです。
微笑みながら死んで行く様が、TV に映りおりました。

子供たちは、口を開けて呆然としています。
おじさんは目を閉じて黙っています。
それから、子供たちはお互いの顔を見ます。その苦しそうな表情を見ると、途端に、涙が流れ出しました。
町の外れの太い松の樹の枝が風に鳴っていました。
気が付くと、おじさんは煙が消えるようにいなくなってました。
「太郎って、死んだの?」子供の一人が尋ねていました。



on iTunes


posted by ノエルかえる at 09:44| Comment(2) | TrackBack(0) | Nonsuch | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする