2009年08月13日

vanishing girl

 弦を叩くツィター属の楽器を模したような硬質なギターの音で始まる「Vanishing Girl」、石畳の欧州の小路を想起させます。それも遠近法の中に置かれた小路は、その向かう先が消失点へ呑み込まれてしまい、どこだか分からなくなります。あるいは異界なのかもしれません。
 でも、バンジョーのように聴けば、また違う連想が働きますが、、、

 歌は一連が12行、それが二連に、連の最後の二行と同じ音の列が二行加わります。26行。
 歌の言葉の音は、

〔 Someone's /knocking /in the Distance
But I'm deaf /and blind
She's not /expected home/ this evening
So I leave /the world behind 〕
〔 for the /Vanishing Girl
The Vanishing Girl/ year
She'd give/ you a twirl
But she vanishes/ from /my /world 〕
〔So burn /my letters and/ you'd better/ leave Just one/ pint a day
The whole street's/ talking about /my White shirts/ looking /so grey〕

 のように、一行目三音、二行目二音が二度繰り返される部分、「vanishing girl」と言うテーマが現れる部分、五音の二行の部分に別れています。バースーブリッジーコーラスではなく、バースーコーラスーブリッジ、と言う感じです。
 最初は、広い音域で始まって、繰り返されることで、音域が狭められていって、「vanishing girl」と言うテーマの部分では、一旦、硬く収束されます。それが、「from /my /world」で、再び、拡散へ向かい、五音の二行では、流れていきます。
 それは、遠近法の平行線が、収束へ向かい閉じて行き、行き着いた点で、却って無限へ拡散してしまう様子にも思えます。

 ところで、歌詞の内容ですけれど、失恋の歌のようにも聞こえるのですけれど、サイケデリックのアルバムの冒頭を飾る歌なのですから、違ったように読んでみるのも面白いかもしれません。
 私には、気になる言葉もあります。「the man from number four」。アガサ・クリスティの初期の作品で、彼女の意欲的な面が伺えると言われているらしい『The Big Four』。これを連想してしまいました。とは言っても私はその小説を読んではいないのですが。1927 年発表のポアロ・シリーズだけれど、世界征服を企む組織との対決と言う異色作品。その組織は四人の人物が作っていると言うことです。世界戦争の予感というのもあったのかも。ムールディングの「the Affiliated」には、終戦を知らせるBBC の速報も使われているので、連想としては、興が湧くのではと思います。ちなみに、number four は、terminator ということです。
 「runaround」は、アイザック・アシモフの短編小説の題名と同じ。「言い逃れ」の意味もあるのですが。辞書の説明だけでは、実物が分からないのですが、文字よりも細い円柱状のタイプ・プリントのセット。

 代名詞のI と you と he の関係もよく分からないので、読み難いのですが。
読んでみます。


戸を叩く音、でも随分遠くだ。( もしかして、私が叩いているのか? )
私には、もう何も聞こえない、何も見えない。
彼女は家にはいないだろう、今夜は、
私は、「世界」を残していこう、
消え行く少女に、
消え行く少女に「世界」を残していこう。
彼女は、君に、何か飾り文字の書のようなものを渡すだろう。
しかし、彼女は私の関係からは消えている。
君、私の書面は燃やしてくれ、ふむ、君は一日に一パイントは残しておくべきだったね、
そう思うよ。
通りの連中は、私は潔白ではなくて、
灰色だと言っている。
戸口で噂をしているのは知っている、
連中は真相を知っているんだと思うよ。
彼女は、番号四の男には、
暗号文作成機を送っている。
上塗りは剥げてしまった。
私の庭は、草が伸びるままだ。
私は、もう、電話に出るのも億劫だ。

少女がここにいれば、彼女がいなかった時間は忘れられる、
けれど、行ってしまうと、私は、止まったままだ。

と、スパイ小説のように読んでみました。

原詩は、
Someone's knocking in the Distance
But I'm deaf and blind
She's not expected home this evening
So I leave the world behind
for the Vanishing Girl
The Vanishing Girl year
She'd give you a twirl
But she vanishes from my world
So burn my letters and you'd better leave
Just one pint a day
The whole street's talking about my
White shirts looking so grey
People gossip on the doorstep
Think they know the score
She's giving him the runaround
The man from number four
Has a Vanishing Girl
A Vanishing Girl year
She'd give you a twirl
But she vanishes from my world
Yes the paint is peeling
And my garden is overgrown
I got no enthusiasm to even answer the phone
When she's here it makes up for the
Time she's not and it's all forgotten
But when she goes I'm putting on the pose for
the Vanishing Girl
posted by ノエルかえる at 23:24| Comment(5) | TrackBack(0) | Psonic Psunspot | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月12日

EP

 『25 O'Clock』は、EP盤 だったのですね。私は、もうレコードプレイヤーを使わないので、忘れていましたけれど、30 センチなのに、45回転で、戸惑ったことを思い出しました。
 パートリッジは、インタビューで、60年代中期の、サイケデリックのシングルレコードが好きだった、と言っています。アルバムではなしに。特定のバンドというのでもなく、数あるシングルレコードが、パートリッジの魅力の的だったようです。
 玩具好きのパートリッジ、サイケデリックのシングルレコードも、同じような魅力を感じていたのか知ら。




 それから、記録を見ると、『25 O'Clock』『Psonic Psunspot』は、日本での発売はなかったのですけれど、韓国では発売されたようです。韓国では、XTC の発売はないのですけれど。Yeh Eum と言う出版社のようです。(この出版社、姜泰煥のレコードも出版していますけれど。『Korean Free Music』:この録音、日本のサントリーホールなどでも行われていて、チェ・ソン・べ、キム・デー・ファンとのトリオはいつものですが、高田みどりとのデュオや、エヴァン・パーカーとのデュオも。)
posted by ノエルかえる at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 25 O'Clock | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月10日

Through the Hill

 このところは、『Skylarking』を聴くことが多いのですけれど、それに『English Settlement』を聴いたり、でも、今日は、『Psonic Psunspot』を聴いて、『Through the Hill』を聴きました。

 パートリッジとHarold Budd の共作。でも、Harold Buddの作品にしては、とても物質的と言うのか、視覚性が強くて、手触り感がある塊を感じます。バッドの作品は、雲のように、ある面、非在の音楽と言うのか、時間そのもの、取り囲む輪郭がないので初めも終わりも分からない、流れ、それも、方向すら分からない、何か変化があるように感じるだけ、というものだと、私は思うのですけれど、この作品は、鋭い細い線の輪郭があります。それは、パートリッジの仕事なのでしょうか。

 ムソルグスキーの『展覧会の絵』に、倣ったように構成されて、「地理 ( 地勢の図像 )」、「構造 ( 建築物 )」、「人工物 ( 小間物 )」の三部に分けられていて、それだから、視覚的でもあるのですが、『博物館の品』のようです。

 パートリッジは、マッチの小箱の図柄を好きなように、小さな枠に収められた確固としたイメージが好きなのか知ら。



『Through the Hill』 on iTunes store
posted by ノエルかえる at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | Other Recordings | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月07日

画家 Ken White

 スウィンドン出身で在住の画家、壁画家 Ken White 氏。スウィンドンのオールドタウンの住宅の壁面に作品。『The Golden Lion Bridge』が有名。
 78年の作品は、スウィンドン出身の著名人を描いています。詩人のAlfred Williamsなど。
その中に、XTC のメンバーも加えられています。
 今はありません。swindonlink.com の記事に写真がありました。


Imagine_peoples_mural.jpg


 Ken White 氏のホームページ (http://www.kenwhitemurals.co.uk/) のMurals のページにも、写真があります。
上から四段目の一番左。
http://www.kenwhitemurals.co.uk/murals.html
posted by ノエルかえる at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月05日

Nailsea Court

 新しく再版された『25 O'Clock』。嬉しいのは、ビデオが付いていたことです。
そのビデオ、「The Mole from the Ministry」の撮影が行われた、Nailsea Courtを探してみました。Somerset 州にあります。

 800年の歴史があります。今は、五つに分割されて個人の所有になっているようです。

ホームページ:
Nailsea Court - Home Page

google map:


大きな地図で見る

ウィキペディア:
Nailsea Court - Wikipedia, the free encyclopedia
posted by ノエルかえる at 11:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 25 O'Clock | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月04日

Crosswires はビーンビーン

 アルバム『White Music』の頃は、歌詞の意味など考えなかった、と、ムールディングは回想しています。ただ、電気的な音に合う言葉を付けていただけ、と。
 曲想も、爆発して散り散りになったようなパートリッジの作風を追っていたのだ、と。音楽の核心がチャーリー・パーカーなどのビ・バップ・ジャズにあるパートリッジには、こうしたエネルギーの爆発形態のような音楽は自然なものでしたでしょうが、ブラック・サバスなどの“ロック”が音楽の始点であったムールディングには、追い付き難いものだったかもしれません。
 それは、歌詞にも同様で、ビ・バップと同調するモダンな感覚、人工的で幾何的、無機的な美、エッフェル塔やコマ割りされた ( 画面的にも語りに於いても寸断されている ) コミックに代表される、そんな感覚の言葉から創り出されるパートリッジのイメージを、ムールディングは追っていたのでしょう。

 そんなムールディングの書いたものからアルバムに選ばれた「Cross Wires」、歌が作られた正確な順序は分からないのですが、使われている言葉からは、パートリッジの「Radio in Motion」から生まれたものでは、と思われます。Radio (wave) や China など。
 テーマも、子供であった彼らが、チューニングの合わないラジオから聞こえて来る “おかしな音” に夢中になっていた様子で、両方の歌に共通です。

 歌詞は、本人が何を言っているのか分からない、と言うものです。意味を取り難いのですが、おおよその見当をつけてみました。

歌詞は、Idea のサイトから、

It's the airwaves of the world
Not the hairwaves on your head
Oh But anything can be
On land and in the sea
When you've got
Crosswires
When you've got Crosswires
Everything is Buzz Buzz
Everything is Beep Beep
Strange things happen everyday
It's confusious the Chinese say
Brings a nation to its feet
It's them people that you meet

拙い訳です:
これは「エアーウエイブ」、世界を回る電波だ、
エアーウエイブ! 君の頭にあるのは髪の毛の波、ヘアーウエイブだよ、違うさ、
でもね、でもね、なんでもできるんだよ、
陸でも海でもね、
アンテナを持っていればさ!
針金を交差して作ったアンテナさ!
聞こえるだろう?
ブズー、ブズーて言っている、
ビーン、ビーン、って、何もかもこの音さ、
毎日、可笑しなことが起こるんだよ、
混信だこれ、って、中国人は言うけどね、違うさ、
ええと、抑揚は、脚韻にあるのさ、
君が会ったろ? あれが連中さ。



「Crosswires」、
「Cross wire」と言う名詞はあります、「十字線」です。光学機器の中で、対象に焦点を合わせるために垂直に交差した線のことです。
この語と、「cross hair」とは同じものを指しています。
歌詞では、これを洒落に使っているのだと思います。
それで、「Crosswires」は? 分かりません。ラジオと言うことで、アンテナだと読みました。

「Brings a nation to its feet」、
私には意味不明です。ですので、nation は、intonationに読み替えました。


 ともかく、ブズブズビープビープと音が鳴って面白い、と言う歌です。



posted by ノエルかえる at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | White Music | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月01日

Only to freeze in a total eclipse

 このところ、聴いているのは、『Skylarking』ばかり。今日から八月ですし、Summer's Cauldron の頃なのですけれど、まだ梅雨のままで、とても、Copper な八月ではありませんけれど、先日には、日蝕もあったので、「Another Satellite」の「Only to freeze in a total eclipse」の行が耳に留まります、でも、音として、耳に響くのは、orbit で、反返った浮遊感か、あるいは、彎曲した天体の環から振り飛ばされる感じがあります。
posted by ノエルかえる at 22:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする