2017年10月15日

The Monochrome Set 「 Lost In My Own Room, Dreaming 」訳

 モノクローム・セットの13枚目のアルバム『Cosmonaut』の最後の歌。 

よく分からないのだけれど、
歌詞カードを元にして:   


瞼と閉じると、いつも私は、はっきりと分かる、 
私はタクシーに乗っている、聞き覚えのない声、
病院の一室で催されるパーテイーに急いでいる、 
ここに居たことはない、と、ちゃんと断らなければ。 

輝く身体の人物が、何人か、私の側を滑り抜ける、 
私は蒼褪め怯えさせられる、白い綿布に包まれて、 
彼らの手が私を透明なチューブ群に繋げてしまった、 
私はここに戻って来たのだろうか、ずっと居たのだろうか。 

自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
私の足首に当たる日光が、私をこの次元に繋ぎ止めている、 
自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
血流の中に散在する、幾つもの色が、私を火照らしている、 
私は覚えを無くする。 

暗い劇場で上映されている、
私は、映画なのだが、演技途中で止められる、 
ロボットのくちなわが私の側で必殺の蜷局を巻いている、 
ここで目覚めようとは、誰も思わないだろう。 

自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
息が一吹き私の顳顬に掛けられて、私をこの掛替えの無い瞬間に結びつける。 

自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
奴隷の叩く太鼓の音が、 
この生命を束ねていると思われるガレー船をまだ保たせている、 
私は覚えを無くする。  

瞼と閉じると、いつも私は、はっきりと分かる、 
私はある部屋にいる、微笑みを浮かべた面々、 
レーテー川の慈悲で、何もかもを忘れる霧から、覗いた顔だ、 
私たちはいずれレーテー川に行かなければならない、 
今日は何をすべきなのだろう? 

自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
他の場所からの音楽が、私をこの次元に繋ぎ止めている、 
自分の部屋で私は覚えを無くする、夢を見てる、 
日光の包帯に包まれた彼は、素っ気なく、私の目を眩ませる。 
私は覚えを無くする。  




Lost In My Own Room, Dreaming

When I close my eyes, I wake up
In a taxi with strange voices
Racing to a party in a hospital room
I have not been here before, I have to say

Lucent bodies gliding past me
Pale and frightened, in white cotton
With their arms connected to transparent tubing
I'll either be back, or I am here to stay

Lost in my own room, dreaming
And a sunbeam on my ankle anchors me to this dimension
Lost in my own room, dreaming
And the colours in my bloodstream keep me glowing in
suspension
I am lost

Playing in a dark theatre
I, the movie, paused, mid-action
Robot serpent lays its mortal coils inside me
Nobody would want to wake up in this way

Lost in my own room, dreaming
And a breath upon my temple ties me to this precious second

Lost in my own room, dreaming
And the beating of my slave drum
Keeps this galley lifebound reckoned
I am lost

When I close my eyes, I wake up
In a room with smiling faces
From a fog of nothing, by the grace of Lethe
Where shall we go to, what shall we do today

Lost in my own room, dreaming
And the music from another anchors me to its dimension
Lost in my own room, dreaming
And the swathing of the sunlight dazzles he with bleak
intention
I am lost

posted by ノエルかえる at 13:33| Comment(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月07日

The Beatles 「 She's Leaving Home 」訳

 ポール・ビートルの「 She's Leaving Home 」。 
 「 A Day in the Life 」を訳そうかと思ったら、「 She's Leaving Home 」をまだ訳していなかったことに気がついて。  

 元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」: 
She's Leaving Home | The Beatles 

Alan W. Pollack's Notes on "She's Leaving Home" 

She's Leaving Home | The Beatles Bible   



週も半ば、すい曜日、朝の5時に、その日が始まる。 
しずかに寝室のドアを閉めると、 
思いがまるまま伝わればいいのにと思いながら、置き手紙を書いて、…  

ハンカチを握りしめた少女は階段を下りて台所へ入った。そして、 
勝手口の鍵を音を立てない様に回す、そして、 
外へ踏み出すその時、少女は軛を離れていた。 
少女は、 
家を、 
離れて行く… 
何年も恋人から離れて過ごし、とうとう、家を出て行く。 

「私たちは人生のほとんどをあの娘に割いた。私たちは人生のほとんどをあの娘に捧げた。私たちは金で購えるものは何でもあの娘に与えた。」 
「お別れ…」 

父が鼾をかいて妻が目を覚まし部屋着を羽織った。そして、 
廊下に出ると階段の最上段に手紙が伏せてあり、そして、 
ひとり立ったままそれを拾い上げる、そして、 
その場に泣き崩れて、夫に叫んだ。「貴方、私たちの娘が出て行ったわ。」 
「どうして、あの子は私たちをそんなに考えなしだと思うのかしら?」 
「どうやって、私にこんなことをして見せたのかしら?」 

少女は、 
家を、 
離れて行く… 
何年も恋人から離れて過ごし、とうとう、家を出て行く。 

「私たちは自分たちのことを考えたことはない。自分たちのことなど唯の一度も考えたことはない。爪に灯を点す様にしてどうにか暮らして来た。」 
「お別れ…」 

週も終わり、きん曜日、朝の9時に、少女は夢見る目付き。 
待ち続けている、自動車の売り買いをしていた男と 
交わした会う約束を信じ切っていたから。 

少女は、 
喜びを、 
今抱えている、 
何年も断って来た特別な喜びを心の内に抱えている、 
少女は家を離れて行く…  

「私たちがした何が間違っていたのか? 私たちがしたことが間違いだなんて分かりもしなかった。金では購えない唯一の物、それが喜びだ。」 
「お別れ…」 
posted by ノエルかえる at 09:00| Comment(2) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月30日

The Monochrome Set 「 Cosmonaut 」訳

 モノクローム・セットの13枚目のアルバム ( XCT よりも多い ) に収められている、巻頭の歌で、アルバム溶いとると同じ歌。 

歌詞カードを元にして。 



氷河の表面に浮かぶ灰色の石礫が作る一本の線の端に落ちた、 
そこには魚が一匹、そして赤い弾丸に見合う血が流れていた。 
彼女は宇宙に見入っている。 
彼女はそこに数十年いた。灼熱、凍寒、降雨に耐えて。 
その分老いている筈、けれど、同じに見える。 
そしてまだ、彼女は宇宙に見入っている。 

地球を周回している、私は心地いい。 
水の様にぬるりとした光りが私の宇宙服を包んでいる、私は輝く。 
回転している私を見てくれ、私は回転している。 
私は、宇宙・船乗り。 
何もかもが燃えている、燃えている。 
宇宙・船乗り、私は… 

制御卓に光が当たる、点滅し、閃光を放ち、消えて行く。 
ベルトに膿を食み出させた異星人がいる。 
そして、彼女は宇宙に見入っている。 
ボタンを押す、情報を取り込む、スクリーンにメッセージが現れる。 
司令室から: 申し込みは全て準備完了 
そして、彼女は宇宙に見入っている。 

私はこの惑星を自由に周回している。 
サインとコサインが私の周回を正常に展開させる。 
回転している私を見てくれ、私は回転している。 
私は、宇宙・船乗り。 
何もかもが燃えている、燃えている。 
宇宙・船乗り、私は…   


Cosmonaut

Down at the end of a line of grey tills
There's a fish and blood fitting that's full of red pills
And she stares into space
She's been there for decades, through fire, ice, and rain
She must have been younger, but still looks the same
And she stares into space

Orbiting around the globe, I feel fine
Liquid shimmers on my robe, I shine
Look at me turning, turning
Cosmonaut, am I
Everything's burning, burning
Cosmonaut, am...

Light on the console pulsate, spark, and melt
There are aliens sticking matter on the belt
And she stares into space
Push button, scan, messages on the screen
From control: " There are offers on everything green "
And she stares into space

Orbiting around the planet unbound
Sine and cosine spin my sanity round
Look at me turning, turning
Cosmonaut, am I
Everything's burnng, burning
Cosmonaut, am...

posted by ノエルかえる at 17:11| Comment(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

The Beatles 「 Lovely Rita 」訳

 ポール・ビートルの「 Lovely Rita 」。

 Meta Davis さんと言う婦人警官に、マッカートニーは出会ったそうで。それから、婦人交通警察官をアメリカで「 meter maid 」と言うのを新聞で読んだそうで。 

 構成は少し変わっていて、最初にブリッジが置かれている。ブリッジ/第一ヴァース/ブリッジ/第二ヴァース/ブリッジ。 
 ブリッジの語り手とヴァースの語り手は、分けられている。ブリッジの語り手は客観的な立場。ヴァースの語り手は主観的な立場。時制も変えてある。実際は同一人物かも知れない。 

最後のブリッジの a wink は、最初のブリッジの「 it gets dark 」と関連づけて、「星の瞬き」の様に訳した。
また、最初のブリッジの tow も駐車違反に関連づけた。 

英語は、人称変化が少ないので、困ることが多いけど、 
Got the bill and Rita paid it, /
Took her home, I nearly made it, / 
Sitting on the sofa with a sister or two. のところも、そう。 
Got が一人称なのか三人称なのか分からないし、Sitting の主格が何なのかも分からない。 
それに、所有代名詞が付けられてないので、home とsister が誰に属しているのかも分からない。 
まあ、歌としては、第二ヴァースでは、最初の三行の一行目と3行目に、Took her / Told her と使って、
二つ目の三行の真ん中の二行目に、Took her と使うと言う、音の面白さが主眼なのだろうけど。 

まあ、兎に角、 
元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
Lovely Rita | The Beatles
Alan W. Pollack's Notes on "Lovely Rita"
Lovely Rita | The Beatles Bible  





( 道化の語り ) 
ほがらかリタ、メタ・メイド。 
私たちの間には、何も起こりそうにないですね、 
暗くなりましたら、「本官」はあなたの「ハート」をレッカー移動しましょう。 

( ある男の語り ) 
僕がリタを一瞥したのは、 
彼女がパーキング・メーターの側に立っている時だった、 
彼女専用の白い官製用紙に違反切符を書込む最中だった。 

制帽を被っていたので、ずっと大人っぽく見えた。 
肩から斜に掛けた鞄は、 
彼女の外見を少々軍人風にしていた。 

( 道化の語り ) 
ほがらかリタ、メタ・メイド。 
慇懃に私が伺いを立てたらどうでしょうね、 
「空いたお時間がありましたら、私とお茶でも如何かです?」って。

( ある男の語り ) 
ハートを射止めようと、僕は、彼女を呼び出した。 
ディナーの間中、朗らかに過ごせた。そして、 
どうしてもまた会いたいと、僕は、彼女に言った。 

勘定を取り上げて、リタが、支払った。 
自動車に乗せて、僕は、彼女を連れ帰った。そうしたら、 
僕の妹と一緒にソファーに座って、下の妹も加わって、…。

( 道化の語り ) 
ああ、ほがらかリタ、メタ・メイド。 
あなたがいないと、私はどこに「駐車」すればいいのか分かりませんよ、 
お空で地上の私たちに点滅して見せて下さいね、そうすれば、 
私はあなたを思い出します。 
posted by ノエルかえる at 11:54| Comment(4) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

Brian Eno 「 St. Elmo's Fire 」訳

 セントエルモの火は、サミュエル・コールリッジの『老水夫行』にも登場するので、そうすると、『 Black Sea 』にもちょっと関連するかな、と思って、、、 
 実は、ただ、the cool August moon と言う語を思い出しただけだけど、、、 もう九月、、、 

元にしたのは、イーノのホームページの「 Lyrics 」:
Brian Eno's Another Green World - Lyrics  



私と月見草は疲れてしまっていた。 
ずっと歩いては這い上りまた歩いて来たので、 
ヒースの茂みを、茨の茂みを、 
終着点のない迷路の中を歩いて来たので、 
青い八月の月光の中、 
涼しい八月の月光の中で。 

夜の間中、夜の終りの到着線を越えるまで、 
私たちは気持を昂らせ続けていた。 
高速道路に載って町々を通り抜け、 
四方に雷鳴が轟く嵐を通り抜けて、
八月の二度目の満月の日の、 
涼しい月光の中で。 

私たちは砂漠で落着いた。 
砂漠では、骨が歯の様に白かった、本当に。 
それに、私たちはセントエルモの火を見た。 
大気にイオンを振り撒いていた、 
青い八月の月光の中、 
涼しい八月の月光の中で。    



Brown Eyes は、植物の Chylismia claviformis の意味もあって、それも面白いな、と思って、 
でも、日本では何と言うのか全然分からないから、月見草にしておいた。 
月見草と言うあだ名の人物でも良いし。 
Chylismia claviformis - Wikipedia
posted by ノエルかえる at 15:38| Comment(2) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月26日

Slapp Happy 「 Slow Moon's Rose 」訳

 Slapp Happy 『 Acnalbasac Noom 』の「 Slow Moon's Rose 」の訳。アンソニー・ムーアの歌、歌詞も。顔ジャケットの手書きデザインの歌詞を元にして。 

手書きデザインの歌詞をそのまま写すと: 
SLOW
MOON'S
ROSE
~ Now
That the slow
moon's rose / on a
silver trellis grows,
Where arctic rivers froze,
now that the ocean is frozen
in motion, snow morning
comes. And the birds on the
wing / have nothing left to
sing / blown in blue glass
like a schooner held
fast / on the ice.
Beside that river
where I picked,
the slow moons
rose -- I wached
the evening
--- Wither
with a
jewel at
the end of my
nose. Tell - tale
snails leave their
trails, running from
hunter's black blunder-
bus under the sun.   



銀の蔓の上に、遂に、遅咲きの 
月薔薇がふくらみだす。 
北極圏の川は凍りだす。 
遂に、海は動いていても凍っている、雪の朝がやって来る。 
広げた翼で飛んでいる鳥は、 
もう、歌う歌がなくなった。
海に落ちた草は、帆船の様に高速を保ったまま、氷の上を吹かれて行く。  

その遅咲きの月薔薇を摘んだ川の辺りで、私は、 
たった一つの宝石の所為で宵が萎えるのを、この鼻先で観察した。 
蝸牛は猟師の喇叭銃から逃れようとするけれど、 
陽の下に明らかに這った跡を残して、秘密を漏らしてしまう。 






意味は私には分からない。シューベルトの『冬の旅』の「春の夢」も思い浮かんだけど、 
Slow Moon's Rose / Frühlingstraum: ノエルかえる不恵留 
訳して見ると、『星の王子様』の感じも。 
それに、「 The Secret 」にも繋がっている様で、アルバム全体が一つの物語りなのか知ら??? 
posted by ノエルかえる at 14:36| Comment(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

Slapp Happy 「 Charlie 'n Charlie 」訳

 Slapp Happy 『 Acnalbasac Noom 』の「 Charlie 'n Charlie 」の訳。ブレグヴァドの作詞、たぶん。作曲はムーア、たぶん。顔ジャケットの手書きデザインの歌詞を元にして。 

手書きデザインの歌詞をそのまま写すと: 
CHARLie
'N CHARLiE

are twins. You can
never tell where Charlie
ends & Charlie begins -------------
The search is on, Charlie looks
for Charlie in vain, no game,
'cos Charlie 'n Charlie are the
same.
Collecting driftwood down by the shore,
Charlie thought he'd open a store...
Across the sands / his first customer
approaching on his hands, ( tin cans ) ---
Charlie faced Charlie like a man.
I saw Charlie jump & holler / when Charlie
dropped a dollar down his collar ---------
" You spoiled my neck! It'll never be the
same again --- ( no blame ) -- 'cos your neck
& my neck are the same."




チャーリーとチャーリーはソーセージ。 
きみは分かんない、どこまでがチャーリーで 
どこからがチャーリーか。 
調査は継続、チャーリーはチャーリーを調べるの、
でもなんにも、途中でやめた。 
だって、チャーリーとチャーリーは同じだもの。 

海岸に降りて集めるのはリューボク。 
チャーリーは思ったの、お店を開けば 
好いじゃない、って。 
砂山越えて。チャーリーの最初のお客が 
接近中、手には、( ブリキ カン )。 
チャーリーはチャーリーを直視したの、男らしくね。 

ぼくは見たよ、チャーリーが飛び上がって叫んだの。 
チャーリーが1ドルコインをチャーリーの 
襟口に落したからね。 
「僕の首を駄目にした! 
もう元に戻らない、( そうだろう ) 
だって、君の首と僕の首は同じなんだから。」って。 
posted by ノエルかえる at 00:00| Comment(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

The Beatles 「 Yesterday 」訳

 ポール・ビートルの「 Yesterday 」。
元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」
Yesterday | The Beatles 





乍ちの一日。私を捉えようとする紛糾は地平にも現れてなかった。 
目前の一日。紛糾は黙したまま私を捉えて離しもしない様だ。 
ああ。私は、乍ちのあの一日が、まだ、どこかに在ると思っている。 

忽然と、私は半身を失ってしまった、それまであるのが当然だった半身。 
私に覆い被さる陰が差しているのだ。 
ああ。日が変わる変わり目に、忽然と落ちて来たのだ。 

妹が行かなければならない理由、私には分からない、 
妹は言おうともしなかった。 
私は言ってはならない重大事を漏らしたのだ。 
ああ。私はあの一日を思い頻るばかりだ。 

乍ちの一日。恋は獲易い獲物だった。 
目前の一日。私には隠れ家が必要だ。  


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2017年08月16日

Slapp Happy 「 Half-Way There 」訳

 Slapp Happy 『 Acnalbasac Noom 』の「 Half-Way There 」の訳。ブレグヴァドの作詞、作曲も。顔ジャケットの手書きデザインの歌詞を元にして。 

手書きデザインの歌詞をそのまま写すと: 
HALF-WAY
THERE

He's only half-way
there, he's only half-
way there. Told
me my fortune was
enough for me --
that I would
rather be lying
lonely in the houses
that stand along
the river-side, wearing
nothing but the ruby
bequeathed to me
by him when he died.
He's only half-way there,
he's only half-way there.
One look at his visage will
tell you so -- all you need to know is
There in black & white, printed on his brow.
He has told me why when where but he never told
me how -- he's only half-way there, he's only half-way there. First time I turned and ran away from him -- I
could not begin to feel the feelings that I felt he felt then.
If he hadn't disappeared in spring that year I'd have sent
him back home again. He's only half-way there, he's only half-
wy there. A large courtege of mourners all agree that it was
really he -- huddled in a blanket, chewing on a ball-point pen. They
stood him up against the wall & set him off again around the
karmic wheel... big deal -- you can't get me that way. I read be-
tween the lines of the notice in the Times & this is what they say:
He's only half-way there, he's only half-way there, half-way there, etc.





彼はまだ往生してないの、逝ってないわ。 
言ったのよ、わたしの財産は十分だって、
それなら、わたし、川に沿って立ってる 
十二宮に、ひとりで、寝そべってたいわ、 
死んだ時遺してくれたルビーだけの裸で。 

彼はまだ往生してないの、逝ってないわ。 
彼の相貌を一目見れば、分かると思うの。 
額に白黒で印されたもので判別には十分。 
言ったのよ、なぜ、いつ、どこで、と言うことは、 
でも、どうやって、と言うことは、全然言わなかったの。 

彼はまだ往生してないの、逝ってないわ。 
最初、わたしは、踵を返して彼から逃げたの。 
あの頃、彼の苦痛にわたしが気付いているとの思いに考えが及べば良かったのに。 
あの年の春、彼が姿を消さなかったら、 
わたしは、かれを家に送り返してたわね。

彼はまだ往生してないの、逝ってないわ。 
会葬者の大行列の誰もが、認めたわ、 
毛布にくるまって、ボールペンに噛み付いているのが、彼だって。 
会葬者たちは、彼を壁に立て掛けたわ、そうして、回る輪廻へと 
彼を送り出したの、おっきな松板ね、わたしはそんな風にはしないでね。 

わたしはね、いつも、タイムス紙の訃報の行間を読むのよ、 
書いてあるのはね、こうよ: 
彼はまだ往生してないの、逝ってないわ。 
posted by ノエルかえる at 00:00| Comment(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月22日

The Beatles 「 When I'm Sixty Four 」訳

 ポール・ビートルの「 When I'm Sixty Four 」。マッカートニーがデビュー前の少年期に書いていたものだけれど、『 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 』の契機になった歌ということ。ヴィクトリア時代のブラスバンドというコンセプトの。マッカートニーの父が、1902年生まれで、1966年には、64歳だったと言うこともあるそう。マッカートニーは、フランク・シナトラが頭にあったと言うことだけれど。 

まあ、 

元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
When I'm Sixty Four | The Beatles

When I'm Sixty-Four | The Beatles Bible    





僕が年とって、髪がなくなって、 
ずっと先だよ、でもそうなっても、 
やっぱり、君は、ヴァレンタインと 
誕生日に、カードとワインを贈ってくれる気持があるかな? 

僕が後十五分で三時と言う時刻まで外出してたら、 
君は戸に鍵を掛けてしまうかな? 
僕が六十四歳になっても、君は、 
僕を必要としてくれる? 掻き立ててくれる? ふふ 

君も年を取るよ、 
ああ、約束してくれるなら、 
僕は、絶対、君と一緒にいるよ。 

君の部屋の電燈が消えちゃっても、 
僕は、上手に、ヒューズを替えられるよ、たぶんね。 
君は、たいてい炉辺でセーターを編む毎日だろうね、 
日曜の朝には、それで、遠乗り。 

庭を造って、草抜きして、 
こんなに頼める人いるかな? 
僕が六十四歳になっても、君は、 
僕を必要としてくれる? 掻き立ててくれる? 

毎年夏には、別荘を借りるのが好いね、 
ワイト島がね、高くなければだけど。 
倹約して貯めとかなければね、僕たち。 
君の膝には孫たちが載ってるんだ、 
ヴェラ、チャックにデイブだよ。 

絵葉書を送ってよね、 
一行添えてね、見解をはっきりと。 
思うことをはっきり書いてね。 
敬具、年々老いる僕より。 

回答を下さい、下の空欄にチェックを入れてね、 
僕の永遠の恋人さんへ。 
僕が六十四歳になっても、君は、
僕を必要とする ( )
僕の気持を掻き立てる ( )   






7月23日訂正: 
老い耄れより → 年々老いる僕より
posted by ノエルかえる at 14:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月21日

Slapp Happy 「 Dawn 」訳

 スラップ・ハッピーの「 Dawn 」。 
 顔ジャケットのインナースリーブの手書き風デザインの歌詞カードを元にして。そのままの感じで、書き写すと、     





Dawn, He's in a post -
card of the dawn,
Where the knives of
light have left the
dark night tattered &
torn / The firmamental
cars on the highway of
the stars are doing ninety
( for your love ) -- He's in a
corner on the right, the sole
survivor of the night -- &
it's you he's thinking of.
And you, you only think of him,
dropping him a line 'cos he's got
no time to swim / They're closing
all the doors to his existential
shores -- they'll leave him naked
& alone -- & you can't help him
now, he's in the waters of the
South -- sinking like a stone...
Running from the snapping jaws,
you know he ain't got aaa time
to pause -- there's one last door
between him & you -- look out babe,
he'll be coming throgh ( as soon as you
admit that you're the cause )
Gone, with a squad of crooked creatures --
you saw a film of his escape
But you hardly recognized his features.
His seer's sight had lied about the other
side / no-one was waiting when you arrived.
You dared not hesitate -- even so, you got there
late -- who takes who for one last ride???





黎明、彼は、早馬便、曙の絵葉書の中にいる、 
絵には、光りの細刃が闇夜を切り刻み寸々にしてしまっているのが描かれている。 
星の高速道路を、天空車駕が時速九十マイルで走っている、( 君の愛のため ) 
彼は、右の隅に着席している、唯一人の夜の生存者、 
彼が思っているのは、それは、「君」。 

そして君、君は彼のことを思うばかり、 
彼に一本の紐を落す、彼には泳ぐ間もないのだから。 
実存の海岸への彼の扉はすべて閉ざされている。 
閉じた扉は、彼を裸にして一人きりにするつもりだ、 
君は彼を助けられない、さあ、彼は南の海にいる、 
石の様に沈んで行く…。 

音を立てて閉じる顎門から逃れる彼、 
君は分かっているね、彼には止まる間はない。 
彼と君の間には、最後の扉がある、 
ご覧、彼はそれを通り抜けて ( 君が原因なのだと認めれば、直ぐにも ) 来るだろう。 

行ってしまった、彼は、曲がりくねった生き物の一隊と一緒に、 
君は、後になって、彼の逃走を捕えた映像記録を見たわけだ、 
でも、君は、彼の姿を目で捉えることは出来なかった。 
彼を予見した照準器は惑って別の側を向いていた、 
君が着いた時、誰も待っていなかったね。 
君は躊躇うことなく果敢に飛び出したのに、 
それでも、君は遅かった、 
最終便には誰が乗ったの? 誰の為に? 


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2017年07月15日

Pink Floyd 「 Brain Damage 」訳

 コリン・モールディングがビリー・シャーウッドさん企画の2005年のトリビュート『 Return to the Dark Side of the Moon 』で、歌っていたので、 

 ピンク・フロイドのホームページはlyric は無いようなので、歌詞カードを元にして、 


月の様に欠けるものが草の上に、 
月の様に欠ける人が草原にいる、 
子供の時の遊びを思い出している、デイジーに笑いを織り交ぜ、 
綱にして、阿比を小径で捕まえる。 

月の様に欠けるものが寄宿舎に、 
月の様に欠ける人たちが僕の講堂にいる、 
その人たちの折り畳まれた顔が、紙で、参加者席に止められてる、 
それに毎日、紙少年がまた持って来る。 

堰が決壊して、積年が解き放たれたら、それも今直ぐ、 
小山には立っている所もなくなってしまったら、 
暗い予感で君の頭がはち切れたら、それもまっ暗、 
僕は、君が月の暗面にいるのを認めるだろう。 

月の様に欠けるものが僕の頭に、 
月の様に欠ける人が僕の頭にいる、 
君は薄葉を取り上げて吹く、転調をする、 
僕にもう一度アレンジし変える、それで、僕はまともに、 
君はドアに施錠して、 
鍵を投げ捨てる、( 調性を捨てる ) 
僕の頭の中に誰かがいる、僕ではない誰か。 

雲が突然吹き上げて、君の耳に雷鳴を轟かせて、 
誰にも聞こえないだろう声で君が叫んだら、 
そして、君が入ったバンドが様々の音を鳴らし始めたら、 
僕は、君が月の暗面にいるのを認めるだろう。






7月16日追記: 
And throw away the key のところ、
key は、「鍵」と言うだけでなく、音楽の「調」も含意してるかも
posted by ノエルかえる at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月08日

How High the Moon 訳

 ポール・ビートルの「 When I'm Sixty-Four 」のことを考えていて。書かれた時期が分からないけれど、『サージャント・ペッパー・ロンリー・ハート・クラブ・バンド』のコンセプトが出来た後だとすれば、64歳なのは、ヴィクトリア時代の人と言うことで、1967年に64歳と言うことかな、と思って。1903年生まれ。でも、ヴィクトリア時代は終わってる、1901年に。1903年生まれには、ビング・クロスビーもいるけれど、1903年に25歳だったイギリスの作曲家は、ラトランド・ボートン Rutland Boughton 、オペラ『不滅の時間 The Immortal Hour 』を書いた人。 

 で、色々探してて、1906年生まれの作曲家 Morgan Lewis 、1909年生まれの作詞家 Nancy Hamilton が書いた「 How High the Moon 」。YouTube で見て、1909年生まれの Mitchell Ayres のオーケストラのがいいな、と思って。 
https://www.youtube.com/watch?v=-XLF28HnFVw  

Somewhere there's music

How faint the tune

Somewhere there's heaven

How high the moon

There is no moon above

When love is far away too

Till it comes true

That you love me as I love you

Somewhere there's music

It's where you are

Somewhere there's heaven

How near, how far

The darkest night would shine

If you would come to me soon

Until you will, how still my heart

How high the moon





どこかで音楽が奏でられている、 
でも幽かにしか聞こえない、 
どこかに天国がある、 
でも月でも高すぎる、 
その月も、今は、頭の上にない、 
恋はとっても遠いから、 
私が君を愛している様に、君が私を愛しくくれたら、 
音楽も、天国も、月も、目の前に。 

どこかで音楽が奏でられている、 
そこには君がいる、 
どこかに天国がある、 
直ぐそこなのに、とても遠い、 
今、たった今、君が私の所に来る気持があるのなら、 
この闇夜も、今、輝き出しただろうにね、 
君がそう思ってくれたら、僕の心は、高い 
高い月に載って、そこに居続ける。  







追記: 
この歌の構造は確かには分からない。 
この歌は、ミュージカル『 Two for the Show 』の中の歌だけれど。 
上に上げた歌詞は、歌のコーラス部分と言う説明もあったので。この歌詞の前に、ヴァース部分があって、
「 Untill I fell in love / My life was very easy / The moon just it moonlight / The breeze just made it breezy / And then I fell in love / And things that once were clear / Now I scarcely se or hear 」と。 
上の版では、歌唱の最後に、そのヴァース部分と思われる二行が付いているけど。 
単曲で歌われる時には、ヴァース部分は省かれることが多いのか知ら??? 
エラ・フィッツジェラルドは、やはり、ヴァース部分はなくて、違うブリッジ(?) を最後に付けて歌っている様だし??? 
ジャズの場合、歌の構成も自由に変えて演奏するので、よく分からない。元のミュージカルでのものを探したわけではないので。
Two for the Show (musical) - Wikipedia
posted by ノエルかえる at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月01日

ジェイムズ・ジョイス「室内楽」26、27、28、29 訳

 ジェイムズ・ジョイスの「室内楽」から、26、27、28、29 を。

28 では、 
Gentle lady, do not sing
Sad songs about the end of love;
Lay aside sadness and sing
How love that passes is enough. 
と、ポール・ビートルの「ヘイ・ジュード」を思わせるスタンザがあるから。あるいは、ポール・マッカートニーは、この表現を使ったのか知ら。 

そして、29 では、 
Still are you beautiful と言う行があって、アンディ・パートリッジ / XTC の「 You And The Clouds Will Still Be Beautiful 」を思わせるから。 


元にしたのは、ウィキソースの: 
Chamber Music - Wikisource, the free online library   


26.  
君は、夜の殻に耳を峙てている。 
そうだよね、君。君の神授の耳を峙てている。 
優しい声が喜びを合唱しているのに、 
どの音が、君の心臓を怖じけさせるのだろう? 
もしかして、あれが、君には、北国の暗い 
砂漠から落下して来る本流の音に思えたの? 

君のムード、モードは、 
君が韻律を上手に歌えば分かるよ、 
幽霊が出て魔法を使う時間に、 
奇譚を僕たちに残していった、 
そうそう、パーチェスかホリンシェッドの中から 
ある特別の名前を読み上げる、あの男の調だよ。  

27.   
君は、きっと、僕を寄せ付けない、 
君の心臓が大喜びしているのを隠しているんだ。 
だから、僕が、君のあの、ミトリダテス六世の様に、 
毒矢には平気な身体になったとしても、 
君に恨みを告白させて、 
チクリとした痛みを感じるだろう。 

ねえ、僕が誰よりも愛している君、 
僕の唇は知り過ぎてしまったんだ、古風な典雅な楽句は合わない。 
それに、笛を吹く詩人たちが祝う長所を 
持っている様な恋人を持ったこともないんだ。 
偽りなんか少しもしたことがない、
そんな恋人だって、ひとりも知らないよ。 

28.   
尊い君、歌わないで、 
愛の終りを語る歌を歌わないで。
悲しみは脇に退けよう。そして、 
過ぎ去った恋は、満ち足りたものだった、と歌うんだ。 

尊い君、歌うんだ、 
恋人たちの永い眠りを歌にして。 
彼らは、今、死んでいる。墓の中では、恋は皆閉じるもの。 
愛の神は、疲れ切っているよ。 

29.   
かけがえのない君、どうしていつも僕をそうあしらうの? 
君の高価な目、音も無く、僕を咎める。
君は、まだ、美しい。 ああ、でも、 
君の美しさは、装いなのだ。 

君の瞳の透き通った映えを通って、 
キスとキスの間の細い溜息を通って、 
翳って来た庭に、唸り声を挙げながら、 
幾陣もの人を追い払う風が吹き付ける。 その庭に恋はあると言うのに。 

荒々しい風が僕たちの頭上を吹き向けて行けば、 
きっと、僕たちの「恋」は、ほつれほどけてしまうよ。 
でも、ねえ君、僕にはもったいない君、 
ああ! どうしていつも僕をそうあしらうの?    





26から取り上げたのは、26、第一スタンザ第一行の「 Thou leanest to the shell of night, 」が西脇順三郎訳では、「夜の貝殻の七絃琴に君は傾ける、」になってたから、出口泰生訳でも、「おまえは 夜の七絃琴に 耳を傾ける」と。版が違うのだろうか? shell が 七絃琴になるのは? と思って。それに、研究書では、 shell は、この連作詩が「 Chamber Music 」なのは、Chamber pots 小用壷の連想があるのだけど、このshell は、まさにその壷を指す、と言うものがあったので。 

それから、27の第一スタンザの最終行・第六行「 The malice of thy tenderness. 」、tenderness には、優しさの意味の他に、チクリと指す痛みの意味もあるからそれを採って。西脇順三郎訳では、「そして僕は君のやさしい心の悪意( うらみ )をば / 説いて、さうと認めるばかり。」。出口泰生訳では、「ぼくは おまえの 優しい 悪意を / ただ 払いのけて 聴くのみだ。」。私が「チクリと指す痛み」を採ったのは、第二行に「 Framed to defy the poison-dart, 」と、毒矢が出て来るので、それに関連した意味と思って。 

ああ、それから、26の第二スタンザの第一行の「 That mood of thine 」のmood、全体に音楽に関連している語が使ってあると思うので、mood ではなく、mode が隠されているのではないかと思って。  


と言う訳で、左川ちかの訳も読んでみたい。
posted by ノエルかえる at 09:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月30日

Slapp Happy 「 The Secret 」訳

 スラップ・ハッピーの「 The Secret 」。 
 顔ジャケットのインナースリーブの手書き風デザインの歌詞カードを元にして。各歌詞は、枠を決める等して、定式的に書かれているのでなく、向きも様々に、隙間なく埋め込む様に書かれているので、そのままの感じで、書き写すと、 



There he goes, my hero in wonderful
clothes -- passing me by, giving me
the eye -- he's my guy & he really
keeps a secret.
From the start his message went
straight to my heat & over my
head -- it was heavy as lead -- I'd
tell you what he said, but I swore
I'd keep it secret.
There's something hypnotising
'bout the way he walks --
There's something supernatural
'bout the way he talks --
Coming from another world I knew
he doesn't find it easy --
Keeps me up everynight telling me
the same old story ---
I told him it's alright no matter
what he does he never really
bores me.
Strike a light!
He's making my
daze into night --
mercurial man, he
does evry thing he can
& my only plan / is to
seek keep his secret
secret. shoobeedoobeedoo...

実際の行替えは、-- の所で行われると思う。
daze は、この語 daze と、days が同音異義語なので、それを使っていると思う。 
なので、その二つの意味を両方とって訳しておいた。  





ほら、あそこに行っている人がいるでしょ、素敵な服の、わたしの主人公なの。 
私の脇を通り抜けたわ、その時、ほら、視線を私に送ったでしょう。 
彼が私の恋人。この恋を彼は誰にも知られない様にしてるのよ、絶対にね。 

もう最初っから、彼の言いたいことは、そのまま私の心に入っているわ、頭は通り越してね。
錘りみたいに重いの、 
彼の言ったこと、あなたに教える所だったわ、秘密は守るって、誓いを立ててたのにね。 

彼が歩く様子ったら、もう、 
私、痺れて動けなくなるの。 
彼が話す様子ったら、もう、 
私、霊感で聞き取れるのよ。 
彼、異界から来たのよ、私は分かってるの。 
彼は、自分が異界人だなんて、分かりっこないって思ってるけど。 

彼ったら、毎晩、おなじみの同じ話しを 
一晩中話して、私を寝かさないのよ。 
でも、私、なんでもないわ、って、 
ちっとも嫌じゃないわ、って、 
彼に言ってるの。  

彼ったら、カッチって鳴らして、明りを点すのよ! 
目も眩む昼の明るさを 
夜に出現させるの。 
彼ったら、水星人ね、
出来ることは何でもしてくれる。 
私が思ってることはただ一つ、 
彼の秘密を守ることよ、 
秘密なの。シュビドビド、シュビドビド、シュビドビド、…  


posted by ノエルかえる at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月22日

Slapp Happy 「 A Little Something 」訳

 スラップ・ハッピーの「 A Little Something 」の訳。ピーター・ブレグヴァドさんの作。 

顔ジャケットのインナースリーブの手書きデザインを元にして。「 A Little Something 」は、A面最後の歌だけれど、スリーブには、side twoの方に書かれている。真ん中に、( plus A LITTLE SOMETHING from side one )と。 

書き写すと、 

Here's a little something for all you lovers – snuggle deep down inside your covers – make yourselves at home & I'll sing you a song about Love. It can start with just a chance encounter – he doesn't know a single thing about her – a casual thread, but Lo! it led to love.
It takes too long to see what it takes two to love for it's soon to be.
And you could easily forget to get upset & set it free.
Sitting in a window at a table alone watching dancers circle to a saxophone – they get up to go, now they know it's love.
It couldn't be a nicer situation, setting off on a long vacation – the passage is booked & they're both hooked on love.
From the tip of Alaska to the edge of Spain – in every long & latitude you'll find it's the same – put one & one to-gether & you're not to blame if ti's Love.


でも、ブリッジの「 It takes too long to see what it takes two to love for it's soon to be. / And you could easily forget to get upset & set it free. 」は各ヴァースの後ろに付けてあるので、第一ヴァースの後ろで、訳しておいた。 




恋人の皆さんに、短いけれどとっておきの話しがあります。でも、畏まらず、お蒲団すっぽり被って身体を延ばしていいですよ。寛いで下さい。さあ、僕が、「恋」についての歌をお聴かせしましょう。 
二人は直ぐに恋仲になると言うのに、何が二人を恋いさせるのか分かるのには、随分とかかるものですね。それに、きっと駄目にする気遣いはないでしょうね。恋のなせるままにしましょうよ。
それは、偶然の巡り会いから始まるのが常なのですよ。カレは、カノジョのことを何ひとつ知らないの。それまで見えなかった道筋が急に拓けるの。でも、見て下さい、その道筋が、「恋」へと辿り着く路なのですよ。 
窓の内側、一つのテーブルに二人だけが着くの。一本のサクソホーンを踊り子たちが取り巻くのを見てる。そして、二人は立ち上がって歩き出す。もう、これが「恋」だと、二人は気付いているのですよ。 
さて、これよりも好い状況設定はないでしょうね。長い休暇で、旅に出ると言うものですよ。切符は予約されてますから。二人とも、「恋」に掛かっているのです。アラスカの先っぽからスペインの端っこまで、どの経度・緯度でも、ひとりをひとりに押し当てて一緒にするのを見るでしょうね。何所でも一緒ね。愛の神の仕業でしょうから、皆さんの所為ではないですよ。 

posted by ノエルかえる at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月13日

Slapp Happy 「 The Drum 」訳

 スラップ・ハッピーの「 The Drum 」の訳。
 顔ジャケット、『アクナルバサック・ヌーン』の手書きデザインの歌詞カードを元にして。 

書き写したものは: 
Get in line, keep in time with the Drum. & don't forget you're nothing yet but water. Are you coming to or coming from the understanding that I'm handing it to you? Or is that a job you don't dare do? Hey, my sweet patootie, there's a letter for you ( you'll find it on the shelf ) - Though it was posted in Calcutta I know it's just another that you've written to yourself. We watched a distant drummer flashing / on the beat in all his parrot fashions.
Get in line keepin time with the Drum - Don't forget we're nothing yet but water. Don't move your feet until the next beat comes - one of the laws pause between - Though I would hate to make the game seem mean... Hey my pretty flower can you guess where I've been? Can you guess at all? I've been to your rooms & learned you have all the mirrors turned against the wall. We watched a diffrent drummer flashing on the beat in all his Parrot Fashions. Listen now to the sound of the Drum - & don't forget we're nothing yet but water. It won't be pleasant when the present time is done - testing nightly 'neath a sprightly summer moon your spirit like a jelly in a spoon. Hey ma jolie fleur there's a cat in the room & it's not the type you're used to. Though I think I led it to the sink & tried to make it drink it refused to.



言葉のノート: 
water は、一流の意味があるのでそれを採って。 
game は、古英語でlame の意味があるから、それを採って。 
test は、フランス語で土製の容器の意味があるからそれを採って。( その後に、フランス語のma jolie fleur が使われているから。 )  

この歌詞と、レコードで歌われているものは違う。レコードで聞こえるものをカタカナで追加しておいた。





太鼓で、意志を通わせて、間を合わせるんだ。忘れては駄目だよ、君はまだまだ、一流じゃない。僕がその優秀さを認める程の技量に君はなるかな? それ以上になるかな? それとも、君が敢えてする様な仕事じゃないかな? 

ねえ、僕の甘妹ちゃん、君宛の手紙があるよ。( 売れ残り棚で見つけるだろうね。 ) カルカッタで投函されたものだけど、僕は知っているよ、君が前に自分宛に書いた写しだね。 僕たちは、一人が二つに分かれたドラマーがパッと現れるのを見張っていたよ。調子はぴったり合って、おうむ返しに叩いてた。 
( ワン ウォン マネー / トゥー ウォン ショー / スリー ソウト ファニー / バット フォー ウォント トゥー ゴー ) 

太鼓で、意志を通わせて、間を合わせるんだ。忘れては駄目だよ、君はまだまだ、一流じゃない。次の「トン」が来るまで動いては駄目。「トン」と「トン」の間は止まってる、決まりの一つだよ。僕は、足が不自由に見せるのは嫌なんだけれどね。 

ねえ、僕のひめ花ちゃん、僕が何処にいたか当てられる? 全然分からない? 僕は君の部屋を訪れたんだ。君が鏡をどれも引っくり返して壁に凭せ掛けてるのを知っちゃたよ。僕たちは、一人が二つに分かれたドラマーがパッと現れるのを見張っていたよ。調子はぴったり合って、おうむ返しに叩いてた。
( ワン ウォン マネー / トゥー ウォン ショー / スリー ソウト ファニー / バット フォー ウォント トゥー ゴー )   

さあ、ドラムの音に耳を傾けようよ。忘れては駄目だよ、君はまだまだ、一流じゃない。今を逃すと、詰まらなくなるだろうね。夜な夜な活き活きとした夏の月の下で君の魂を陶器のポットに入れるんだ。スプーンの中のゼリーみたいだよ。 

ねえ、[ マ・ジョリ・フローラ ]、部屋に猫がいるよ。君が見慣れた種類じゃないよ。僕は猫を流しに連れてって飲ませようとしたけど、嫌がったんだった、と思うの。 
 

 
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2017年06月10日

The Beatles 「 You Can't Do That 」訳

 ジョン・ビートルの「 You Can't Do That 」。 
 XTC きってのビートルズ・マニアのデイブ・グレゴリー。子供だった彼が、魅了されたのが、「 You Can't Do That 」。ただ、彼が魅了されたのは、他でもない、イントロで聴かれる、ジョルジュ・アリソン George Harrison のRickenbacker 12-string 。

 歌は、ヴァース/ヴァース/ブリッジ/ヴァースの構成。 
 それで、ブリッジ部分の最後の行、フックになっている、「 Oh, you can't do that. 」なのだけれど、
これは、発話者が違っていると思う。この歌には、登場人物が二人いて、ほとんどが話し掛けている男の言葉だけれど、フック部分は、話し掛けられている方の答えになっていると思う。 
 それで、恋の歌なのだけれど。boy と言う語が使ってあって。男女の恋なのか、同性愛の男性同士の恋の歌なのか、どちらかは分からない。 

元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
You Can't Do That | The Beatles  


お前に言っとかなきゃなんないことが出来たよ、お前、痛い目に会うだろうな。 
あのボイとくっちゃべってるのをまた見つけたら、 
ぶんなぐって伸してやるからな。 
前にも言っただろ。 
「まあ、あんた、そんなことする人じゃないわ。」 

お前、あのボイとくっちゃべってるのを見たのは二回目だぞ。 
どうしても言わないとな、もう一度だと、それは「罪」だぞ。 
お前をぶんなくって伸してやらないといけないみたいだ。 
前にも言っただろ。 
「まあ、あんた、そんなことする人じゃないわ。」 

おれがお前を恋人にしたもんだから、 
みんな、色を失っていたけどな。 
けど、お前がどんなだか気付いたら、 
みんな、おれを鼻で笑うな。 

たのむから、聞いてくれ。お前、おれの恋人でいたいだろ。 
もう怒り出しそうなんだ、平気でいられなくなりそうなんだ。 
お前をぶんなぐって伸してしまうかも。 
前にも言っただろ。 
「まあ、あんた、そんなことする人じゃないわ。」   

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2017年05月31日

Slapp Happy 「 Mr. Rainbow 」訳

 スラップ・ハッピーの「ミスター・レインボー」。 

 元にしたのは、顔ジャケット( 『 Acnalbasac Noom アクナルバサック・ヌーン 』 ) のインナースリーブの手書きデザインの歌詞なのだけれど。 
 レコードで聞くと、かなりの部分が違っている様。例えば、in the balm of your hand のbalm は、palm に聞こえるし、he's rigged with a nebulae's sine qua non のところ、sine qua non のあたりは、shine,shinning on の様に聞こえるし、その後の a festival of gas on... もそうには聞こえないし、diluting syrup ditties at the peak of their prime; he's spun like a ghost in the radio cool; he's everybodies child but nobodies fool; も違う様に聞こえる。 

 でも、まあ、これを元にして。 
手書きデザインの歌詞は: 
His silhouette rancid with diamonds splinters like a cone in the balm of your hand; he's rigged with a nebulae's sine qua non a festival of gas on a table of sand; he's jerking like an angel on ladder of crime; diluting syrup ditties at the peak of their prime; he's spun like a ghost in the radio cool; he's everybodies child but nobodies fool; he's cool like the breast of a radio ghost; his name is etc. etc. ...


最初のアルチュール・ランボーの詩「 Jeune goinfre 」は、フランス語からと、スリーブにある英訳のものからと、両方を。英訳は、ブレグヴァドさんの訳なのか、何か他の書籍から引いたのかは分からない。 



「食いしん坊の若者」 
フランス語から: 
帽子 
波紋織りの、 
ちんちん 
象牙の、 

トイレット 
とても黒い、 
ポールは見詰める 
戸棚、 

発する 
小舌が 
梨の上に、 

用意して下さい、 
バゲット 
そして、ぐちゃぐちゃに。   


英訳から: 
絹の帽子、 
象牙の尖り、 
衣服 とても黒い、 
ポールは食器棚を見詰める、 
梨の上に舌を突出す、 
用意 
楊枝、と、下痢。  



本歌: 
彼のいっぱいのダイヤモンドでやな感じの投影が、松脂べったりの君の手の中で、球果の様に裂ける。 
彼は砂で出来た食卓の上で、星雲と成るには必要条件である祭りの様な騒乱状態の、ガスを着付けられた。 
彼は、罪へ降りる梯子に足を掛けている天使の様に、断続した発作の様な動きをする。最高潮に達した甘ったるい短歌を希釈しているのだ。 
彼は無線に現れる冷たい幽霊の様に回転される。彼にあっては、誰もが幼年であるけれども誰も幼稚ではない。 
彼は電波の幽霊の胸中の様に冷たい。彼の名前は…、…、  




最後の行、歌詞カードでは、 his name is etc. etc. ... だけど、 
彼の名前は、虹、今夜は、彼が主人役、と言う風に聞こえる。
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2017年05月28日

Arthur Rimbaud「 Jeune goinfre 」

 スラップ・ハッピーの「 Mr. Rainbow 」に引用されているアルチュール・ランボーの「 Jeune goinfre 」

下のサイトを元にして訳して見ました:  
Jeune goinfre, poème d'Arthur Rimbaud - poetica.fr  

帽子 
波紋織りの、 
ちんちん 
象牙の、 

トイレット 
とても黒い、 
ポールは見詰める 
戸棚、 

発する 
小舌が 
梨の上に、 

用意して下さい、 
バゲット 
そして、ぐちゃぐちゃに。   


顔ジャケットのインナースリーブには、ブレグヴァドさんの手書き文字がデザインされた歌詞カードがあって、引用されている詩もフランス語で書かれていて、上のものと同じだと思うのだけど。 
けれど、ブレグヴァドさんが付けている英訳は、何だか違う、、 
Silk cap,
ivory prick,
Clothes very black,  
Paul eyes the cupboard,
Sticks his tongue out at a pear,
prepares
Wand & diarrhoea.

Toilette がどうして、Clothes なのか??? 違うバリエーションがあるのか? 


でも、でも、ブレグヴァドさんの「 Mr.Rainbow 」の歌詞は、もっと分かり難い、、、、  



5月30日訂正 
バケット→バゲット
posted by ノエルかえる at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月20日

Slapp Happy 「 Me and Parvati 」訳

 スラップ・ハッピー「 Me and Parvati 」の訳。ムーアとブレクヴァドの共作だけど、歌詞は、ブレクヴァドではないか知ら? 
Acnalbasac Noom - Wikipedia

 顔ジャケットのインナースリーブのブレグヴァドの手書き歌詞は次の様: 
in Paris France / surrounded by musicians, dressing to dance on the tomb of acquisitions / where bloomed our positions / scattered like scars on the skin of the stars / needing celebration we entered a bar / the conversation centered on conservation / she dropped a tear for the frozen deer in the forests of upper Thailand ( tigerland ). Out on the street, blazing with light, we threw back our heads / crazed with delight, then she asked " Who do you really think you are?" seeking sudden treasure on the Rue St. Jaques / the delicate creation of a bruise on her back. Struck down from behind by a process in the back her mind / Time will tell if her spell was cast or improvised - on the curve of disaster / never dared to ask her. She made her name on the exit lane of the famous Stella Highways ( hide-a ways ) Out on the street / blazing with light / I asked her a quastion & she got it right - ( the answer was the quastion she asked me ).  

一応、これを元に訳したのだけれど、聴いていると、ブリッジの順番と、歌詞の一部が違うので、 
最初の" Who do you really think you are?" は、" Do you remember when you die? "の様に聞こえるので、 

in Paris France / surrounded by musicians, dressing to dance on the tomb of acquisitions / where bloomed our positions / scattered like scars on the skin of the stars / needing celebration we entered a bar / the conversation centered on conservation / she dropped a tear for the frozen deer in the forests of upper Thailand ( tigerland ). Out on the street, blazing with light, we threw back our heads / crazed with delight, then she asked " Who do you really think you are?"  

She made her name on the exit lane of the famous Stella Highways ( hide-a ways ) Out on the street / blazing with light / I asked her a quastion & she got it right - ( the answer was the quastion she asked me ).  

seeking sudden treasure on the Rue St. Jaques / the delicate creation of a bruise on her back. Struck down from behind by a process in the back her mind / Time will tell if her spell was cast or improvised - on the curve of disaster / never dared to ask her.  の順番で、  

と、ヘンリー・カウがバックの1974年版では、ブリッジの歌詞が違っているけれど、 




パリで、
演奏家たちに取り囲まれて、新蔵品の墓の上で身支度して踊る、
私たちのポーズが映える、
肌の上に星の跡の様な光りが鏤められる、
お祝いをしなくちゃいけないからバーに入る、
会話は専ら恒久について、
彼女は一粒の涙を落とすけどそれはタイランド( タイガーランド ) 高地の森の凍った鹿を思って。
通りに出る、照明で輝く、首を仰け反らせて、
うれしさでおかしくなってて、彼女は尋ねる「いつ死んだか思い出せる?」。 

彼女は有名なステラハイウェイ( ハイドウェイ )の出口車線で有名になった。
通りに出る、
照明で輝く、
私は一つ彼女に質問をすると彼女は直ぐに答えた、( 答えは、彼女が私にした質問だった )。 

急にサン・ジャック通りで探し物をする、繊細な被造物である彼女の背中にひとつ痣が。 
思い出そうとしていると後ろから打ち倒された、
天災の曲線上に於いて彼女の期間は運だったのか間に合わせだったのかは時間が来れば分かるだろう、
私は無理にでも尋ねようとはしなかった。 
通りに出る、照明で輝く、首を仰け反らせて、
うれしさでおかしくなってて、彼女は尋ねる「本当は自分は誰だと思う?」。  

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2017年05月13日

ジェイムズ・ジョイス「室内楽」12

 ジョイスの「室内楽」12 を訳して見たのだけど、分かり辛かったので、ここに備忘しておこうかと、 

元にしたのは、ウィキソースの 
Chamber Music - Wikisource, the free online library 

恥ずかしがり屋さん、君の心に、どんな戒を 
書き込んで行ったんだろうね、あの頭を隠した月は? 
愛の神の輝きは、全部を現した古代の満月の様で、 
星々も遠く及ばなかったんだよ。 
あの頭隠し賢者は、滑稽な頭巾被りの 
カプチン派修道僧の親戚ではないか知ら? 

本当だよ、僕は分かっているんだ、 
だから、神父たちを無視しているんだ。 
愛の神の両の目には、輪光が点って、 
星明かりに合わせて、点滅しているよ、ほら、ほら! 
月にも霞みにも、もう、君のための 
涙はないんだ、泣き虫さん。

What counsel has the hooded moon
Put in thy heart, my shyly sweet,
Of Love in ancient plenilune,
Glory and stars beneath his feet -- -
A sage that is but kith and kin
With the comedian Capuchin?

Believe me rather that am wise
In disregard of the divine,
A glory kindles in those eyes
Trembles to starlight. Mine, O Mine!
No more be tears in moon or mist
For thee, sweet sentimentalist. 


Liverpool John Moores University のwebページにあった説明文: 
https://www.ljmu.ac.uk/~/media/files/ljmu/microsites/james-joyce/lyrics-and-notes/lyric_and_notes_26.pdf

This was No. 12 in the 1907 edition.
Ellmann says that this poem was written around April 1904, after an excursion to the Dublin hills with some friends. The party included one of Joyce’s old (and secret) flames, Mary Sheehy, with whom he flirted awkwardly. She went on to marry one of Joyce’s college friends, Thomas Kettle, who wrote one of the first (and positive) reviews of Chamber Music. Although their metier differed significantly, Kettle was in many respects as brilliant and as complex as Joyce. He was killed in the Battle of the Somme (1916).
A ‘hooded moon’ would be one that is less than full.
Robert Boyle discerns an ironic modern undertone beneath the elegant Elizabethan surface of this song. The only other use of the word ‘plenilune’ that he can find in in Ben Jonson’s The Fountaine of Selfe-Love or Cynthias Revels (1601).
‘Capuchin’ refers to an order of Catholic friars founded in 1520. Starlight and moon place this song at night.
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2017年05月06日

Slapp Happy 「 Casablanca Moon 」訳

 スラップ・ハッピーの「カサブランカ・ムーン」。ピータ・ブレグヴァドとアンソニー・ムーアの共作。 
アルバム『 Casablanca Moon 』に収録。 Slapp Happy (album) - Wikipedia
 顔ジャケットの歌詞カードを元に。
 映画の『カサブランカ』と関係あるのかないのか、分かりません。



いつもフェドラスを被っていた彼だけど、 
今は、トルコ帽を是見よがしに被ってる。 
言う事、言う事に、 
カバラ風の暗示が隠されている。 
煙草を一本吸って、それから、
また、話しの縒りを戻すんだ。 
真上に、カサブランカ・ムーン。 

偽りの身分証を使い、 
モスクに庇護されながら、秘密に活動する彼だけど、 
白露に足跡を残して、 
消えた党員を追跡して、通り過ぎた 
陸土はどれだけだったか、勘定も出来ない。 
真上に、アクナバルザック・ンーム。  

彼の偽装は何所かで漏れた。 
ホボーケン駅では、警官が言った、 
「彼の旅行鞄はなくなった」と。 
そして、彼はオリエントに送られた。 
二重スパイ、混血だ。 

彼の口髭にはコカインの染みがある。 
彼のジグソーパズルはピースが合わない。 
高官たちは、彼の多面を南コーカサス諸国の 
コインに刻印しようと思っている。 

彼は、慎重にしないといけない。然もないと、孰れ、 
換気口の中で、
高官たちに、首のない自分の遺体を晒すことになる。 

電飾の様な連なった汗が彼の目を痛めだした。 
精液の様な神経症が変装の隙間から滲み出している。 
暗い売春宿で、彼は、叫び声で鏡を割った。 
真上に、カサブランカ・ムーン。 

昨日の夕方、とうとう、彼は正気を失った。 
城壁は崩れた。すると、全人類が彼の前に 
立っていた。皆が、手を差し上げて、 
深遠な手真似をして見せた。彼は分からなかった。  



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2017年04月29日

ジェイムズ・ジョイス「室内楽」10

 ジョイスの詩「室内楽」の10、アンディ・パートリッジ / XTC の「 Wrapped in Grey 」を思わせるので。
( カテゴリーを「薬師」にしようか、「 Nonsuch 」にしようか迷ったけど、 )

鮮やか色の帽子に飾りリボン 
五月の風神は、谷間で歌う。 
「追いておいで、追いておいで、 
恋する者は皆んな。 
夢は、置いて来るんだ、夢見る者たちに遣ってしまうんだ。 
夢見る者たちは後を追って来りはしないから。 
歌も笑も 
あの人たちを駆り立てはしないから。 

飾りリボンを靡かせて、 
彼は、どんどん大胆になりながら、歌う。 
彼の肩には、野生の蜜蜂が集まって、 
ブンブン言っているから。 
そんなに五月蝿いから、夢を夢見る時間は、 
もう終わってしまったんだ。 
だから、僕は、恋人に対する恋人として、 
遣って来たんだよ、恋しい君。」


元にしたのは、ウィキソースの: 
Bright cap and streamers,
He sings in the hollow:
Come follow, come follow,
All you that love.
Leave dreams to the dreamers
That will not after,
That song and laughter
Do nothing move.

With ribbons streaming
He sings the bolder;
In troop at his shoulder
The wild bees hum.
And the time of dreaming
Dreams is over -- -
As lover to lover,
Sweetheart, I come.

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「 Till There Was You 」訳

 ミュージカル『 The Music Man 』の中のナンバー「 Till There Was You 」。 
作曲は、メレディス・ウィルソン Meredith Willson 、作詞も。1957年12月19日初演のミュージカル。 
 とてもヒットしたミュージカルで、人気も大変にあったそう。 
 あらすじは、子供たちにブラスバンドを作らせて音楽をさせたら素晴らしいと言って、親たちや町民からお金を騙し取ろうと計画した詐欺師が田舎町にやって来て、町民を騙し始めるのだけれど、町内でただ一人音楽の教養がある女性は彼を疑うのだけれど、彼女の心を病んで閉じ籠っている弟にも楽器を与えて彼の心を開きそうにしている詐欺師を見て、彼女も心を許してしまう。一方、彼女は実は自分の正体に気付いているのに、自分を許していると分かった詐欺師は、本当に彼女に恋をしてしまい、逃げるのを止める。そこへ、仲間の詐欺師が遣って来て彼の正体を暴いてしまい、町民は彼を捉えてしまうのだけれど、女性は彼が来てから町がどれだけ明るくなったかと弁護し始める、では詐欺師の言っていたバンドはどうなったのだと、町民が詰問している所へ、彼女の弟を筆頭に子供たちのバンドが登場して、拙いけれども心を揺さぶる演奏をして、町民は詐欺師を許してしまう、というもの。 
 「 Till There Was You 」は、女性マリアンが、彼女の気持を詐欺師ハロルドに言う場面で歌われる。第二幕の終盤。 

The Music Man - Wikipedia 

https://www.youtube.com/watch?v=JLDsLeVxOaU


 その「 Till There Was You 」をビートルズも、ポール・マッカートニーのリードで歌っている。 
 このミュージカルは、とても人気があったのだから、これを聴く当時のティーンエイジャーの親たちには、どういう歌かは分かっていただろうし、当のティーンエイジャーたちにも分かっていたことではないだろうか。 
 それで、この歌を歌う時には、ポール・マッカートニーは、目をパチパチさせて、女の子っぽい仕草をする。それは、いかにも女装しているかのような、可笑し味を出しているのではないか知ら。ビートルズには、コミカルな面もあったから。そんな一面なのだろうと思う。同時に、ティーンエイジャーの女の子たちの憧れの的であるポール・マッカートニー自身が、女の子になり切って、女の子の恋心を切なく演じてみせると言うのは、自分たちを深く理解していると思わせて、強い共感を生むと言う一面もあるのだと。  

 で、ビートルズのホームページにある「 Songs 」を元にして、訳して見ました。  
Till There Was You | The Beatles



丘にね、組み鐘があってもね、 
鳴ってもね、わたし、ちっとも聞こえないの。 
ううん、なんにも聞こえないのよ、 
そこにいるのが、貴方でなければね。 

お空にね、鳥たちがいてね、 
飛んでいてもね、わたし、ちっとも見えないのよ。 
ううん、なんにも見えないのよ、 
そこにいるのが、貴方でなければね。 

ああ、音楽があればね。
そうよ、夜明けの露に濡れた 
あまい薫りの原っぱに、驚くような薔薇があればね、 
きっと、その薔薇が、わたしに音楽を教えてくれるわね。 

どこにもね、恋があってもね、 
歌っていてもね、わたし、ちっとも聞こえないの。 
ううん、なんにも聞こえないのよ、 
そこにいるのが、貴方でなければね。 





 それで、思ったのだけれど、このミュージカルが、後の『サージャント・ペッパーズ・ロンリー・ハート・クラブ・バンド』や映画『イエロー・サブマリン』の発想になったのではないかな???
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2017年04月22日

Slapp Happy 「 Michelangelo 」訳

 スラップ・ハッピーの「ミケランジェロ」。ピータ・ブレグヴァドとアンソニー・ムーアの共作。 
アルバム『 Casablanca Moon 』に収録。 Slapp Happy (album) - Wikipedia
 顔ジャケットの歌詞カードを元に。 

 「 rhymes 」と言う語、ルネサンス期だから、マドリガルにしました。 あ、ミケランジェロ・ブオナローティのことだと。ミケランジェロ・ブオナローティ - Wikipedia  





背中を下にして横たわり、天上に絵を描く…、 
彼は黒を使わない、絶対に、自分の感性に合った色だけを使う。 
烏賊墨色の地の上に、聖人たちの肖像を描く、 
彼の粘着性は、彼の絵と同じで、卵白糊の粘り強さ。 
働いて、精を出して働いて、道楽などしない、 
絵具とバチカン・キャンティで表現する。 
彼の趣味は解剖だと、噂が広まっている。 
彼が身体を完璧に知り尽くしているのは、間違いない。 
十四行書けば、それがソネットを形成する、 
それに、マドリガレにも、ブオナローティは、取り組んでいる。
彼が通りを通った時、悪道に襲われた、 
シーツを被せられ打たれた彼は、蹌踉めきながら街を回り、 
教会へ倒れ込んだ、 その時、彼は一つの構想を身籠っていたから、 
悪道に罵られながらも、その構想を追い続けた。 
彼の全作品は、誰もが観るべきだ。 
最寄りの美術館の学芸員に尋ねてごらん、 
教皇は電話中、ブオナローティに掛けているところ、
でも彼は家に居ない、ちょっと没頭している、 
また始めた、絵具と筆を振り続けている、 
一心不乱だ、恍惚の中で、仕上げようとしている。  




He delineates saints on a sepia ground,
His temper like his paints is albumen bound.
Work & toil well he ain't no dilettante,
he conceives in oil & vatican chianti.
The rumour's out, his hobby is dissection,
& there ain't no doubt he knows the body to perfection.
Fourteen lines, that's what makes a sonnet
& it even rhymes - Buonarroti's working on it.
Through the streets, stricken by the urchins,
Wrapped in sheet, round the town he's lurching.
Lurching to the church, heavy with a vision,
Continuing his search though they come with their derision.
All his works, you just gotta see 'em -
Ask the clerks at your neighborhood museum
Pope's on the phone, calling Buonarroti
But he's not home, he's gone a little potty.
He's off again, waving paints & brushes -
Round the bend, to wind up in the rushes.
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2017年03月25日

The Beatles 「 Julia 」訳

 ジョン・ビートルの「 Julia 」。 

 内容をとても掴み難い歌だ。一つには、歌の構造が複雑だと言うこと。もう一つには、構造の複雑さとも関わっているけれど、他人の詩からの引用が挿入されていると言うこと。挿入されている詩行は、しかも、ジョン・ビートルによって、改作されてもいるので。 
 使われているのは、ハリール・ジブラーンの作品「 Sand and Foam 」から取られた行。ジブラーンは、1883年、レバノン生まれの、キリスト教徒。1960年代の、「ニューエイジ」の時代に、サブカルチャーの人たちに広く読まれた詩人。 
 「 Sand and Foam 」は、1926年の作品。全部で114篇の散文詩。ジョン・ビートルが取った、行は、35編目。それと、29編目の「 Our mind is a sponge; our heart is a stream. 」も、mind とheart と言う語を並べて使うと言うことで、利用している。 
 それなので、まず、ジブラーンの「 Sand and Foam 」の35編目までを前に置いて、ビートルズの「 julia」をその後に続けてみる。 

 さて、歌の構造の複雑さ。この歌、本来は、ヴァースとブリッジだけなのだと思う。そこに、「 Half of what I say is meaningless, / But I say it just to reach you, Julia, 」と言う行と、「 When I cannot sing my heart, / I can only speak my mind, Julia 」と言う行が挿入されているので。これは、小節数からすれば、ブリッジなのかも知れない、( ブリッジの機能は果たして無いと思うけれど ) あるいは、コーラスなのかも知れない ( コーラスにもなってないと思うけれど )。
 それだから、本来は、ヴァースの後ろに付けるものなのだと思う。本来後ろにあるコーラスをヴァースの前に持って来て、劇的効果を狙うことはあるけれど、それに似ているのかも知れない。
 ただ、繋ぎ方が、まるで切って付けた様に唐突なので、ある種のコラージュの様に、複数の時間の同時性を表現するものなのかも知れない。 
 本来のヴァースは、「 Julia / Julia, ocean child, calls me. / So I sing a song of love, Julia / Julia seashell eyes, / Windy smile, calls me. / So I sing a song of love, Julia. 」だと思う。
 そうして、この歌の感触だけれど、後年の「 Beautiful Boys 」と同じだと思う。つまり、子守唄なのだと。歌われているのは、ジョン・レノンの最初の子供、Julian Lennon なのだと思う。それも、「 Julia 」と言う名前は、ローマ神話でのローマ建国の祖の一人であるユリウスの女性形であって、それは、ローマ神話の最高神、ユピテルをも連想させるものでもある。だから、子供を得た、レノンが、汎宇宙的、汎時間的な感覚を覚えながら、我が子に歌っている様に、私には思える。 
 と言う理由で、ジブラーンからの引用部分での、Julia と言う名前は、ユピテルの呼格だと読んで、そう書いた。( 実際には、ユリアがユピテルの呼格ではないと思うけど。 ) 
 それと、ヴァース部分の Julia も、ジュリアと読むのではなくて、神話を連想させる様に、ユリアにした。
 歌詞は、歌われている順ではなくて、次のように、引用部分はヴァースの後ろにある様にした。

Julia

Julia, ocean child, calls me.
So I sing a song of love, Julia

Julia seashell eyes,

Windy smile, calls me.

So I sing a song of love, Julia.

Half of what I say is meaningless,

But I say it just to reach you, Julia,

Her hair of floating sky is shimmering,

Glimmering,

In the sun.

Julia,
Julia, morning moon, touch me.

So I sing a song of love, Julia

When I cannot sing my heart,

I can only speak my mind, Julia


Julia sleeping sand,
silent cloud, touch me.
So I sing a song of love, Julia.

Mmm calls me.

So I sing a song of love for Julia,
Julia, Julia.   



元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」 :
Julia | The Beatles

Alan W. Pollack's Notes on "Julia"  

それから、ハリール・ジブラーンの「 Sand and Foam 」は、グーテンベルグ・プロジェクト、オーストラリアの
Sand and Foam by Kahlil Gibran   



僕は、この渚を歩き続けるんだ、永遠に。 
高砂子と泡潮海の間を。 
潮流は僕の足跡を消し流すだろう。 
疾風は渚の泡を吹き飛ばすだろう。 
けれども、海と渚はきっと残る。 
永遠に。   

ある時、僕は、霞を手に掴んだ。 
そして、手をひらいて見ると、霞は一匹の蚯蚓だった。 
僕は、また、手を閉じて、また、開いてみた。すると、一羽の鳥になっていた。 
そして、また、閉じて、また、開いた。今度は、手の窪に、人が立っていて、悲しげな顔で上を見上げていた。 
僕は、また、閉じて、また開いた。今度は何もなく、霞だけだった。 
それでも、この上ない甘美な歌を、僕は聴いたんだ。 

ほんの昨日のことだった。僕は、自分を、生命界の中で何の周期もなく震えている一つの破片だと考えていた。 
ところが、今、僕は、僕自身が一つの界であり、しかも、その僕の中で、すべての生命が周期的な破片となって動いているのだ、と言うことが、分かっているんだ。 

目を覚ませている人々が、僕に、こう言うんだ。「君と君が住んでいる世界、でも結局それらは、涯の無い海の涯の無い渚にある、一粒の砂に過ぎないよ。」 
それに対して、眠って夢を見ている僕は、彼等に、こう言うんだ。「僕が、その涯の無い海なんだ。だから、全世界は、僕の海岸の砂の粒々なんだよ。」 

たった一度だけ、僕は、言葉を失ったことがある。それは、ある人が僕にこう聞いたときなんだ。「君は、誰なの?」 

神が最初に考えたのは、天使だった。 
神が最初に発した言葉は、人間だった。 

百万年前では、僕たちは、ただひらひらして漂い回るだけの生き物だった。そして、何か切望していたのだ。そんな僕たちに、海と森の風は、言い表す術を呉れていたのだ。 
現在、僕たちが生きている、このつい最近の音だけで、どうすれば、そんな古代を表現出来ると言うのだろう? 

スフィンクスは一度だけ喋ったことがある。スフィンクスは、こう言った。「一握りの砂は、砂漠だ。砂漠は、一握りの砂だ。さあ、私たち皆を、もう一度、無言にしてくれ。」  
僕は、スフィンクスが話すのを聞いた。けれども、分からなかった。 

私は長くエジプトの塵の中に横たわっていた。黙って、季節の移り変わりも知らずに。 
そうしていると、太陽が私を産んだ。私は、立ち上がり、ナイルの土手を歩いた。 
昼には歌い、夜には夢を見た。 
そして今また、太陽は、私の上、一千フィートの高さで、光を放っている。それで、私はまた、エジプトの塵の中に横たわった。 
けれども、驚異と謎には目を留めよ! 
私を引き寄せる、その他でもない太陽は、私を粉々にすることは出来ない。 
私はまだ直立している、ナイルの土手の上を歩いている足を確かめる。 

心に確かに留めておくことは、邂逅の一つの様式。 

心からきれいに払うことは、解放の一つの様式。 

私たちは、無数の恒星の動きから、時間を計る。ところが、彼の人たちは、小さなポケットにある小さな機械で時間を計る。さあ、教えてくれ。私たちと彼の人たちが、同じ場所で、同じ時間に、どうすれば、会えると言うのかを。 

宇宙とは、銀河の窓からそこを見下ろす人から見た、太陽と地球との間にある空間のことではない。

人間とは、光りの河である。それは、非・永遠から永遠へと流れているのだ。 

天空に住んでいる魂は、苦しんでいるからと言って、人を羨むのではないのか? 

聖都に向かう路で、僕は、別の巡礼者に会った。僕は尋ねた。「本当に、この路は聖都への路なのですか?」 
その人は答えた。「付いて来なさい。一日と一夜で、聖都に着くだろう。」 
僕は、その人に付いて行った。僕たちは、何日も、何夜も歩いた。それでも、聖都には着かなかった。 
僕が驚いたのは、その人が怒りだした、と言うことだった。僕を間違った道に導いてしまった、と怒るのだ。 

神よ、兎を私の餌食にするよりも、むしろ、私をライオンの餌食にして下さい。 

人ひとりは、夜の路を省いて、夜明けに到着することは出来ないものだ。 

僕の家が僕にこう言う。「わたしをすてていかないで。だって、ここにはあなたのかこが今ものこっているのだから。」 
それから、路が僕にこう言う。「さあ、わたしについてきて。だって、わたしはあなたのみらいなのだから。」 
それから、僕の家と路に僕はこう言う。「僕には過去はない。それに、僕には未来もない。僕が家に留まるならば、僕は留まることを続けると言うことだ。僕が路を行くのならば、僕は行くことを続けると言うことだ。愛と死だけが、すべての事共を変えるのだろう。」 

羽毛で眠る人々の夢が、大地で眠る人々の夢よりも、美しくないと言うのならば、私は、人生の正当性への信心を失わずにいられるだろうか? 
可笑しなことに、ある喜びへの欲求は、私の苦悩の一部なのだ。 

僕は、七度、自分の魂に嫌気が差したことがある。 
一度目は、高みに達しようとした時に、怖じ気を見せた時。 
二度目は、腰の立たない人を前にして、足を引き摺って見せた時。 
三度目は、困難と容易を選ぶのに、容易の方を選んだ時。 
四度目は、罪を犯した時、他の人もしていると、自分を安心させた時。 
五度目は、弱さから慎み深いのに、自分の忍耐は自分の力のおかげだと考えた時。 
六度目は、ある顔の醜さを見下した時。しかも、それは自分の仮面だとは知らないのだ。
それから、七度目は、讃美歌を歌い、それが美徳だと考えた時。 

完全な真実について、私は無知である。けれども、私は、無知であるから、謙虚であるのだ。その点に、私の誉れと称賛がある。 

人間の想像力と功績の間では、人は、ただ、切望しながら行きつ戻りつしているだけなのだろう。 

天国はそこにある。ドアの後ろにある。隣りの部屋にある。けれど、僕は、鍵を無くしてしまった。たぶん、置き忘れただけだと思うけど。 

君は目が見えない、僕は耳が聞こえず声が出ない。だから、手で触れ合って、分かり合おう。 

人間である意義は、何を達成したかではなく、その人が実現を切望しているものにこそある。 

私たちのある人たちはインクに似て、ある人たちは紙に似ている。 
だから、私たちの中のある人たちの黒さが無ければ、他のある人たちは唖になってしまう。 
そして、私たちの中のある人たちの白さが無ければ、他のある人たちは盲いになってしまう。

私に耳を下さい、そうすれば、私は貴方に声を上げよう。

私たちの思いはスポンジだ。私たちの心は川だ。 
私たちの多くが、流れるのよりも、吸い取る事を選ぶのは、不思議ではない。  

名付けようも無い恩恵を待ち望んでいる時、何故起こったのか分からない事を嘆いている時、君は、本当に、今よりも大きい自分へ向かって、成長しつつあるすべてのものと一緒に、成長しているのだ。 

人が幻想に酔い痴れている時、その儚い顕現をまさにワインだと思う。 

君はワインを飲めば酔うだろう。僕は、飲めば、前に飲んだワインの酔いから醒めるのだ。  

自分のカップが空だったら、僕は、諦めている。でも、カップに半分入っていると、僕は、半分しか入っていない事に怒りだすのだ。 

その人の本質は、その人が君に明かして見せたものではなくて、明かせなかったものにある。だから、君がその人を理解したいならば、その人の言う事に耳をかさないで、言わなかった事を注意しなければ。 

僕が言う事の半分は意味が無い。それはつまり、僕が明かさなかったもう半分が、君に届いている、と言うことなんだね。




ユリア、 
ユリアが、「うなばらのこ」、と僕を名付ける、 
それなら、僕は、愛の唄を歌おう。 
ユリア、 
貝殻の瞳で、 
「どこまでもたなびくほほえみ」と、僕を名付ける、 
それなら、僕は、愛の唄を歌おう、ユリア。 

「私が喋る事柄の半ばは、意味を欠く、 
ただ、意味を欠いた事柄を話す事で、貴方に近づき得るのだ、ユピテル。」 

虚空に棚引く彼女の髪は、 
陽光に、 
揺らめいて、仄めいている。 

ユリア、 
ユリア、毎の朝の月が、僕を感動させる、 
それなら、僕は、愛の唄を歌おう。 

「私が己の心情を謡えなくとも、 
思慮を語ることは出来よう、ユピテル。」 

ユリア、 
眠りこんでいる砂や、何も語らない雲が、僕を感動させる、 
それなら、僕は、愛の唄を歌おう。  
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2017年03月04日

Sand and Foam

 ハリール・ジブラーン Kahill Gibran の詩「 Sand and Foam 」。ジブラーンは、レバノン出身の詩人。1833年生れ、1931年没。キリスト教徒、マロン派( 正教だから、ハリストス教徒? )。少年の時にアメリカへ移住。 
 詩は、英語で。主流の文学よりも、カウンター・カルチャーで好まれた様。デヴィッド・ボウイもアルバム『 The Man Who Sold the World 』の中の「 The Width of a Circle 」で、ジブラーンの詩「 A Tear and a Smile 」を踏まえているそう。 
 それで、ビートルズでも、ジョン・レノンが、「 Julia 」で、ジブラーンの詩「 Sand and Foam 」から引用しているので。

 「 Sand and Foam 」は、散文詩なのかな? スタンザと考えていいのか、よくわからないけれど、114片から構成されている長編詩。語数は、7,512語。 
 「 Julia 」で、ジョン・レノンが使っているのは、35番目の片。 
Half of what I say is meaningless; but I say it so that the other half may reach you. 
この辺は、この一行だけ。( 一行だけの片がたくさんある。 ) 
 レノンは、Half of what I say is meaningless, / But I say it just to reach you, Julia, Julia / Julia, ocean child, calls me. と少し変化させて使っている。「 ocean child 」と言うのも、ジブラーンの詩での主人公が、海岸にいるので、そのまま使っているのだと思う。 


 それで、「 Sand and Foam 」の冒頭の片 ( スタンザ? ) だけを。これは、散文詩でなくて、行替えのある詩。 
元にしたのは、グーテンベルグ・プロジェクト・オーストラリアのもの: 
Sand and Foam by Kahlil Gibran  



I AM FOREVER walking upon these shores,

Betwixt the sand and the foam,

The high tide will erase my foot-prints,

And the wind will blow away the foam.

But the sea and the shore will remain

Forever. 


僕は、この渚を歩き続けるんだ、永遠に。 
高砂子と泡潮海の間を。 
潮流は僕の足跡を消し流すだろう。 
疾風は渚の泡を吹き飛ばすだろう。 
けれども、海と渚はきっと残る。 
永遠に。
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2017年02月25日

Joyce 「 Chamber Music 」の20 訳

 ジェイムズ・ジョイスの詩「 Chamber Music 室内楽 」の20 。( 「室内楽」は全部で、36篇。第5篇は、シド・バレットが曲を付けている。 ) 

 第20篇は、XTC / コリン・モールディングの「 Grass 」を思わせるので。  
コリン・モールディングは、『 The Big Express 』製作後から『 Skylarking 』製作前の間に、パートリッジからシド・バレットを聴かされて、感化されたそうだから。それで、『 Skylarking 』の彼の歌は、バレット風なのだけれど、もしかしたら、バレットが曲を付けたジェイムズ・ジョイスの「室内楽」にも目を通していたのかもしれない。『 Skylarking 』の彼のどの歌も、「室内楽」の詩に通じている様にも思えるから。「室内楽」も、『 Skylarking 』も、パルナシアニスムな感じがする。

元にしたのは、Wikisource のもの :  
Chamber Music - Wikisource, the free online library  





僕は思うんだ、僕ら、 
深い松の森に寝そべったら、どうだろうって。 
濃い涼しい影の中、 
真昼に、ね。 

寝そべるのには、素敵だよ、 
キスするのには、素敵だよ、 
松の巨樹の森林は、 
「孤絶境域」になるんだ! 

君のキスが降りてだんだん近づくと、 
どんどんよい薫りがつよくなる、 
君の乱れた柔かい 
髪といっしょになって。 

松の森に、 
真昼に、 
さあ、僕といっしょに 
行こう、愛しい君。  



西脇順三郎の訳 :
暗い松林の中で 
 僕達は横つてみたい、 
正午の時間に 
 深い涼しい影の仲で。 

そこで横はるとは、どんなに美はしいことか、 
 接吻はうるはしきことよ 
大きな松の林が 
 寺院の通廊のやうになるところまで。  

落ち来る君の接吻は 
 愈々美はしいものになるだろう 
君の髪の 
 柔かい混乱と共に。  

オー、松林へ、 
 日の正午に、 
僕と一緒に来たまへ 
 美はしい恋人よ、サー行かう。    




蛇足: 
「 wood 」と言う語が使われているけれど、ここでは、勿論、「森」。 
ビートルズの「 Norwegian Wood (This Bird Has Flown) 」のことで、
「woods」だったら、「森」だけれど、単数だから、「材木」だ言う、説明を、まだ見かけるけれど、そういうことはない。 
wood でも、woods でも、森の意味がある。 
Norwegian と言う形容詞、ノルウェー製の/ ノルウェーで産出された、が付いているので、「材木」の意味になる。
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2017年02月18日

The Beatles, Wings 「 Hold Me Tight 」訳

 ポール・ビートルとポール・マッカートニーの「 Hold Me Tight 」。同名の歌。ビートルズの時のは、1963年の作品。ウィングスのは、1973年の作品。 
 ( アンディ・パートリッジの「 Hold Me Daddy 」は、1989年の作品。 ) 

それぞれ、ウィングスのホームページ、ビートルズのホームページを元にしました、 

Hold Me Tight | PaulMcCartney.com 

Hold Me Tight | The Beatles  





ウィングス 
僕は待っていたんだ、君、これまでずっと、 
僕をつらまえて、しっかりと、 
僕を受け容れて、そうしたら、僕はしっかり出来る。 

僕をつらまえて、しっかり、僕をつかまえて。 
僕をつらまえて、しっかり、僕を抱きしめて、ちゃんと。
僕をつらまえて、しっかり、僕を抱き込んで、きつく。 
僕をつらまえて、しっかり、僕を抱きしめて、ちゃんと。 
僕をつらまえて、しっかり、つかまえて、きつく、そばにいて、ぴったり。 
今晩は、僕は、君を他にはやらないよ、 
蝋燭の灯りの夜、 
僕を抱擁して、きっと、そうして。 


ビートルズ 
とうとう、叶った、ておもう、 
ぎゅっとして、 
ぼくが意中のひと、て言って、 
そうしたら、もう、
ぼくは孤独者でなくなるよ。 

ぎゅっとして、そう、きょう、きょうだよ、
きみが、きみが、ぎゅっとして、ね、ね、ね、 

ぎゅっとして、 
ぼくがきみに夢中なの、とめないで、 
きょう、きょうだよ、 
ぼくはきみだけを、抱擁するんだ。 

ぎゅっとして、そう、きょう、きょうだよ、 
きみが、きみが、ぎゅっとして、ね、ね、ね、 

ぎゅっとするってこと、それは、 
きょうは、二人切り、てこと。 
とうとう、叶った、ておもう、 
ぎゅっとして。 

ぎゅっとして、そう、きょう、きょうだよ、
きみが、きみが、ぎゅっとして、ね、ね、ね、   

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2017年02月10日

Television 「 Marquee Moon 」訳

 テレビジョンが、アルバム『 Marquee Moon 』をリリースして、40周年と言うことで。1977年2月8日にリリース。  

 アルバム・タイトルと同題の歌「 Marquee Moon 」を訳して見ました。
元にしたのは、インターネット上の歌詞サイトのものなので、正確かどうかは分からないけれど。 

the Marquee Moon は、固有名詞の様に思えるけれど、普通名詞の様に読んでみました。 



覚えている、
闇が二つ折りになる様、
思い出せる、
稲妻が稲妻に当たる様。 
耳を峙てた、 
雨音に、 
聞えていた、 
別の音。 

蜂の巣の中のいきものが唇を窄める、私が主役の夜、 
死が一瞬口付ける、いきものに取り囲まれる。 
私は立っている、 
月を載せた、劇場入口の庇屋根の下、
待っている。  

お願いした、 
録音してくれ。 
尋ねた、 
変じゃないか。 
言った、「何を言う、若造、お前は嬉しそうでないな、 
まあ、でも、御陰さまで、悲しそうでもないな。」 

蜂の巣の中のいきものが唇を窄める、私が主役の夜、 
死が一瞬口付ける、いきものに取り囲まれる。 
私は立っている、 
月を載せた、劇場入口の庇屋根の下、
踏み出せない。 

キャデラック、 
墓場から掘り出された代物、 
側に着けた。 
皆が言う、「乗れ。」、乗ろうと、 
車は、パタパタ音を立てて、墓場に戻った、 
私はと言えば、また、出た。 

蜂の巣の中のいきものが唇を窄める、私が主役の夜、 
死が一瞬口付ける、いきものに取り囲まれる。 
私は立っている、 
月を載せた、劇場入口の庇屋根の下、
もう、待たない。  
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2017年02月04日

Stevie Smith 「 Tender Only to One 」訳

 イギリスの詩人 Stevie Smith スティーヴィー・スミスの「 Tender Only to One 」訳。 

 スティーヴィー・スミス は、1902年生まれ、1971年没の人。 
Stevie Smith - Wikipedia

 Tender Only to One は、女の子の遊びで、「彼は私を愛してる、愛してない、」と花びらをむしるものなのだけど。その時の言葉、「 Tender Only to One 」を日本語にしようとすれば、どういえば良いのか見当もつかなくて。 
 スティーヴィー・スミスの詩は、ナーシー・ライムの様なのだけど。言葉は平易だけど、私には、意味が取り難くて、、、 
 とりあえず、訳して見たけど、、、  

元にしたのは、Poetry Foundation の: 
Tender Only to One by Stevie Smith | Poetry Foundation

「どっちかよ、 
ただしくおいてね、」 
花びらが揺れる、
と、私の指が弄ぶ、 
あなたなの? それとも、あなたなの? それとも、あなたなの? 

「どっちかよ、」 
その人の名前、わたしは知らない。 
花びらの合図に、 
側の人たちは目を伏せる、
わたしの愛の所為だと思ってるのね。 

「どっちかよ、」 
この花びらには、答えの手がかりがある、 
表面に出てるの、 
花びらは、よおく、知ってるの。 
聞いてるわたしが、誰だか、って。 

「どっちかよ、」 
最後の花びらは、末期の息。 
氷の様な経帷子を通して、
はっきり聞こえる。 
「彼は、彼の名前は、死。」   




Tender only to one   
Tender and true   
The petals swing   
To my fingering
Is it you, or you, or you?

Tender only to one
I do not know his name
And the friends who fall   
To the petals’ call
May think my love to blame.

Tender only to one   
This petal holds a clue   
The face it shows
But too well knows   
Who I am tender to.

Tender only to one,
Last petal’s latest breath
Cries out aloud
From the icy shroud
His name, his name is Death.
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2017年01月28日

Alfred Williams 「 The furnaceman 」訳

 XTC の『 English Settlement 』と言うアルバム・タイトルは、アルフレッド・ウイリアムスの『Villages of the White Horse』から取られたのだと思うのだけれど。 
 そのアルフレッド・ウイリアムスの詩「 The furnaceman 」。 
 スウィンドンの鉄道工場の鋳鉄をする蒸気ハンマーの職工を描いたものらしい。死後も未発表だったらしく、書かれたのは、1926年と推定されていると言うこと。 

 スタンザが三つ。それも、第一スタンザが10行、第二スタンザが20行、第三スタンザが30行と、加算的なのは、興味深い。たぶん、ヘクサメトロス ( 六歩格 ) なのだと思う。英語の詩は、五歩格、四歩格が多いそうだけど。脚韻も、原則二行が同じ韻で、進む様だけれど( カプレット couplet 的? )、それも、繰り返すことはなくて、変化し続ける感じ。独特な詩形なのだと思うのだけれど。 

 XTC の『 The Big Express 』にも通じるのかと思って、

元にしたのは、 the Alfred Williams Heritage Society の: 
www.alfredwilliams.org.uk - the official website of the Alfred Williams Heritage Society   



それが何処であっても構わないのだけれど、火夫を見て、人が最初にすることは、 
火夫の仕事について何でも聞いてみることだ。そして、彼の奮闘振りを讃えるのだ。
それから、彼の「徒弟期間」について尋ねる。何処の出身かを尋ねる。 
サンダーランド出身なのは確かだ。シェフィールドの者もいる。ウェールズの者も。
察した風な目配せをして、火夫は、錫の椀を口に持って行く。 
「南で生まれた、こいつらは、良い所があまりない。
俺が北部で技術を身に付けたとき、 俺は怖じけはしなかったんだ、
一月で、こいつらが一年でするよりも、もっと多くの仕事をしていたんだ。
こいつらは、畑を耕して麦を踏むのには、十分だ。 
だが、炉を見たことがなかったんだ。火をかんかんに熾せないんだ。」 

骨ばかりの腕と手で、ひょろひょろと柱の様に伸びて六フィートばかりの長身で、 
煤だらけ。それでも、この訳知りの火夫は生身の人間なのだ。 
大きい鼻。のっぺりした面。房になった巻き毛。小さい耳。丸い顎。 
狭い額。薄い頬も窪んでいるので、細い顎は骨が突出している。 
神経質そうな口。格好の良い唇は煙草が染みになっている。 
長い首。精彩のない顔色。深く皺の寄った狡猾そうな目。 
熱で火脹れし、土で汚れて、黒くなっている、 
それが、火夫の仕事が作った顔。頑丈な労働者の顔だ。 
火夫はいつも自分の持ち場にいる、日が変わろうと、どの時刻にでも。 
無帽で、上半身も裸、ずっと、竃の炎の前にいる。 
腰にぶら下がった布巾は、彼の細やかな美術作品あるいは装飾だ。いや、 
その布巾は、彼の腰に蛇の様に巻き付いている、脇にぶら下がっている。 
彼の落ち窪んだ頬から落ちる汗、滴る鼻水を拭い落とすのだ、 
そして、汗と鼻水は、川の様に流れて行く。 
熊手、シャベル、操作棒と取り替えながら、火夫の手はいつも塞がっている。 
竃を燃え立たせ、星の様に、輝かせているのだ。 
彼は、熱が竃の扉を通して刺す様な痛みを自分に与えてくるのが好きなのだ。 
黄色の熱塊の膨張を見るのが好きなのだ。竃が唸るのを聴くのが好きなのだ。 
火夫の嬉しげな視線は竃に向けられている、そして、喜びで煌めいている。 
炎は保たれている、すべてが上手く行っていると、分かっているからだ。 

まずは、ガラガラ、チリンチリンと鳴る首長の注入器で、重い鋳塊が入れられる。 
誰が考えたよりも速く、鉄の扉が持ち上げられる。 
用意万端の十二本の手は、手掛かりも無い重い塊を、招き入れようとしている。
そして、開いた隙間から、中の空洞へ放り込む。 
重い扉がまた閉まる、鋳塊は中だ。 
渦を巻く炎が鋳塊を取り巻いて包むと、休むことのない仕事が始まる。 
直ぐ様、黒く煌めく埃が、床から集められる。 
そして、ドアに沿った小さな口、その何れもを、鳴らない様にした。 
そして、冷たい隙間風が入らない様に、突然の冷気が、 
鉄あるいは鋼鉄の、鋳塊の真ん中に、当たらない様になる。
さて、火夫の敏捷な手で、竃の操作棒が忙しく動かされる。 
注意深く、棒を差し込み、中で石炭を掻き回す。 
さて、割れて崩れるのが上手く作用して、石炭は同じ高さに均される。 
後ろに少し傾いている、そこはちょうど、竃の円蓋の下になる。 
重い通風調節弁を上げる、二目盛りかそれくらいだ。 
そして、火室の中の固い焼塊を砕いて下に出す。 
そして、蒸気を管の束に直接に導いて通す。 
そして、竃を、本物の火山の様な、黄色の炎に燃え立たせる。
時々、鍛鉄工の助手たちが、カタカタ鳴る首長の注入器を引き寄せて、 
鉛色の金属をぐるりと回し、また、下ろす。 
やがて、鋳塊は、隅々まで熱せられる。 
そして、真昼の太陽の様に眩しくなる、そして、正に噴出しそうになる。 
通風調節弁が全開して行く。熱は出るに任される。 
外側が、少し、冷えて固まる。すると、打つのにちょうど良くなる。
直ぐに、扉が上がる、軋む音を立てながら、首長の注入器が振り向けられる。 
パチパチ、シューシュー鳴る鋳塊が出て来る。そして、遠く隅々まで明るくなる。 
重いハンマーが力を貯めて、前へ後ろへ動く。 
噴出で、広い土台が揺れて震える。 
次から次へ、熱が遣って来る。毎日、毎日、 
火夫の厳しい仕事は続く。 − 火夫は自らの命を流し出す。 





Where'er you find a furnaceman, the first thing, when you meet,
Just tackle him about his trade, and praise him for his heat,
Then ask about his 'prenticeship, and from what part he hails -
He's sure to come from Sunderland, from Sheffield, or from Wales;
He'll give a knowing wink, and raise the pewter to his mouth:
"These fellows aint a lot of good that's born about the South;
When I was working up the North, - I say it without fear -
We turned more stuff out in a month than they do in a year;
They're good enough to plough the farm, and trample out the wheat,
But they've never seen a furnace, and they can't draw out a heat."

Long, lank, and lean as any post, with skinny arms and hands -

Six feet of grimy flesh and blood, the knowing fireman stands;

Large-nosed, fair-featured, curling locks, small ears, and rounded chin,

A narrow forehead, lantern jaws, with hollow cheeks and thin,

Mouth sensitive, with shapely lips stained with the weed and dyed,

Long neck, a brown and withered face, deep-wrinkled, artful-eyed,

Blackened and blistered with the heat, and grimy with the soil -

The very feature of his trade, a sturdy son of toil.

Day after day he's in his place, and every hour the same,

Bare-headed, naked to the waist, before the furnace flame,

His wiper at this middle hung, with little art or pride,

Or, serpent-like, about his wrist, or dangling at his side,

To brush the perspiration off that, like a river, flows

Out of the hollows of his cheeks, or trickles down his nose.

He's always busy with the rake, the shovel, or the bar;

He'll work the flaming furnace up as radiant as a star;

He likes to feel the twingeing heat strike through the open door,

And watch the yellow mass expand, and hear the furnace roar;

His merry eyes will cast about and twinkle with delight,

For then he knows the heat is safe, that everything is right.

First by the rattling, clinking crane the heavy ingot's brought,

The iron door is hoisted up as quick as any thought,

A dozen ready hands are near the ponderous mass to guide,

And shove it through the open rift to the hollow place inside;

Down goes the heavy door again, and shuts the ingot in,

The curling flames have wrapped it round, the steady toils begin.

Forthwith the black and gleaming dust is gathered from the floor,

To stop each little gaping clink, and lay along the door,

That no cold draught may enter in and strike a sudden chill

Into the centre of the mass - the iron or the steel.

Now by the fireman's ready hand the furnace bar is plied,

Careful he thrusts the pointer in and stirs the coals inside,

Now, with the ravel's useful aid, levels the fuel down,

A little sloping to the rear, and well below the crown;

Raises the heavy damper up, a couple of points, or so,

And breaks the solid clinker in the fire-box down below;

Admits the vapour underneath straight through the hollow pile,

And fires the yellow furnace up in true Vulcanic style.

From time to time the forger's mates invoke the rattling crane,

And turn the livid metal round, and lower it again,

Till, by-and-by, the solid mass is heated through and through,

And dazzling as the noon-day sun, and fit to take the blow.

Down goes the damper overhead, the heat's allowed to soak,

To somewhat chill the outer part, and fit it for the stroke;

Now presently the door is raised, the creaking crane's applied,

Out comes the spluttering, hissing mass, and lightens far and wide,

The ponderous hammer gathers strength and travels to and fro,

Until the deep foundations quake and shiver with the blow;

Another and another heat's supplied; day after day

The fireman's steady toil proceeds - he sweats his life away.

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2017年01月21日

The Beatles 「 Misery 」訳

 ビートルズの「 Misery 」。 
 ポール・マッカートニーとジョン・レノンの共作と言うこと。たぶん、ジョン・レノンが主な作者だと思うけれど。 
 ヴァース部分は、五音でモータウン的なのだけど、ブリッジ部分は全音を使っての下降で、ドイツ・リード的、でも、そう聴こえるのは、ジョージ・マーティンのピアノの所為かも。 
 歌詞については、一人称 I の世界を一人称 I の視点で見て、一人称 I の語りで語る、私小説的な書き方。( 視点・行為者と語り手が同一で私である、と言う意味で。 ) それで、ヒロインが三人称になっているのが、注目点の一つだけど。それは、二人称にすれば、いかにも舞台上の台詞的で、聴衆に仮構性を印象付けるのだけど、三人称にすれば、切迫性があって事実めいて聞こえるからかも。そういう技巧的な手法は、いかにも、ポール・マッカートニー的なのだけれど。でも、この場合、ヒロインが主人公からの呼び掛けに応答することがない、と言う設定なのでは、とも思えるので。それだと、直感的で、ジョン・レノン的だと思う。それに、ヴァース部分、頭に強拍を持って来てリズムを作ってるのも、レノン的だと思う。 

 それで、基本的には、ラブソングなのだと思うけれど、そうでない様な気分も伺えて。愛する人を不条理な理由で亡くしてしまった人の悲嘆と言う面がある様に感じるので。 
 それで、突然に、母を亡くして孤児になってしまった少年の嘆き、の様に、訳して見た。たしか、ジョン・レノンは、少年の時に、母を交通事故でなくしていたと思うので。 

元にしたのは、ビートルズのホームページの Songs
Misery | The Beatles 

Alan W. Pollack's Notes on "Misery"  

ヴァース/ヴァース/ブリッジ 
ヴァース/ブリッジ/ヴァースの構成だけど、
ヴァースは基本2行で、最後の1行がフックと言うか、コーラス的に、
それで、その行を第一ヴァースの前に置いて、コーラスから入る感じにしてある。 



「この世界、いつもおいらにむごいんだ、無情!」 

おいらはもう一人前のおとこさ、
泣いたりしないんだ。 
「この世界、いつもおいらにむごいんだ、無情!」 

おいらかあさんをなくしたんだ、
もう会えやしないんだ。 
「これから、暗々の旅の空になるんだ、無情!」

おいらきっと思い出すよ、かあさんとの暮らし、
かあさんはわかってなかったのか、かあさんは一人しかいないって。 

かあさんを生きかえらせてよ。
だれにもわかるだろ、
かあさんがいないと、おいらひどい暮らしさ、無情! 

おいらきっと思い出すよ、かあさんとの暮らし、
かあさんも思い出すかな、ひとりむすこが心残りかな。 

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2017年01月07日

Phillip Larkin 「 Here 」訳

 フィリップ・ラーキンの「 Here 」。1961年に書かれた詩で、1964年2月に出版された詩集『 The Whitsun Weddings 』に収められた。詩集の巻頭の詩。 

 この詩も、各8行の四つのスタンザで、rhyme 的。なので、XTC の歌にも近い様な気が。それよりなにより、テーマが、戦後の新興住宅なので、XTC の初期、『 White Music 』『 Go 2 』『 Drums and Wires 』 に繋がる様な。それに、最後の第四スタンザでは、土着なものに帰着しているので、それも、XTC の変遷を思わせるようで。  


元にしたのは、allinfo.org.uk のもの: 
Level Up: English Literature  


第一スタンザでは、強弱格を利用して、列車での移動を読者にイメージさせる様にしているそうだけど、それを日本語に移すことは、私には無理なので。  





東へ逸れて行く、だんだんと。たくさんの工業的な仄灯りから離れて行く。 
それに、北へ向かう夜通しの運輸から離れて行く。だんだんと、田園を抜けて。 
薊だけがぽさぽさと生えてるだけなのに、それでも、牧草地と呼ばれている所を抜けて。 
時々、聴き取り難い名前の駅に止まる。駅は、夜明け前に働く労働者たちを 
隠している。 だんだんと、人里離れて行く。 
空ばかり。案山子。積まれた干し草。兎。雉子。 
曲がりくねった川。水は留まっているようにゆっくり。 
湧き上がった雲は金色。鴎の足跡のある干潟は赫々。 

そうして、列車は速度を上げて、突然、大きな町に。ここにはある。 
円屋根の建物。彫像。尖塔。数珠繋ぎの起重機。 
端に穀粒が散らばっている通り。平舟でいっぱいの運河。 
拓かれたばかりの団地の住人たち。彼らは、
何マイルも真っ直ぐで退屈な道を、平べったい面のトロリーで音も無く運ばれて来る。 
彼らは、一面ガラスの回転ドアを押して入って行く。欲しいものに向かって。 
手頃な値段のスーツ。赤い台所着。流行の靴。アイスキャンディー。 
電気ミキサー。電気トースター。電気洗濯機。電気乾燥機。 

大量生産の、都会的だけど単純な、住宅群。
そこには、セールスマンと親戚が来るだけ。
それも、有る決められた時に限ってのこと。そうでない時には、
魚臭い船が通りに曳き上げられている。長閑だ。奴隷博物館がある。 
タトゥーの店。領事館。頭にスカーフを被った厳格な奥様たち。 
家の直ぐ向こうは、ローン中で、境は半分だけ造られたまま。 
それで、麦畑が見える。麦は直に生け垣程の高さになって、闇がりを作る。 
幾つかの村が点在している。世間から離れている。 

寂しさが露わになる。ここでは、静寂と暑さは、
そのままだ。ここでは、葉々は、いつの間にか厚くなる。 
名も無い雑草が花を着け、見逃されていた水脈が湧き上がる。 
いっぱいに照らされた空気が上昇する。 
そして、ポピーの咲く、青っぽい中間色の場所の向こうに、 
小石が浜を成していて、そこで、突然に陸地は終わる。ここには、境はない。 
私は、太陽と対峙する。口は閉ざす。誰も近づけない。  






Swerving east, from rich industrial shadows

And traffic all night north; swerving through fields 

Too thin and thistled to be called meadows, 

And now and then a harsh-named halt, that shields 

Workmen at dawn; swerving to solitude 

Of skies and scarecrows, haystacks, hares and pheasants, 

And the widening river s slow presence, 

The piled gold clouds, the shining gull-marked mud,

Gathers to the surprise of a large town: 

Here domes and statues, spires and cranes cluster 

Beside grain-scattered streets, barge-crowded water, 

And residents from raw estates, brought down 

The dead straight miles by stealing flat-faced trolleys, 

Push through plate-glass swing doors to their desires− 

Cheap suits, red kitchen-ware, sharp shoes, iced lollies, 

Electric mixers, toasters, washers, driers− 



A cut-price crowd, urban yet simple, dwelling 

Where only salesmen and relations come

Within a terminate and fishy-smelling 

Pastoral of ships up streets, the slave museum, 

Tattoo-shops, consulates, grim head-scarfed wives; 

And out beyond its mortgaged half-built edges 

Fast-shadowed wheat-fields, running high as hedges, 

Isolate villages, where removed lives

Loneliness clarifies. Here silence stands 

Like heat. Here leaves unnoticed thicken, 

Hidden weeds flower, neglected waters quicken,

Luminously-peopled air ascends; 

And past the poppies bluish neutral distance 

Ends the land suddenly beyond a beach 
Of shapes and shingle.
Here is unfenced existence: 

Facing the sun, untalkative, out of reach.


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2016年12月25日

フィリップ・ラーキン「 The Mower 」訳

 フィリップ・ラーキンの1979年6月12日に書かれた詩。「芝刈り機」 

元にしたのは、Poetry Foundation の。 

The Mower by Philip Larkin | Poetry Foundation 

The Mower - Wikipedia 





The mower stalled, twice; kneeling, I found   
A hedgehog jammed up against the blades,   
Killed. It had been in the long grass.

I had seen it before, and even fed it, once.   
Now I had mauled its unobtrusive world   
Unmendably. Burial was no help:

Next morning I got up and it did not.
The first day after a death, the new absence   
Is always the same; we should be careful

Of each other, we should be kind   
While there is still time.   



芝刈り機が動かなくなった、動いてまた止まった。私は、
屈んで見た。はりねずみが歯に挟まっていた。
斬り殺していた。伸びた芝の中にいたのだ。 

はりねずみを前にも見たことがある、私は、飼っていたことさえある。
ところが、私は、はりねずみのひっそり閑とした生活を壊した、
修復は出来ない。墓など、何の慰めにもならない。 

翌朝、私は、起きた。はりねずみは起きない。 
死んだ日の次の最初の朝、真新しい不在。 
でも、いつもと変わらない朝。もっと気を付けるべきだった。 

お互いに、気を配らなくては、 
生きている間。
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2016年12月13日

Philip Larkin 「 Days 」訳

 フィリップ・ラーキン Philip Larkin の「 Days 」。 
10行の詩。 
 でも、まるで歌謡の歌詞でもある様。第一スタンザは、ヴァースの様だし。しかも、最初の四行はまさにヴァースで、終わりの二行は、フックか、コーラスの様。第二スタンザは、ブリッジになりそう。やっぱり、コーラスかな?? 
 それで、全く日常語ばかりで、文も平易なのに、それでも、意味が捉え難い。まるで、マッカートニーの歌詞。でも、この短さだと、ラモーンズの歌詞みたい。 

元にしたのは、Poety Foundation の。
Days by Philip Larkin | Poetry Foundation  

Days (poem) - Wikipedia
「 Days 」1953年の作品。 


What are days for?
Days are where we live.   
They come, they wake us   
Time and time over.
They are to be happy in:   
Where can we live but days?

Ah, solving that question
Brings the priest and the doctor   
In their long coats
Running over the fields.   




そも、日々とは、なん? 
日々と言うのは、私たちが生活してること。 
日々は来る、日々は私たちを起こす。 
時に次ぎ、に次ぎ、ひきりなし。
日々は、自足するだろう。でも、
日々がなくて、私たちは生活出来るのか? 

ああ、この難しい問題の答え、
司祭が持って来る、それから、医者が持って来る、
長いコートに入れて、
田園を駆け抜けて、持って来る。   

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2016年11月27日

the Beatles 「 Hey Jude 」訳

 ポール・ビートルの「 Hey Jude 」。 

 結局、推察するのに十分な手掛かりは見つからなかったので。適当に、、、    

構成は、ヴァース/ヴァース/ブリッジ/ヴァース/ブリッジ  
元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
Hey Jude | The Beatles

Alan W. Pollack's Notes on "Hey Jude"

Hey Jude | The Beatles Bible  

マッカートニーが元にした、ジョン・アイアランド John Ireland ( 1879-1962 ) の典礼合唱曲「 Te Deum 」
Te Deum Laudamus in F major (Ireland, John) - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜 

アトラスが歌われている、シューベルトの歌曲集『白鳥の歌』の第八曲「アトラス」 
Schwanengesang, D.957 (Schubert, Franz) - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜 
歌詞は、ハイネ: 
Ich unglückseliger Atlas! eine Welt,
Die ganze Welt der Schmerzen muß ich tragen.
Ich trage Unerträgliches, und brechen
Will mir das Herz im Leibe.


Du stolzes Herz, du hast es ja gewollt!
Du wolltest glücklich sein, unendlich glücklich
Oder unendlich elend, stolzes Herz,
Und jetzo bist du elend.


僕は不幸なアトラス、世界を
苦しみだらけの全世界を抱えてなければならない。
僕は耐えられない程のものを抱えて、
身中の心臓は破裂しそうだ。 

誇り高い心、君がそれを望んだのだ。君が、
幸福でありたいと、永遠に幸福でありたいと、
そうでないなら、底なしに惨めになりたいと、望んだのだ。 
だから、今、君は惨めなのだ。  




Hey Jude

おやまあ、ジュード、恋の病いに臥せったりして。 
悲し気な歌は片付けなさい。それだけでも、ましになるから。
肝心なのはね、君の関心の中心に彼女を置くことだよ。 
そうすれば、恋の病いも快方に向かって行くものだよ。 

いいんだ、ジュード、不安に思うことはないんだよ。
外に出てあの娘に会うことは、生まれた時から決まってたんだよ。
君があの娘を深く理解出来たその時に、 
恋の病いは快方に向かい始めるからね。 

まさか、何かの劫罰だと思っているのかい? ちがうよ、
ジュード、この文句を繰り返し歌うんだ。 
「アトラスの様に、世界を肩に負うもんじゃない。」 
いいかい、分かるだろう、
自分の世界を無味乾燥にして、乙に清ましている人、
愚かに見えないかい? 

どうだい、ジュード、しっかりするんだ。
彼女はそこにいる、さあ、行って抱きしめるんだ。 
肝心なのはね、君の関心の中心に彼女を置くことだよ。 
そうすれば、恋の病いも快方に向かって行くものだよ。 

さあさあ、力まないで、張り詰めないで、
落ち着いて、ジュード、歌い始めるんだ。 
まさか、伴奏者を待っているのかい? 
分からないのかな? 君一人しかいないんだよ。 
さあ、楽章は君の肩に載っているんだからね。    


2017年1月9日、追記 
トマス・ハーディーに『日陰者ジュード Jude the Obscure 』という小説がある。
1895年に書籍として出版されたもの。 
貧民のジュードが向学心を抱いて進学しようとするけれど挫折して若くして死ぬ、と言うあらすじ。 

Jude the Obscure - Wikipedia 

 何か関係があるかも知れない。 それから、ジュードは、十二使徒のタダイの別名。
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2016年10月02日

John Greenleaf Whittier「Telling the Bees 」訳

 The Big Big Train の「 Telling the Bees 」にインスパイアを与えた、John Greenleaf Whittier ジョン・グリーンホーフ・ホイッティアの「 Telling the Bees 」を訳して見ました。 

John Greenleaf Whittier、1807年生まれ、1892年没のアメリカの詩人。敬虔なクェーカー教徒。 
John Greenleaf Whittier - Wikipedia, the free encyclopedia  


[ XTC も、『スカイラーキング』では、クェーカー教の神父の衣装を着ていたけど。 ] 


元にしたのは、ウィキソースのもの :
The Atlantic Monthly/Volume 1/Number 6/Telling the Bees - Wikisource, the free online library   
1858年4月刊行の雑誌『 The Atlantic Monthly 』、Volume 1、Number 6 に掲載されたもの。 






ここで当ってた。今、僕が通っている小径が
丘を越えて行くんだ。 そうしたら、 
古い堤に割れ目があるのに、君は気付くだろう、 
そこから、浅い小川に飛び石があるのが見えるだろう。 

一軒の家があるよ。門が朱に塗られている。 
ポプラが高く聳えている。 
細長い牛小屋と囲われた放牧場。 
白い角が塀壁の上に覘いたり隠れたりする。 

そして、陽差しの中に蜜蜂の巣箱が並べられている。
その下、小川の 
縁には、野草が茂り、素朴な花々が咲いている、 
菫や水仙、野薔薇に撫子。 

一年が過ぎたところだ。亀の歩みの様に、 
難儀に鈍い歩みで。 
今、去年と同じ野薔薇が咲き、同じ太陽が輝く。 
そして、小川は去年と同じ調べを奏でている。 

そよぐ風の中には、同じ白詰草の甘い香りが入っている。 
六月の温かい太陽は、その 
炎の翼を樹々に搦めている。 
そうして、陽は、いつまでもフェーンサイド農場にいる。 

僕を包み込む陽光の衣が、どれだけ 
愛情の隠ったものなのか、僕は、今、思い知る。 
僕は、草の毬を振り落とし、髪を梳かす、
それから、小川のほとりで、額と喉を冷やそう。 

一年中、焦がれているもの、 
あの小さな朱の門と、その側の井戸の撥ね釣瓶、
あれを、橅の樹を通して見下ろしたのは、 
一月前、それっきりだった。 

今、僕は見ている。葉々を抜けて、 
斜めに降り注ぐ光の雨。 
そして、彼女の窓ガラスに映える夕焼け、 
庇の下の彼女が植えた薔薇の花叢、それらのすべてを僕は見ている。 

一月前と何も変わらない。 
家も樹々も同じだ。 
牛小屋の破風、戸の側の蔦、 
何も変わらない。ただ、蜜蜂の巣箱は違う。 

庭垣の下、可愛い小間使いの女の子が、 
歌いながら、巣箱の前を 
物憂く行ったり来たりしている、 
黒い布をどの巣箱にも掛けて行く。 

僕は、それを聴いて震えた。夏の 
太陽は、その中に雪の寒さを隠していたんだ。 
女の子が、蜂に語り聞かせていたこと、それを僕は分かってしまった。 
一人の人が、僕たち誰もが行くことになっている旅へと、行ってしまった、と。 

僕は独り言ちた。 
「メアリーは、今日死んだ人に涙を流している。 
たぶん、目も見えない彼女の祖父は、眠ってしまったのだろう、 
彼の苦難と苦痛の歳月は去ってしまったんだ。」 

ところが、戸口の敷居で、メアリーの犬が鼻を鳴らしている、 
その先には、老人の杖と顎がある。 
老人は、そこに座っていた。女の子は、まだ、 
歌っている。こっそり出たり入ったりしている蜂に教えている。 

女の子の歌う歌は、まだ続いていた、 
それが僕の耳に聞こえた。 
「かわいいはちさん、おうちにいてね、もうとんでいかないでね、
メアリーおくさまはしんでしまったの、いってしまったの。」

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2016年07月09日

Big Big Train 「 Telling the Bees 」訳

 Big Big Train のアルバム『 Folklore 』の最後の歌、「 Telling the Bees 」の訳。 

Telling the Bees | Big Big Train 


 「 Telling the Bees 」は、蜂飼いが自分の人生の節目となる様な出来事を蜂に知らせていた、と言うヨーロッパの伝承だそう。 
Telling the bees - Wikipedia, the free encyclopedia 
 それから、デビッド・ロンドン David Longdon さんは、アメリカの詩人 John Greenleaf Whittier ( 1807年生まれ、1892年没 )の詩「 Telling the Bees 」を踏まえているそう。1860年出版の詩集『 Home Ballads 』に所収。初出は1858年の雑誌『 The Atlantic Monthly/Volume 1/Number 6 』に。 
Telling the Bees - Poetry Foundation

The Atlantic Monthly/Volume 1/Number 6/Telling the Bees - Wikisource, the free online library






あの時、母さんは言った、「言っておくよ、お前…、 
父さんは行ってしまった。 
さあ、お前の番が来たんだよ。 
お前が、蜂に報告しなければならないんだ。父さんが死んだ、ってね。 
蜂の巣に黒い布を掛けて知らせるんだよ。 」 

そうして、今、私が蜂飼いになっている。 
何年かが過ぎた。ある日、
ジェニーが私の目を捉えた。
私は彼女に歩み寄って、キスしてくれと言った。
彼女の唇には、蜂蜜の甘さがあった。 

蜂に報告、蜂に報告。 

あの丘陵群の様に、あの巨石群の様に、馴染み深く、
蜂への報告は、私のこゝろの奥底にある様に感じる。 

蜂は、私たちの婚礼の日も、
知らされた、 
新婚の寝台に野花の花輪を
飾って、知らせたのだ。 
それから、二年過ぎて、私たちは息子を授かった、 
蜂は、私たちの過ぎ来し方を、その都度、知らせられているのだ。 

蜂に報告、蜂に報告。 

あの丘陵群の様に、あの巨石群の様に、馴染み深く、
蜂への報告は、私のこゝろの奥底にある様に感じる。  

報告には、喜びもある、 
胸の奥深くの悲しみもある、 
幸せの涙、悲しみの涙、 
涙は流れるままに…、 

蜂に報告、蜂に報告。
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2016年06月03日

The Beatles 「 Maxwell's Silver Hammer 」訳

 ポール・ビートルの「 Maxwell's Silver Hammer 」。 

 私には、この歌詞を訳すのは無理そうなので。歌詞の何所かに構成を読み解く鍵があるのだろうけれど。
三つのヴァース。三つのコーラス。
 各ヴァースに二つの文章、その各文章には二つの事柄が叙述されているので、全部で十二の事柄があるのだけれど。それらの事柄が、関係あるのか、関係ないのか分からない様に並べられている。もしかしたら、雑誌新聞などから、任意に十二の文章を切り出して、それを並べて、韻を踏ませて、あたかもストーリーがある様に組み立てたのかも知れない。 
 なので、訳すのにも、各文の文体を変えてみた。本当は十二の文体を使えばいいのだろうけれど。元の歌詞の文体は、ずっと同じに思えるけれど。 
 兎に角、歌のテーマは、物事が、思いも掛けず突然に、暗転すると言うことなので。 

元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
Maxwell's Silver Hammer | The Beatles 
Alan W. Pollack's Notes on "Maxwell's Silver Hammer" 
Maxwell's Silver Hammer | The Beatles Bible  

ポール・ビートルが影響を受けたアルフレッド・ジャリのこと:The Beatles「 Maxwell's silver hammer 」のこと 2: ノエルかえる不恵留 
1968年、ビートルズの周辺で実際起こった殺人事件について:The Beatles「 Maxwell's silver hammer 」のこと 8 『 Up Against It 』: ノエルかえる不恵留  
過激なフェミニスト、ヴァレリー・ソラナスの芸術家アンディ・ウォーホル殺人未遂事件について:The Beatles「 Maxwell's silver hammer 」のこと 11: ノエルかえる不恵留





 「マックスウェルのシルバー・ハンマーは、当時の私の「比喩」だったのです。物事が、出し抜けに悪くなって行く時に、この言葉を使っていました。そう言うことは屢々起こるものだと、その頃、私は気が付き始めていたのです。私は、こうした事態を象徴する何かが必要だと思っていたのです。そうです、何か、架空の人物にそうした事態を表象させることが、私には必要だったのです。それが、銀のハンマーを持ったマックスウェルだったのです。何故、銀だったのか、私にも分かりません。ただ、マックスウェルのハンマーよりも、響きが好いように思えたのです。音律的に、silver が入ることが必要だったのです。今でも、私たち ( ポールとリンダ? ) は、思いも寄らない事があると、この表現を使うのです。」  


ジョアンは、不思議好きな娘だった。
家に居ても、形而過学を研究していた。
毎夜深夜にも、試験管を手に、一人きりで、
、、、 
マックスウェル・エディソン、
医学部専攻学生。
彼女ヘ電話カケル。
「ジョアン、ぼく、きみと映画に行きたいんだけど。」
彼女が出掛けようとした、その時、
ドアにノックの音が一つ。
ゴムン、ゴムン。
マックスウェルの銀の鎚降臨、( 彼女 )の頭の上。
カアン、カアン。 
マックスウェルの銀の鎚、( 彼女 )は死んでいる、と確認。  

さて、一方、その頃大学では、
マックスウェルは大失態を演じてました、
教官はどうにか嫌な事態だけは避けたいと思っていたのですが。
彼女ハM君へユフ、ソノ侭ト、
ソノ時、既ニ、講義ハ終了シテイタ。
彼、後方ニ控エ、
書イテイタ、五十回。「我、有るまじきは
、、、」 
彼女がこの学生に背を向けた、その時、
彼は後方から忍び出る。
ゴムン、ゴムン。
マックスウェルの銀の鎚降臨、( 彼女 )の頭の上。
カアン、カアン。 
マックスウェルの銀の鎚、( 彼女 )は死んでいる、と確認。  

警官三十一号ハユフ、
「我等ハ卑猥ナ輩を捕縛セシ。」
マックスウェルはひとりで立ち竦んでいるのです。
讃画を描いているのです。
一枚、一枚、、、、 
ローズとヴァレリー。 
展覧会場で叫んでいる、
そう、この人は形式から自由になるのよ、と言っている。
審査員、肯ンゼズ、
彼ハ彼等ヘソノ旨告ゲル、
、、、 
言葉が唇を離れようとした、その時、
後ろで物音が一つ。
ゴムン、ゴムン。
マックスウェルの銀の鎚降臨、( 彼 )の頭の上。
カアン、カアン。 
マックスウェルの銀の鎚、( 彼 )は死んでいる、と確認。  

銀の鎚、 
ジョアンとマックスウェルは、確かに、死んでいる。
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2016年05月29日

The Beatles 「 Rocky Raccoon 」訳

 ええと、「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」の訳は難しくて捗らないので、「ロッキー・ラクーン」を。 
 ポール・ビートルの歌。 

 この歌、舞台に設定されているのが、ダコタのブラック・ヒルで、主人公には、Raccoon アライグマと言う名前が付けられているのだけれど。ブラック・ヒルは先住民族スー族が神聖な土地として崇めていて、それをアメリカ政府も保証していたのに、金鉱が見つかると武力で略奪した土地で、アライグマは、スー族が神の宿る動物とみなしていた動物。そうすると、ポール・ビートルは、この歌に、そうした歴史を含意させたのではないだろうか。
 それから、もう一人の主人公は、名前が三つある。Magill とLil と、Nancy。これが、ひとつは主人公にとっての名前、ひとつが自分自身の名前、ひとつが一般の人にとっての名前、と言う構造も興味深いのだけれど。これがマルガリータとアナスタシア、という復活を暗示する聖女の名前であり、Lily 百合は、キリストの復活を指す言葉で、歌詞の中の言葉、revival に関わる様に設定されているのにも、注目しないといけない。
 仇役のダニエルは、『ダニエル書』のダニエルだろうけど、それが、この歌とどう噛み合うかは、分からないのだけれど。

元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」:
Rocky Raccoon | The Beatles 
Alan W. Pollack's Notes on "Rocky Raccoon" 
Rocky Raccoon | The Beatles Bible  

Black Hills - Wikipedia, the free encyclopedia




話そう。名前は明かさないが、ダコタのブラック・マウンティン・ヒルの何処か、
若いあらいぐまロッキーが住んでいた。
ある日、ロッキーの妻が他の男と駆け落ちた。
ロッキーの眉間を打つ出来事だった。思いもしないことだった。
言った。「あの男をとらまえる。」
その後のある日、ロッキーはかちで町へと降りた。
鄙びた宿に部屋を取った。
ロッキーがしたことと言えば、ギデオン・バイブルに気が付いた、と言うだけ。
銃を用意して来ていた。
ロッキーは、仇の足を両方とも打ち砕くつもりだった。
あの男が自分の夢の数々を砕いた、とロッキーは思っていた。
自分にとって最高の女を盗んだのだから。
女の名前はマギル、自分ではリルと名乗っていたが、
誰もがその女はナンシーだと承知していた。
折しも、女と情夫、男はダンと名乗っていた、その二人は、
隣りの部屋で「踊り場」を演じていた。
ロッキーは蹴り入った。にっと歯を出した。
言った。「ダニー坊や、「見せ場」だ。」
だが、ダニエルは強者だった、素早く抜くと放った。
すると、ロッキーは隅に崩れ落ちた。
折しも、医者が来た、酒の匂いを放っていた、
よろよろと進み、卓に凭れ掛かった。
言った。「ロッキー、かたきに会ったか、」
ロッキーは言った。「せんせい、ただの「かすり」だ。」
「治る、治るさ。せんせい、おれはすぐに治るさ。」
そうして、あらいぐまロッキーは自分の部屋へ引き取った。
部屋には、ギデオン・バイブルだけがあった。
ギデオンは立ち去ったのだ。そして、バイブルを置いて行った。
恩恵でロッキーの蘇生を助けようとしたのに相違ない。
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2016年04月16日

Noël Coward「 World Weary 」訳

 ノエル・カワード Noël Coward の「 World Weary 」。

「 World Weary 」は、カワードが1928年に書いたミュージカル『 This Year of Grace 』の中の一曲。 

 でも、訳すのに使ったのは、1955年、アメリカのテレビ番組で歌ったもの。歌詞もインターネット上にあったものを参照して。 

World Weary - Wikipedia, the free encyclopedia 

This Year of Grace - Wikipedia, the free encyclopedia  





疲弊して鬱した気分の時には、放って置いて
呉れたら嬉しい、私は一人で、 
陽に浴した場所を夢見ているのだ、そんな日は、
一日、電話からも離れている。 
ビルディングがどんどん高くなっている様に思える
のは、空がほとんど見えないからだ。
どこか、遠望の効く静かな場所がないものだろうか、
その地所の何処にいても、
微睡むことの出来ような。 単調な寝息で。 

大都会に住んで、私は、世界に倦んでいる、飽いている、
大都会はあまりに物侘しい、
何もかもが灰色か暗褐色に見える。私は思い知った。
澄んだ青の海、
広く枝を張る大樹、
ピレネーから飛び出した鳥の視界、それを私は望むのだ。
月が昇るのを眺め、
膨れた赫灼の太陽が沈むのを眺め、
風が吹き渡り魅惑的な景色の空を過ぎ去る雲を観察したいのだ。
ところが、都会の街路を歩くと、行き当たるどの者も、私に嫌気を起こさせる。
私は、世界に倦んでいる、飽いている、
都会の操り人形には辟易しているのだ。
私は、たった今、自然に戻り、寛ぎたいのだ。

大都会に住んで、私は、世界に倦んでいる、飽いている、
大都会はあまりに物侘しい、
何もかもが灰色か暗褐色に見える。私は思い知った。
犂を引いた馬、それに、鷄、
情深くモーと鳴く牛が一頭、
「働く」と言う動詞が、
まるで似付かわしくない名詞「田舎」、それを私は望むのだ。
広々と開けた土地を見たくて、私は、焦燥感に駆られている。
熱心に私に追従する者たちはそこにはいない、私は、
彼らのまるで間抜けな顔に辟易している。
私は、世界に倦んでいる、飽いている、それだから、
私は、この線路に口付けしたい程だ、
たった今、自然へと戻って行きたい、
そこでは、きっと、地平線が見えるだろう、
私は、たった今、自然に戻り、寛ぎたいのだ。  

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2016年04月09日

The Beatles 「 Two of Us 」訳

 ポール・ビートルの「 Two of Us 」。 
 ヴァース/ ヴァース / ブリッジ / ヴァース の構成。( ヴァースの終部にフック。 ) 
 ヴァース部分は、二人の人物の応答になっている。Two of us と語り出す人物と、You and me と語り出す人物。
 曲全体の構成は、「 We can Work it Out 」と同じ。「 We can Work it Out 」はDメジャー、 Two of Us 」はGメジャーだけれど。「 We can Work it Out 」の系譜と言うか、発展、その後の様な感じ。けれども、私は、「 We can Work it Out 」のヴァース部分でのナラティブを一人の人物に訳していたけれど。再考すると、「 We can Work it Out 」のヴァースも二人の人物の応答に考えられる。 

元にしたのは、ビートルズのオフィシャル・サイトの「 Songs 」: 
Two Of Us | The Beatles 
Alan W. Pollack's Notes on "Two Of Us" 
Two Of Us | The Beatles Bible 


 歌詞の言葉で意味が分かり難い所: 
burning matches : 1643年のイングランド内戦の時の、議会派が丘の上に火の点いたままの火縄を置いていて国王派を欺いて退却した、と言う故事。
Battle of Lansdowne - Wikipedia, the free encyclopedia

lifting latches : リヴァプールの俗語で、パブで馴染みになって、見晴らしの良い席に通される様になったときの事。 

chasing paper : paper chase 兎狩りごっこ。子供の遊び。森でウサギになった子が、目印の紙を置いて隠れて、猟犬になった子が追い掛けると言う遊び。 
Paper Chase (game) - Wikipedia, the free encyclopedia 

 それから、直接は関係ないけれど、「 Writing letters on my wall 」の行、
wall には、イギリスでは、立羽蝶の意味もある。それも備忘しておく。 
UK Butterflies - Wall - Lasiommata megera  


 そうして、『 A hard day's write 』のリンダ・マッカートニーの証言: 
子供の時、私は迷子になるのが好きだったの。よく、父さんに、さあ、迷子になりましょう、って言っていたわ。でも、本当の迷子にはならなかったみたいね。結局は、何処にでも標識があって、ニューヨークであれ何処であれ、住んでいる所に導いてくれるのね。それでね、私がポールと一緒にイングランドに引っ越した時だけど、( 娘の ) マーシャを後ろに載せて、自動車で、ロンドンから出て行ったのね。高速道路に乗ると直ぐに、「迷子になっちゃいましょう ( 失踪の意味も )」と私は言ったの。それで、標識なんか全然見ずにドライブを続けたの。それで、この歌の「 two of us going nowhere 」と言う行が出来たのね。ポールが「 Two of Us 」を書いたのはその頃ね。あれは、私たちのことなの。私たちは、どこか森の様な所に自動車を止めたの。私は自動車を降りてあたりを歩いたわ。その間、ポールは自動車の中に居て、曲を書き始めたの。それから、絵葉書のことも歌に書かれているわね。あの頃、私たちは、お互いに絵葉書を送り合っていたのよ。 




女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、どこにも通じていない自動車道路ね、 
でも、それもどこかのどなた様かが、財を注ぎ込んでつくったものなのでしょうねえ。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、日曜時間のゆっくりした速さで自動車旅行をしてるだけさ、 
中々着きそうにはないけれどね、それでもね、我が家へと帰る道にはいるんだよ。」 

女と男「わたしたち、 
私たち、我が家へと帰る路を辿っている、 
結局は、我が家へ帰ることになる。」 

女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、いつまでも配達中の絵葉書ね。 
でも、わたしは、その絵葉書、わたしのお部屋の壁に押しつけて書いたのよ。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、火縄を点けたままにしておいた、そうして周囲を欺くんだよ、 
ほら、それが閾を越える許しだったんだ、我が家へと続く道が展望出来るよ。」

男、独白「お前と私には、幾つもの思い出がある。 
それは、今目前に延びている道よりも、まだ、先にまで残っていく思い出さ。」

女「ねえ、あなた、 
わたしたちふたりは、ずっと外に出しっぱなしのレインコートね。 
もう、天気になって陽が差しているのに、空っぽのレインコートが立ってるの。」 
男「ああ、お前、 
お前と私は、兎狩りごっこを遊んで、印の紙を追っているのだよ、 
堂々巡りで、何所か別の所へ抜ける分けではない、最後には、我が家へ戻るんだよ。」
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2016年03月19日

Philip Larkin「 At Grass 」訳

 パートリッジにも影響を与えている詩人 Philip Larkin の「 At Grass 」。ムールディングの「 Grass 」に接するところもある様に感じます。 
 訳して見ましたけれど、この詩の全体の二重性を盛り込むことは、私には出来ません。例えば、第五スタンザの grooms と言う語、「厩務員」と言う意味と、「花婿」と言う意味があり、それは、聖書の言葉とも関連するのだろうけれど、ああ、第三スタンザの Numbers も聖書と関連があるかもしれないし、、、 
 第三スタンザは、後藤明生によれば、それまでのスタンザと違って、強弱弱強格 choriamb で、馬の動きを暗示しているのだそう。そこは、パカ、パカ、と歯切れのいい様に努めたのですが。 



元にしたのは、All Poetry :
At Grass by Philip Larkin - Famous poems, famous poets. - All Poetry   





視覚では、とても、あの涼し気な陰に 
隠れている、彼らを、見て取れない。けれども、 
風が吹いて、尻尾をそれから胴を、陰から追い立てると、
わかった。一頭が草の先を齧りあたりを動き回っている、 
− もう一頭はながめている −  
でも、立ち止まると、また、見わけられなくなる。  

まだほんの十五年前だ、たぶん、 
レースは二十四回で事足りた、それで、
彼らは伝説になった。柔らかな陽の午後に、 
カップ・レースと ステイク・レースとハンディキャップ・レースが行われて、 
活気を失っていたクラッシック・レースの六月に、誂え向きに、 
彼らの名前が、花を添えたのだ。 

スタートの勝負服。空の色と好対照。 
群衆と傘の群れ。場外に、 
空の車の隊列。そして、熱気。 
そして、千切れた草が散る。すると、人々の喚声が、 
少しも和らがないで伸び続ける。静かになる時、 
通りでは、新聞の緊急割り込み記事が出てるのだ。 

様々な思い出は、蝿の様に、彼らの耳をうるさがせるのだろうか? 
頭を振る。夕闇が情景を一色に染めて行く。 
一夏、一夏と、何かが気付かない内になくなる、
スターティング・ゲート、群衆、喚声、何もかもがなくなった。 
何もかもなくなった、でも、苦しむことのない草地はある。 
年鑑に載せられて、彼らの名前は生きている。でも、彼らは、 

自分たちの名前を捨てて、久しく、のんびりと立ち尽くしていたり、 
愉しいと思えば、走り出す。 
けれども、ゴールに走り込む彼らを見る双眼鏡はひとつもなく、 
おせっかいなストップ・ウォッチが予報することもない。 
厩務員たちがいるだけ。それに厩務員の見習い。 
夕方になると、馬勒を持って遣って来る。  

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2016年03月06日

Philip Larkin「 Cut Grass 」訳

 フィリップ・ラーキン Philip Larkin には、 grass と言う語を使ったタイトルの詩が二つある。一つは、1950年1月3日の「 At Grass 」、詩集『 The Less Deceived 』に所収。もうひとつは、詩集『 High Windows 』に収められた、1970年6月3日に書かれた「 Cut Grass 」。 

 調べていると、雑誌『英語青年』1979年03号に、後藤明生が「 At Grass 」について書いたものがあることを知った。 

 それで、後藤明生がどう書いているかを知りたいから、「 At Grass 」は次にして、「 Cut Grass 」を。 
六月がテーマの詩で、若い生命が中心なのだけれど、老いと死も合わせて書かれていて、私には、XTC 『 Skylarking 』のムールディングの歌が連想される。 

元にしたのは、All Poetry の : 
Cut Grass by Philip Larkin - Famous poems, famous poets. - All Poetry





切られた草が萎えて倒れる、その時、
一度にどっさり、鎌で刈られた茎が、吐く、
吐息はあっという間。 
での、その死は、長い長い間がかかる、そう、 

草が死ぬのには、世界が白くなっている間が要る、 
そう、六月の若葉の季節の間、 
栗の花が、
生け垣に雪の様に白い花を散らせている間が、 

それに、四月のアン女王のレースの白い花がなくなった、 
小径に、ライラックが白い花を垂らしている間、 
それに、空高く聳えた白い雲が、 
夏の速度で動いている、あの時間が掛かる。 


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2016年02月27日

The Beatles 「 Helter Skelter 」訳

 ポール・ビートルの「 Helter Skelter 」。 

 歌詞の内容はとても分かり難い。ヘルター・スケルターはイギリス英語では、螺旋状の滑り台の意味。それで、マッカートニーには、その滑り台のイメージで、ローマ帝国の盛衰を表象したと言うこと。特に、死をテーマにしているらしい。それを手掛かりにして訳してみました。
 でも、やっぱり、「 You may be a lover,
 / But you ain't no dancer. 」の行は分からない。それで、語のスペルを変えて見るとかもして見て、lover を rover に。それなら、放浪者になって、何となくイメージを結ぶけど。では、dancer は? cancer 癌 ? それは変かなあ、と。l とd を反対にしてみたら、dover と lancer。ウシノシタ ( カレイの一種 ) と槍騎兵。それなら、古代ローマ帝国とのイメージも繋がるかも、と思ったり。
( あ、a lover、この行で、愛人と言う意味は浮かんで来ないと思う。愛好家、でも何の?? ) 
 それで、you が何なのかが問題。最初は、ヘルター・スケルターを指しているのかとも思ったのだけど。この歌詞が一人称の語りとして、語り掛ける相手を設定していると考えるのか、どうかも確信が持てないし。時制が現在形だけと言うのも何なのだろう? と思うし。おはなし時制??? 
 ともかく、マザーグース的な雰囲気にはしたいと思ったし。 

それで、下の様な訳。 
元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」: 
Helter Skelter | The Beatles 
Alan W. Pollack's Notes on "Helter Skelter" 





すべりだいのそこに着いたら、てっぺんにもどろうとしたの、ぼく、
でも、足がとまって、そこで、ころんで、滑りだしたの、ぼく、
奈落におちたら、また、あえるかもね、冥府のおうさま、
わーい、わーい、わーい、わーい。 

ねえ、冥府のおうさま、ぼくにいてほしいの? そうでないの? 
ぼく、とっても速くおちてるけど、まだまだ、ずっとうえだよ。 

おしえて、おしえて、
さあさあ、おしえて、
冥府のおうさまったら、おどりの愛好家なんだろうけど、
ぜったい、ぜったい、舞踏家ではないよ。 

わあ、これはまるで、ぐるぐるすべり台。
ぐるぐるすべり台。
ぐるぐるすべり台。 
わーい。 

ねえ、冥府のおうさま、ぼくに到着してほしいの? 
ぼく、とっても速くおちてるけど、おうさまを突き抜けてしまうかなあ? 
おしえて、おしえて。 
冥府のおうさまったら、うしのしたかもしれないけど、
ぜったい、ぜったい、槍騎兵ではないよ。 

ほら、ぐるぐるすべり台。 
わあー、 

ほら見てよ、死神がきたよ。 







追記: 
この歌、「 The Fool on the Hill 」「 Mother Nature's son 」と一連の、( 当時の ) 現代文明の崩壊の予感、警鐘の歌なのかも知れない。そして、先の「 The Fool on the Hill 」「 Mother Nature's son 」と違って、希望がないように思える。バベルの塔も連想させるし。
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2016年02月25日

Helter skelter

 「 Helter-skelter 」と言う語が、一般によく知られた歌に使われた、最初のものは、ディズニー映画『バンビ』( 1942年 )の中の歌「四月の歌 Little April Shower 」なのかも知れない。作詞は、Larry Morey ラリー・モーレー。 
 Disney Song Lyrics と言うサイトのものを元にしたけれど、オフィシャルサイトなのかどうか分からない。 

 Helter-skelter が使われている部分は、終わりの方で、 
Gay little roundelay
Song of the rainy day
How I love to hear your patter
Pretty little pitter-patter
Helter-skelter when you pelter
Troubles always seem to scatter のところ。 




ぽたり、ぽたり、ぽとり、
可愛らしい四月のにわか雨さんったら、 
君がそこいらじゅうに落ちるとき、
叩いて音を出すんだね。 

ぽたり、ぽたり、ぽとり、
可愛らしい四月のにわか雨さんったら、
君が出すそのきれいな音、
いったい、なにと比べられるだろうねえ、 
きれいな音だよ、 
きれいな音だよ、 
ぽたり、ぽたり、ぽとり。 

ぽたり、ぽたり、ぽとり、
お空が曇ってくるとね、 
君の可愛らしい曲が、 
今を色いっぱいにするんだよ。

ぽたり、ぽたり、ぽとり、
お空が曇ってくるとね、 
君は、歌と一緒に、きゅうに現れるんだ、 
きれいなメロディと一緒にね。 

お空が曇ってくると、
君は、可愛らしい歌を歌いながら、きゅうに現れるんだ。 

陽気な可愛い輪舞曲だよ、 
雨の日のための歌だね、
僕は、君の早口を聴くのが大好きさ、 
可愛い、ぴちゃぴちゃ早口が大好きさ、 
でも、どしゃ降りになると、こまるんだ、 
頭が尻尾のてんやわんや、みんなを追い払ってしまうよ。


posted by ノエルかえる at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月20日

The Beatles「 Mother Nature's son 」訳

 ポール・ビートルの「 Mother Nature's son 」。 

 「 The Fool on the Hill 」に繋がる歌だと、思います。もしかしたら、the Fool と、Mother Nature's son は同一人物かも。
 それで、nature は、ラテン語の nascor ( 生まれる ) から出来た語なので、それで、神格化されている様なので、産神と訳してみました。 

元にしたのは、ビートルズのホームページの「 Songs 」: 
Mother Nature's Son | The Beatles 
Alan W. Pollack's Notes on "Mother Nature's Son" 


質素な農村の人間として、ぼくは、
儲けられた、産神の息子なのだ。 
一日中座っているだけのぼく、そして、みんなに向けて歌うんだ。 
山肌を落ち流れる水筋の側に座るぼく、そして、母が現れるのを待っている。 
そして、母が飛び去る時の、音楽の様な美しい音に耳を澄ますんだ。 
母は、ぼくを見つけるよ、ぼくの住む草原の中にいるぼく、
産神の息子を見つけるんだ。 
雛菊の花群を揺さぶるぼく、そして、太陽の下、ゆっくりな歌を歌うんだ。 
ぼくは、産神の息子。 




追記: 
Sit beside a mountain stream, see her waters rise. の行、
ここの rise 、私は、水位が上がると言う意味には取りません。源を発するの意味だと思います。 
山の水流の脇に座り、その水が湧いて出るのを見る。 なのだと思います。
その様子を神格化して女神/母神の姿のイメージとして、上の様な訳にしました。
Find me in my field of grass は、その母神への呼掛けなのだと思いますが、
平叙文にして上の様な訳にしました。 

追追記: 
それで、次のように訂正してみました。  


質素な農村の人間として、ぼくは、
儲けられた、産神の息子なのだ。 
一日中座っているだけのぼく、そして、みんなに向けて歌うんだ。 
山肌を落ち流れる水筋の側に座るぼく、そして、母が現れるのを待っている。 ( 母は湧く水の姿 ) 
そして、母が飛び去る時の、音楽の様な美しい音に耳を澄ますんだ。 ( 母は渡る風の姿 ) 
母は、ぼくを見つけるよ、ぼくの住む草原の中にいるぼく、
産神の息子を見つけるんだ。 
雛菊の花群を揺さぶるぼく、そして、太陽の下、ゆっくりな歌を歌うんだ。 
ぼくは、産神の息子。 
posted by ノエルかえる at 18:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Philip Larkin 「 The Tree 」訳

 アンディ・パートリッジにも、影響を与えている詩人、フィリップ・ラーキン Philip Larkin の詩「 The Tree 」。1968年5月に初出。 
 この詩などは、パートリッジの「 The Everyday Story of Smalltown 」「 Season Cycle 」「 Easter Theatre 」に繋がるように思える。 


The Tree

The trees are coming into leaf
Like something almost being said;
The recent buds relax and spread,
Their greenness is a kind of grief.

Is it that they are born again
And we grow old? No, they die too,
Their yearly trick of looking new
Is written down in rings of grain.

Yet still the unresting castles thresh
In fullgrown thickness every May.
Last year is dead, they seem to say,
Begin afresh, afresh, afresh.  




樹が葉を着けようとしている。 
そして、まるで、この様に言っているかの様だ。 
「新しい芽が和らぎ開く、 
葉々の緑は、ある意味、悲しみだ。」 

「葉々はまた新しく生まれる。
だが、私たち樹は、老いるだけなのか?」 いや、葉々も死ぬのだ。 
葉々が新しく見える妙技は、
種に印された環に書かれているのだ。 

それで、こうして今でも、毎年五月には、 
目一杯に生い茂った樹冠は、絶え間なくそよぐのだ。 
葉々はこう言っているかの様だ。「去年のは死んだ、 
新しくなるのだ、新しくなるのだ、新しくなる。」  


元にしたのは、All Poetry の:
The Trees by Philip Larkin - Famous poems, famous poets. - All Poetry 

Poetry archive.org には、ラーキン本人の朗読の音声がある:
The Trees | poetryarchive.org
posted by ノエルかえる at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする