2007年06月11日

アルバム『Go 2』

 ロック音楽、ジャズもですけれど、は、もともと黒人のものだと言われることが多いようです。けれども、それは、あまりに表面的なことだと思います。ロック音楽も含めて、ジャズ音楽を演奏していたのは、主に黒人の人たちであったことは、そうなのですけれど。
 ここで言う、「黒人」は、合衆国に住んでいるアフリカ系移民のことですけれど。
 「黒人」の音楽と言うのならば、その音楽は、黒人独自の文化の上にあることが前提されます。そうすると、当然、移住させられた土地での変容はあるとしても、アフリカの文化(それも土地土地で多様でしょうけれども)が、その基盤でしょう。ところで、ジャズ音楽(ロックを含む)を素直に聴いて、それがアフリカ文化のものに聴こえるでしょうか。
 ジャズ(ロック)は、コンボなどの編成で演奏されます。この編成は、明らかに西洋的です。オーケストラや、四重奏と相似です。アフリカ文化の音楽とは、違っています。(南アメリカ大陸で発生したものは、アフリカ的な面があるのですが。) 
 ジャズ(ロック)は、アフリカ系の人びとが独自の音楽を継承、発展しようとしたものではなくて、西洋(白人)の文化に寄りかかって生まれたものではないでしょうか。西洋の楽器と、その編成を使って、白人達の音楽を聞きながら作られたものだと思うのです。
 無論、それは、西洋の音楽作法を正式に学んで、と言うものではありません。我流に模倣したものでしょう。ですから、ジャズ(ロック)音楽は、西洋の周辺文化の音楽の一つだと考えた方がよいでしょう。欧州大陸では、西洋文化の中心に入ることが出来ないロマの人びとが、西洋文化を反転させた鏡像のように映していました。それと、同様に、西洋式社会に圧迫されながら、それから逃れられることの出来ない黒人移民達は、西洋音楽を、張子のように、手に取ったのではないでしょうか。
 また、ジャズそしてロック音楽のそれぞれの中心となる楽器は、サクソフォーンであり、エレクトリック・ギターです。サクソフォーンは、19世紀半ば、エレクトリック・ギターは、20世紀に作られた新しい楽器です。双方とも、西洋の工業化された社会の中で作られた楽器です。もちろん、黒人(アフリカの人びと)の文化からではありません。
 ジャズ(ロック)が、西洋(白人)の音楽だとします。では、その特徴を、普遍性に見ることが出来るでしょう。それは、オーケストラ音楽が普遍的だということと同じです。(だから、ジャズ(ロック)は世界中で受容されたのでしょうか) 
 普遍的と言うのは、外在化された定式を持っているということなのですが。目に見えやすい構造があるということです。構造が明かであると、それを、一人の意図で操作が可能になります。(オーケストラを一人の指揮者が指揮するように) それは、その集合が一つの目的を持っていることを明示化もしているのです。工場が、そうであるようにです。
 ロック音楽が、8ビート、16ビートと言うリズムで拘束されているのは、このような構造を、社会から投影されていると共に、工場の出す規則的な(機械が出すのですから)音を反映しているのでしょう。

 『Go 2』は、この構造の究極の姿なのではないでしょうか。そうではなくて、構造だけを抜き出したものなのか知ら。
 その上、XTC は、構造化を、外在化される定式に留めることなく、各楽器パートにまで及ばせています。歌のリズムに合わせて、各楽器が伴奏するのではなくなっています。各楽器パートも、それぞれ独立に構造化されて定式を持つようになってしまいました。それが、ミニマリズムの風貌をもたらせているのでしょう。
 『Go 2』では、主役である歌、一人の意図、はなく、分散する世界があるのです。それは、わたしたちの世界の見方の変化と対応するかのようです。技術の展開に従って、身体全体でなく、細胞の次元、そして、その細胞の分子の次元、で見るようになって、一人を複雑な系で包括される群だと見ることに似て。
 そのような感覚のこのアルバムは、XTC という、数式、あるいは記号のようなバンド名に、最も相応しいアルバムではないでしょうか。


Album deatails: Idea

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posted by ノエルかえる at 15:17| Comment(0) | TrackBack(0) | Go 2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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