2017年02月15日

ベルナール、パートリッジ対談「 All Of A Sudden (It's Too Late) 」7

ベルナール「今この歌をお聴きになって、ご自身、直ぐに、耳に付くことは、何かありますか?」
パートリッジ「初期の声の死、と言うことですかね。「過度に激しく歌おうとする」声が、今にも消えようとしている様子が、貴方にも聞かれるでしょう。」 
ベルナール「どういう意味ですか?」
パートリッジ「歌うのに、切り詰めた感じで歌っているのです。ちょっと、気取った感じですね[ 原文では、mannered と言う語を使っています。 ]。でも、まあ、これ以前のアルバムでの程には、気取っていないのですけれど。どう言う訳だか、この曲では、そうした切り詰めた感じの箇所がたくさんあるのです。この歌にはとても不釣り合いなのですけれどね。歳を重ねてから、今日、初めてこの曲を再生して聴いたのです。それで、「これは、僕が『 White Music 』『 Go 2 』『 Drums and Wires 』の時の声じゃないか!」と、私は思ったのです。おそらく、『 Black Sea 』でもそうだったのでしょうね。ですけれど、この歌の時の声は、もう死に懸っているのです。この歌い方の最後の喘ぎの様です。このアルバムでは、私は、もっと、自分らしく歌っているのですから。」 
ベルナール「ちょっと待って下さい。「気取っている mannered 」と言うのは、「お上品な」と言うことではありませんよね、「あざとい affected 」の意味ですね?」
パートリッジ「ええ。態とらしいのです。無理やりやっているのです。それでですね、このアルバムの幾つかの曲で、私は、私自身の声を発見したのでしょう。これ以降のアルバムでは、自身の声を見つけられた、と言うことは確実です。今では、そう考えていますよ。歌い手は、自分自身の声を見つけなければならないのです。デビッド・ボウイの三枚目か、二枚目までのアルバムを聴いてご覧なさい。ボウイは、まるで、アンソニー・ニューリーですよ。[ イギリスの歌手。1931年生まれ、1999年没。映画『 007 』の主題歌、「ゴールド・フィンガー」で知られる。 ] 私も同じなのです。最初の二枚のアルバムでの私の声は、バディ・ホリー Buddy Holly [ アメリカのロックンロールの歌手。 ]とスティーヴ・ハーレイ Steve Harley [ イギリスの歌手。1951年生まれ。大道芸からロックミュージックの歌手になった人。 ]の間の子なのです。」 
ベルナール「 ですけれどですね、貴方の活動歴のほとんどの期間に於いて、私が、歌手としての貴方に大きな印象を持っているのは、貴方が、ご自身の声を一つの楽器として使っている、と言うことなのです。勿論、歌の内容と流れに沿ってのことですけれど。それで、この「 All of Sudden 」の場合は、その事の好事例だと思います。と言うのはですね、この歌の貴方の声は、まるで流れる様なのです。多くの箇所で、音符で表記される音から、逸らせています。そうすることで、歌の悲し気な性格を強調しているのです。」
パートリッジ「でも、今日、私は考えていたのです。どうして、私は、外連味なく歌わなかったのか、もう少し絶望的に歌えば良かったのではないか、と思いました。そう言う性質の歌なのですから。おそらくは、歌に小さくても何か生命感のあるものを注入しなければならない、と感じていたのでしょう。そうしなければ、歌は、単に、厭世的で暗いものになってしまいますから。」 
ベルナール「ステージでの演奏を意識していたのではないでしょうか? 貴方の声を噴出させないといけないですからね。そこで、いくらか吼えるわけです。」
パートリッジ「いいえ、それはないですね。気取った声から脱却し始めたときだったのだと、思いますよ。気取った[ mannered ] 声と言うのは、「諸君は私を忘れ様が無い。何故ならば、諸君が忘れることのない声を、私は作り出したからだ。」と言うものです。それが、この歌には、まだ残っているのです。」 
ベルナール「その通りですね。それで、フェイド・インする導入部の所で、貴方は、「 ai ai ai ai 」と歌っていて、それに、ブリッッジ部分では…、」
パートリッジ「ああ、あれは、ハニーバス Honeybus の「 I Can't Let Maggie Go 」から取ったものです、そうだと思うけれど。」 
Honeybus - Wikipedia 
The Honeybus* - I Can't Let Maggie Go (Vinyl) at Discogs
ベルナール「それで、ヴァース部分の一行目と三行目では、声にエコーがたくさん掛かっていて…」
パートリッジ「ええ。運命的な雰囲気、破滅の兆しを思わせるものを付加しているのですね。」   
posted by ノエルかえる at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | English Settlement | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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