2011年01月31日

Funk Pop a Roll 訳

 パートリッジの「 Funk Pop a Roll 」。

 この歌が、たぶん、パートリッジが書いた最初のミュージックビジネスへの批判の歌だと思います。

 この歌は、メロディーは、ジャズ的です。アレンジもそれに合わせて、ブラス隊が使われているようです。( あるいはキーボード ) 私は、この歌に続けて、「 Extrovert 」を、ジャズのビックバンド編成で演奏したら、とてもアグレッシブになると思います。デューク・エリントン楽団のように。

 この歌は、パートリッジのミュージックビジネスへの批判の歌であると同時に、アンディ・パートリッジと言う音楽家は、その資質がロック・ミュージックにはまったく反するものであったのに、若くしてデビューしたために、おそらく、自身の勘違いもあって、ロック・ミュージックの舞台に上がってしまったことへの悔悟でもあるのではないかと、私は思います。



拙訳です




ファンク・ポップ・ロールがボクのこころを叩きつぶしたんだ、
で、つぶれたボクのこころは、ナパーム剤のようにゲル状になって、
みんなのラジオのスピーカーの格子目から漏れでるんだ、
で、きみたち、ベイビーたち、進んで奴隷になるようなベイビーたちの、
口から入って、反対側の背中まで通っていくんだ。

ファンク・ポップ・ロールがきみらみんなを破滅させるんだ、
って、ディスコから取ってきたいろんなアヘンをきみらは吸い込むからね、
で、きみらが食べるのは全部ゴミ。
でも、飲みこむのは簡単、味はしないから。

ミュージックビジネス業界は、みんなの目をへっぽこ役者に惹きつけるんだ、
って、音楽の餌でつるんだ。
ミュージックビジネス業界は、みんなの目をへっぽこ役者に惹きつけるんだ、
きみたちに要りもしないものを売りつけて、大儲けなんだ。

ファンク・ポップ・ロールなんて、浅瀬で動けなくなった魚のためのもの、
「音楽」って、着せ替え人形をいつまでも持っているような、
「こども」のためのものなんだ。
「若さ」というのは、ミュージックビジネスにとっては、
「思い違い」と言う意味なのさ、
こどもにはパンが必要なのに、
ミュージックビジネスは、無理にケーキを食べさせるんだ。

ファンク・ポップ・ロールの唯一の目的、
って、ミュージックビジネスの目的は、みんなを
きみたち自身の穴にハンマーで釘付けしとくことなんだ。

で、ボクの歌を聴かないで欲しいんだ、
って、ボクは、もう、ミュージックビジネスの毒に冒されているからね。
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2011年01月30日

Me and the Wind 訳

 パートリッジの「 Me and the Wind 」。

 言葉自体のイメージからは、『不思議の国のアリス』を連想させられます。

 これを、テリー・チェンバースのことを歌ったものと言うファンもいるのだそうですけれど、それはないと思います。たしかに、『Mummer』以前の歌では、チェンバースのドラミングに枷をかけられていたと言う面もあるのでしょうけれど、でも、それは、その後のXTC の歌を前提に言えることです。
 ここでは、相手を縛り付ける女から解放された男を歌っているだけだと思います。それは、解放であるのに、やはり失恋なのです。

 歌は、まずコーラスが歌われて、それからヴァースと言う構成です。演劇的にも思えるのですが、一人称の語りのみになっています。



拙訳です、



私は風、君の負けを喧伝している、
私は風、凧を揚げ樹々を揺すり、君の負けを喧伝している。
私は風、君の敗走を喧伝している。
私は風、今、自由を感じている。これまで、
空気がそうであったろうよりもずっと自由だと感じている。

君が蜜へと私を誘引したあの時には、
私はただ、私が歩む道はなんて素敵なのか、
と思うばかりだった。
私は、まるっきり分かっていなかったのだ、
そう、私は、藻掻き苦しむ夏の蝿のように、
甘美だったにしても、それに分からないほど緩徐だったにしても、
溺れ死のうとしていたのに、それが分からなかったのだ。
私は、それほどに愚かだった。
私は、君の窓辺に腰掛けていたのだ、
君が鞭を甲高く鳴らしていると言うのに、
その音を聞きながら、私は腰掛けていたのだ。

私は風、君の負けを喧伝している、
私は風、凧を揚げ樹々を揺すり、君の負けを喧伝している。
私は風、君の敗走を喧伝している。
私は風、今、自由を感じている。これまで、
空気がそうであったろうよりもずっと自由だと感じている。

君が、春の調べの拍子に私を嵌め込んだあの時には、
私はただ、浮かれ兎の行進のように輪を描いて、
踊るばかりだった。
私は、まるっきり気付かなかったのだ、
そう、猟師女の兎狩りの針金が兎を絞めるようにように、
君の罠の中の装置は、
私を絞め殺そうとしていたのに、それが分からなかったのだ。
私は、それほどに愚かだった。
私は、君の窓辺に腰掛けていたのだ、
君が鞭を甲高く鳴らしていると言うのに、
その音を聞きながら、私は腰掛けていたのだ。

私は、今それを抜け出したのだ、そして、戸口で叫んでいる。
「人を殺しかねない愛から解放されたんだ!」
私は解放感に酔って歌うべきなのかもしれない、
けれど、その解放感と言うのは、舵を失った船にいるようなのだ。

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2011年01月27日

Human Alchemy 訳

 パートリッジの「 Human Alchemy 」。
ロンド形式、あるいは、ぐるぐる繰り返す呪文。

 fires、flailed、wick(ed) と、火に関係する語を使っているのですが、この歌では、まだ、それを全体に機能的に使っているのではないように感じます。けれども、錬金術の工房の火をイメージしているとは思います。

 「 flailed 」、鞭で打たれた、の意味ですが、揺れる外炎のイメージも感じますので、それを重ねて読んでみました。

 「 Blood 」は、血の色でもあるのですが、黒人を指す語でもあるので、そちらで読んでみました。



拙訳です。



それはある種の錬金術、人間から金を得る術。
英国人は、アフリカ人から自由を奪った、そして、彼らを売り物に。
そして、彼らの黒い肌を交換に出したのだ、
一番眩しい黄金の表装と。
それはある種の錬金術、人間から金を得る術。

英国人は、黒いアフリカ人を石炭にして、貿易の炎を熾した。
そして、無垢の精神の鞭打たれる肌、振幅激しく揺れる火炎から
財を成したのだ。
それはある種の錬金術、人間から金を得る術。

向こうの土地は、あらゆる品物で満ちた倉庫と成った。
英国人のすべきことは、そこに行って取って来るだけとなった。
雨の色を持ち帰った、それは黒人の色、その雨は、英国の邪な産物を増やしたのだ。
黒い色を持ち帰った、それは英国のケーキの上にまぶされた。

英国人は、アフリカ人の赤ん坊を、母を、酋長を、勇者を奪った。
英国人は鞭を持っていた。けれども、自明なことだ、
本当に奴隷なのは、英国人であることは。
人間から金を得る術の奴隷なのだ、英国人は。
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2011年01月23日

Deliver Us from the Elements 訳

 ムールディングの歌「 Deliver Us from the Elements 」。


拙訳です。




人々は、播種することだけは出来る。
それからは、種が成長して、
食卓を満たすのに十分な食物になる様子、
そして、流れる水が排水溝を下る様子、それらを見守るだけ。
そして、人々は食べれるだけ食べれる。
けれど、雨が降らなかったなら、
作物は実るだろうか?

主よ、人間を悪天候から守りたまえ。
人間はあなたの慈悲心に依っているのです、司祭様。
主よ、人間を悪天候から守りたまえ。
人間は何の守りもないのです、人間は無力なのです。

人々は、遥かな国々へと旅することは出来る。
誰も耐えられないほどに暑い所へさえ。
人々は、砂嵐にも拘らず高峰を極めることも出来る、
けれど、母なる自然は、それを気にも留めない。
もし、太陽が輝くのを止めたなら、
この世界は凍えてしまうのではないだろうか?

主よ、人間を悪天候から守りたまえ。
人間はあなたの慈悲心に依っているのです、司祭様。
主よ、人間を悪天候から守りたまえ。
人間は何の守りもないのです、人間は無力なのです。

今や、この世界は衰えてしまった。
今や、人間の脳で考えられる以上のことがあることを、人々は気が付いてしまった。
ああ、自然こそ法だ。
今や、人間は、昔と同様に、無力になってしまった。
もし、太陽が輝くのを止めたなら、
この世界は凍えてしまうのではないだろうか?
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2011年01月20日

Love on a Farmboy's Wages 訳

 パートリッジの「 Love on a Farmboy's Wages 」。歌詞は、この後の作品『 Skylarking 』の「 Summer's Cauldron 」や「 Earn Enough for Us 」に分裂して繋がって行くように思います。


 拙訳です。





高く、昇天する夏の太陽。
高く、屹立する穀物の穂。
そんな今日、今晩、僕の仕事が終わったなら、
二人で君の父さんの荷車を借りよう、
二人で食事をして、そして、結婚を決めよう。
すぐにだよ、お前、すぐにだよ、僕の愛しい人。
羊毛でを儲け出したこの僕には、一シリング。
大量の乳を絞り出したこの僕には、一シリング。
養わなければならない妻がいるこの僕には、一シリング。
一体どうすれば、農夫の収入で愛を育めるのだろう?

深く、降り積もる冬の雪。
深く、雪の下に眠る子羊。
そんな今日、今晩、月が満ちて満月になる前に、
二人で僕の羽毛の蒲団に座ろう。
二人で一杯のワインを飲んで、そして、結婚を決めよう。
すぐにだよ、お前、すぐにだよ、僕の愛しい人。
羊毛でを儲け出したこの僕には、一シリング。
大量の乳を絞り出したこの僕には、一シリング。
養わなければならない妻がいるこの僕には、一シリング。
一体どうすれば、農夫の収入で愛を育めるのだろう?

みんなは、僕が描く絵も、僕が彫る彫刻も、
物にはならないと言っている。
僕だって、出来るのなら、お金持ちになりたいんだ。
だけれど、僕がこなせる仕事は、ただ、この農場の仕事だけなんだ。
農夫の仕事だけなんだ。
それは、僕の腰を傷めると言うのに。

二人で君の父さんの荷車を借りよう、
二人で食事をして、そして、結婚を決めよう。
すぐにだよ、お前、すぐにだよ、僕の愛しい人。
羊毛でを儲け出したこの僕には、一シリング。
大量の乳を絞り出したこの僕には、一シリング。
養わなければならない妻がいるこの僕には、一シリング。
一体どうすれば、農夫の収入で愛を育めるのだろう?
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2011年01月14日

Wonderland 訳

 ムールディングの「 Wonderland 」。



 「 In your direction 」は、パートリッジも「 This is Pop ! 」で使っていました。
 その面では、幾何的な感覚もありますけれど、「 fast car 」「 cramp 」「 slip 」と、自動車に関連した語があるのは、自動車好きのムールディング的なのかもしれません。

 「 fast car 」、速い車なのでしょうけれど。Fastback car : 後尾が流線型のアメリカの乗用車のことも、含意しているように思えます。その上に、 fast には、断食の意味もあります。次の行の make you grou up と関連させれば、その意味までも含意しているように思えます。

 「 out of depth 」は、自分の能力を超えた状況に陥っている状況を言うときに使われます。



拙訳です






君には見えないのかい?
慕情や恋情が
君の行く道に
置かれていると言うのに。
君といえば、不可解な不思議の国に取込まれているのだから。
霞だけを食べるような流線尾の自動車は、
君を育てられることなぞ、出来はしないのに。
それなのに、世にいる紳士たちを、
君は一人で独占していると思っているなんて、
君は、心地いい不思議の国に自分を幽閉しているんだね。
僕のような候補にも入らない男は、君の流儀を急に変えるなんて出来ないんだね。
僕は、君の候補には、平凡で単純すぎるんだ。
ある日、君は自分の呪文から解き放されるだろう、
そしていつの日か、君は、僕を自分のものにと望むだろう。
そうしたら、僕は言うんだ、「ようこそ、現実世界に!」って。

君が本当だと思っていること、
紳士達の低い身分との恋の遊びというのは、
みんな、夜更けのパーティーの戯言なんだ。
その戯言は、君の魔法の不思議の国に入ると、消え失せてしまうよ。
身に余ること、
身の程を越えたことを夢見ている、
そんな君の人生の一時期は、
ただ、通り過ぎるために来ると言うのに。
そして君は、物悲しい御伽の国に囚われてしまう。
今は輝いている富豪達も、いずれ、没落するものなのに。
君は何の障害もなく歩を進めている、でも、実は、
そのすべての瞬間に、君は、その没落の時に近づいているんだよ。

君は、不可解な不思議の国に取込まれている。
君は、面に映っているだけのありもしない御伽噺に囚われている、
不思議の国に。

ある日、君は自分の呪文から解き放されるだろう、
そしていつの日か、君は、僕を自分のものにと望むだろう。
そうしたら、僕は言うんだ、「ようこそ、現実世界に!」って。
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2011年01月08日

fast car

 ムールディングの「 Wonderland 」の歌詞に出る、「 fast car 」。
fastback ではないかと思います。車体の後部が、緩やかな流線型になっている自動車です。1930年代ごろから、アメリカ合衆国で造られ出した自動車の形です。

 アメリカの Owls Head Transporation Museum にある、1935年の Stout Scarab 社の自動車:

Welcome to the Owls Head Transportation Museum's Online Collections Catalog


35StScarab.jpg

300px-Scarab_OHTM.JPG
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2011年01月04日

Beating of Hearts 訳

 パートリッジの「 Beating of Hearts 」。

 前のアルバム『 English Settlement 』の「 Knuckle Down 」の続きのように思えます。

 歌詞にある「 hatred 」と言う語、この語の中にある、red / 赤 と言うイメージは、日本語に移しても残したいと思いました。
『 Hatred 』( 英語のタイトル 、原語では、Ненaвисть ) と言う、ソビエト時代の映画がありました。1975年公開、Самвел Владимирович Гаспаров ( Samvel Gasparov ) 監督、ニキータ・ミハルコフ 脚本。



拙訳です


君たちは、あの音が何だか分かっているのかい、
毎朝、ベッドから君たちを起き上がらさせるあの音だよ。
それは一番向こうの丘の斜面から聞こえて来るものかもしれない、
それは君たちの頭の中で鳴っているものなのかもしれない。

君たちは、その音をこれまでずっと聞いているんだよ。
そして、その音は、この世界で、君たちが聞いて来た音の中で、一番大きな音なんだ。
そして、その音は、君たちが考えられるどんな世界の中でも、一番大きな音なんだ。

国道を行く戦車の音よりも大きな音。
空を行く爆撃機の音よりも大きな音。
緋の憎悪がたてる音よりも大きな音。
漆黒の暗夜から私達を踊り出させるもの、それは愛のリズム。
それは、鼓動で力強くなるんだ。

ああ、だけれど、君たちは、もうその力を持っていたことに気付いていたのかい、
鼓動に合わせて鳴り響く音はずっとそのまま。
その音を間違って使わないように、
だって、鼓動が奏でる音はいつでも、心地よい音なのだから。

君たちは、その音をこれまでずっと聞いているんだよ。
そして、その音は、この世界で、君たちが聞いて来た音の中で、一番大きな音なんだ。
そして、その音は、君たちがこれまで訪れたどの世界の中でも、一番大きな音なんだ。

愛を欠いた心と言うのは、歌詞のない歌のようなもの、
それに、誰も聴いていない曲のようなものなんだ。だから、
君たちの心には、愛が生まれなければならないんだ、そして、
葉々の上の雨のように輝いている自分たちに気付くんだ、君たちは煌めいているんだよ。

独裁者の思想よりも大きな音。
剣戟の金属音よりも大きな音。
小銃の弾丸装填よりも大きな音。
軍司令官の号令よりも大きな音。
国道を行く戦車の音よりも大きな音。
空を行く爆撃機の音よりも大きな音。
緋の憎悪がたてる音よりも大きな音。
漆黒の暗夜から私達を踊り出させるもの、それは愛のリズム。
それは、鼓動で力強くなるんだ。
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2011年01月03日

Train Running Low on Soul Coal 訳

 パートリッジの「 Train Running Low on Soul Coal 」。

 この歌は、列車が歌っていると言う設定です。機関車トーマス風? ですので、「 Shake you Donkey up 」同様に、不正確な英語なのだと思います。

 「 dreamsvill 」と言う語、アメリカの南西部で地名に使われる、- ville ( Nashville のような ) を使った言葉遊び。

 余計な感想ですけれど、この歌詞、まるで次の『 Skylarking 』のセッションの苦難を予言している様にも思えます。


拙訳です





ぼくは列車、たましい石炭でのろのろ走る。
人間たちが押したり引いたりするのは操縦するため、ぼくは機関車。
人間たちはそんなことしちゃいけないよ、いやだ、いやだ、いやだ。
そんなことしないでよ。

ぼくは列車、ゆめ蒸気でのろのろ走る。
人間たちは警笛を強く引っ張る、ぼくに悲鳴を上げさせるため。
でも、人間たちはそんなことしちゃいけないよ、いやだ、いやだ、いやだ。
そんなことしないでよ。

ぼく思うんだ、冬の間は南に行こうって。
ぼく思うんだ、内奥寒地にいたら気が塞いでしまうって。
ぼく三十歳、若者でないし、年寄りでないし、その間。
ぼく犬ころ、言われたことをする。
でも、ぼく、もう石炭はないと言われた。
古くなった機関車にはないって。
ぼくは列車、たましい石炭でのろのろ走る。

ぼく思うんだ、冬の間は南に行こうって。
ぼく思うんだ、西に行こうって、そこなら、ぼくの最高速度、
這うほどになるから。
ぼくの線路はまっすぐ。壁に向けてまっすぐ。
人間たちは、その壁に古い機関車をぶつける。

ぼくの世話をしてくれる人たち、みんな出て行った。
想像力は梱包されて送り出された。
だから、ぼくが血を流している傷がどこなのか、ぼくは分からない。
傷は留めねじじゃないかな、割れてるんじゃないかな。

ハンマーが振り下ろされる。
全車輪のブレーキが金切り声を上げる。
ぼくとからっぽのニ両の客車は、
まだ、丘を滑り降りている。
次の停車駅は、生憎、ドリームス・ヴィルだって。

ぼく思うんだ、冬の間は南に行こうって。
ぼくは列車、たましい石炭でのろのろ走る。
posted by ノエルかえる at 12:26| Comment(0) | TrackBack(0) | The Big Express | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする