2019年09月17日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 7

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 1

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 2: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 3: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 4: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 5: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 6: ノエルかえる不恵留





バーンハート「歌詞は貴方ご自身の経験からだと、私にはどうしても思われるのですが、ディナー・パーティーを催したか出席したかですね、その時の様子を、歌詞の絵筆を執って覚えている場面を描いて見せた、と言うことではないのでしょうか?」
モールディング「友人同士で一つところに集まって楽しくやってる男たちについてですよ。宴会ですね。みんなが一斉にしゃべっているのです。それに、女たちも集まって一斉にしゃべっている。男と女で違うのですが、ある意味では、同じなのですよね。それに触れたらユーモラスだろうな、と思っただけなのですけれどね。」   
バーンハート「良く出来た洒落もありますね。「 hip hooray 」の行です、私にはすぐにピンときました。「 poor chap who put it on display 」が何を言っているのか、と言うことですが。」
モールディング「( クスクス笑う ) ええ、いつでも、度が過ぎる人がいるものですよね。飲み会では、専門的な話をしたがる人もいますし、行儀の悪いことをする人も、必ずいますからね。ズボンを下げて、チンポをぶら下げて歩き回る人というのがですね( 笑う )、それとか、まあ、似た様なことをするのですね。規準を超えてしまう人が必ずいます。それは、いいパーティーの特徴ですね。」 
バーンハート「私はこの歌の背後にあるセンチメントがとても好きなのです。ささいなことの為に過ごす時間なのですね。人は、始終、真剣である必要はないのですね。」
モールディング「ええ、その通りだと思います。人々は、このように書かれた歌に触れることがなくなってきているのです。ビールを手にして泣いている、と言う歌を書かなければならない、と言う状況になっているかの様です。それが、今のポピュラー音楽産業では推奨されているのです。私は、それではパッとしないと思うのです。」 
バーンハート「もしかすると、ボブ・ディランとそれに続く大衆化したソングライターに時代が戻っているのかもしれないですね。現実世界の悲惨さを直視する深刻な姿勢の芸術家になろうと考えている人たちはいるものです。芸人、エンターテイナーにはなりたくないと言う人たちです。」
モールディング「ええ。私は自分自身をエンターテイナーだと思ったことはないのですけれど。泣き所の真ん中に当たるセンチメントを書くことは出来るでしょう。でも、そのセンチメントというのが、孤独とか涙とか、そう言ったものである必要はないのです。 
 こうした歌が、人を涙に誘うと言うのは驚くべきことです。もし誰かがその歌を分析しても、その歌は悲しい歌ではないのですから。その様な歌は、たぶん、本当になることを長い間夢見ていたことの実現なのでしょう。そん方が悲しい歌よりもずっと泣けてしまう様に、私には思えます。悲しい歌は、私を惨めな気持ちにします。そうではなくてですね、私を泣かせてしまう歌と言うのは、多くの心痛の後で、何かが成し遂げられたと実感させる歌なのです。貴方が、何が貴方に涙を催させるか、何が本当に感動させるかを分析してみたら、貴方はきっと驚くだろうと、私は思いますよ。」 
バーンハート「この歌では、貴方がこうしようと思っていたことを完遂できたと思っていますか?」
モールディング「はい。その点でしたら、たぶん、この歌が私の思うところに命中した歌ですね。他のどの歌よりも、真ん真ん中に命中したのです。この歌を思い付いた時からです、それに、この歌に私が望んでいたこと、そういうことに関して、この歌は、自らが持っていた可能性を目一杯に実現したのです。私はそう思います。それに加えて私が言いたいことはですね、レコーディングのために、私とデイブとヘイドンで過ごした二週間、あるいは三週間でしょうけれど、その時間が、私のレコーディングの全経験の中で、一番に幸せな時間でした。多分そうだと、私は思うのです。」  





おわり、
誤訳、疑問点を指摘してくださると助かります。 


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2019年09月11日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 6

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 5: ノエルかえる不恵留





バーンハート「録音の順番はどうだったのか、と疑問に思っていました、そこを教えていただけますか? まず、プレイリー・プリンスさんとドラムのトラックを録って、それから、グレゴリーさんと一緒に、録り終えたドラム・トラックの上に、そのほかのパートを作り上げていったのでしょうか?」
モールディング「ええ。プレイリーはドラム・トラックを録り終えたら帰国したのだったと思います。 
 私が思うところでは、私の曲に彼がどういう貢献をしたかと言えば、「ミルクをかき回した」と、おそらく彼は言うのではないでしょうか。彼は、「肉と二種類の野菜」をしたかったのでしょう。私の曲は、彼の能力を最大限に発揮させることがなかったのです。」  
バーンハート「ですが、貴方も言われた通り、曲の構成はむしろシンプルなものなのですから、そのシンプルさの感覚を正確に把握するのは、却って、難しいものでしょう。」
モールディング「そうですね。ドラムズが正しくなければ、曲はガタガタになりますからね。速度を正しくするということに加えて、ドラムを正しく録ると言うことは必須であり、不可欠なことなのです。レコーディングに関わる経験が重なれば、それだけ、ドラムを正しく録ることの重要性が理解されていくのです。プレイリーと再会して、新しい仕事が出来ることになって、私はとても満足していました。」
バーンハート「私は、デモ・テイクと完成版を注意して聴いたのですが、第一ヴァースの歌詞に、違うところがあるのです。こうです:「 Like who did what at the office do / They say she was covered with paper and glue 」。完成版ではこうです:「 Pour ourselves a glass of stout / ANd let our Rael Brook shirts hangout. 」。貴方が、どうしてこう変更されたのか、覚えてられるかどうかは、分からないのですが。」
モールディング「そうですね、私もデモ・テイクを作るのですが、そのデモ・テイクと言うのは、音の展示台の様なものです。それを聴いて思い出すのです。デモ・テイクが必ずその通りになるのでもありません。歌詞やメロディーリズムといった全てがピッタリ合っているかどうかを確認するために、デモを作るのです。出来るだけ、デモを作る様にしています。歌詞を後から聞き直した時に、そうですね、私は本当に何度も聞き直します、「そうだなあ、なんだかちょっとうまく行ってない様だなあ。」と思うことは、しばしばあるのです。つまりですね、完成されるまでは、出来上がってはいないのです。と言って、お分かりになるでしょうか? 何週間かは、訂正に費やさなければならないのです。本当にそうなのです。デモは、完璧に仕上げられている図であって、その図を現実の世界に押し出すために他の人に見せるものだとは、私は考えていないのです。デモ・テイクはスケッチなのです。私は、いつも、デモからかなり変えてきました。私はデモを手荒く扱っていますから。 
 アンディーがデモでしていること、デモに対する考え方は、私ととても違っています。アンディーは、デモを本物の雛形と考えているのです。でも、私は、それがいい方法だとは思っていません。私にとってはですね。スタジオ内で、何かの弾みで起こることと言うのは、本当に面白いものなのです。それで、皆んなが空に飛び上がるのですから。 
 私自身は、デモ・テイクにあるものを、各奏者に正確にどの様にすべきかと指示していく、と言う姿勢で制作に臨んではいなかった、と私は思っています。デモを追い回すのは、いい気晴らしではないだろうと思います。デモ・テイクが、当の曲に於いて、何かの不可思議な力を持つと言うことはあり得ます。それはその通りだと、私も固く信じています。でも、その不可思議な力を一旦置いておいて、「さあ、別のマジックを作ってみよう。」と言うべきなのです。 
 これまでいつも言ってきたことですが、歌詞とメロディーが上手く合っているのかどうかを分かることが、重要なのです。もし、歌詞を変える必要があるのならば、メロディーにピッタリ合うものと替えるのです。」   





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2019年09月05日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 5

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 4: ノエルかえる不恵留





バーンハート「ところで、先程では私たちはピアノ・パートのことを話したのですが、この曲で私が聴き取れる他の鍵盤楽器には、メロトロンがあります。ただ、それが不思議なのです。貴方達は、このアルバムではオーケストラを使うことが出来たからです。しかも、一方では、明らかに本物の管楽器が使われています。本物の弦楽器群ではなく、メロトロンを選び取ったのはどうしてなのですか?」
モールディング「正直に言って、オーケストラはまるで頭に浮かびませんでした。メロトロンを使うとですね、メロトロンのストリングスの音は、何だか現実離れしているのですよ、映画の様なと言うか、夢の中のことの様な感じなのです。そうですね、ちょうど、とても古いハリウッド映画のサウンドトラックか何かそうしたものを聴いている様な感じなのです。私の場合、そうした場面を描こうとすれば、必ず、メロトロンになってしまうのです。この歌の、あのパートに割り当てるのに、本物の弦楽器を使うと言う考えは、私の頭にはまったく入ってこないのです。一方で、私は、本物の管楽器を使いたいと思っていました。それははっきりと分かっていたことなのです。メロトロンは、デイブがスタジオで使っていました、それであのパートを考え出したのです。その考え出されたパートは、曲によく合っていました。 
 管楽器のパートは、私たち三人でスコア化しました。私とデイブとヘイドンの三人です。」  
バーンハート「それを私は尋ねたいと思っていました。と言うのも、スコアを書いたのは、マイク・バット Mike Battさんだろうかと想像していたのですから。( マイク・バットはこのアルバムの他の曲のオーケストラのアレンジをしている。 )」
モールディング「違いますよ。アレンジは、私たち三人です。メロディーを提案して、キーボードのサンプル音を使って雛形を作ってみて、と言う風にして三人で編曲していったのです。ヘイドンがそれを録音しました。そうして、その録音したものから、デイブが譜面を起こしたのです。その後で、あの晴れがましい日です、その楽譜をアビーロードへ持ち込んで、卓抜した演奏者たちがそれを演奏してくれたのです。ぞくぞくしました。」 
バーンハート「眼に浮かぶ様です。貴方がそれを聴かれた時には、きっと、壮大で本物のアコースティックの音響が正にそこに広がったのでしょうね。その音響は、歌を別の段階に押し上げたことは間違いがありません。」
モールディング「そうです、本当に。管楽器は、高貴なファンファーレの様なところがあります。音は驚く程に素晴らしかったです。そこで、ヘイドンが「ねえ、どうしてスタジオに行って指揮を執らないんだい? 音響の只中に居るのは間違いないのに。」と言ったのです。それで、私はそうしたのです。スタジオに行って指揮を執ったのです。彼らが私の指揮を見て見ぬ振りをしてたかどうか、それは分かりませんけれど。私は演奏時間の間、手を動かしていただけでした。そこで音が入って来なければならない所とか、その他の指揮を執る時に人がするだろうと思われると私が考えていたことをしたのです。でも、もっと色んな要素が指揮にはあるのですよね、本当はね( 笑う )。ものすごくぞくぞくしました。お菓子屋さんに居る子供の様でした、そのものでしたね。」 
バーンハート「ええ、貴方の頭の中で、一つの楽想として生まれ出てきたものが、丸々、実現化されるのを耳にすると言うのは、夢見る様なことに違いないですね。」
モールディング「その通りです。加えてです、アビーロードに居たのです。アビーロードの大スタジオですよ。オーケストラが演奏している間中、その中に座っているのですよ。まるで、魔法の絨毯に乗っている様なのです。ふわふわ浮かび上がりますよ。大きな音なのです、荘厳な音なのです。素晴らしい一日でした。」 
バーンハート「プレイリー・プリンスさんが、この曲ではドラムを担当していますよね。ブラシを使っている様に聴こえるのですが、貴方はどの様だったかを覚えていますか?」
モールディング「ブラシだったと思います。」 
バーンハート「特にこんな感じにして欲しいとか、あるいは、こう言う演奏法でとか、貴方は彼に注文をしたことを覚えていますか?」
モールディング「私たちは、一度はこの曲のテイクに合格を出していたのだったと思います。もう、缶の中に収められていたのです。その後、二日後だったと思いますが、もう一度再生して聴いてみたのです。その時に私は、「どうも、僕にはピンと来ないな。もう一回やり直さないか。」と言ったのです。理由は今でもわかりません。でも、私にはどうしてもしっくり来なかったのです。 
 時にはです、周りの人たちの好みに惑わされると言うこともあるのです。「わあ、ほれは素晴らしいですよ、よく出来たテイクです。」とみんなが言うとですね。それに同意してしまうのです。でも、一人で後になって聴き直すと、「どうだろう、僕にはいいテイクなのかどうか、自信がないなあ。僕の頭の中にあったのと全然違うぞ。」と思う様になるのです。 
 それは置いておいてですね、セッションの最後になった時だっと思います、私は、「これをもう一度やり直せるかい?」と聞いたのです。それで、私がギターをボロンボロン弾いて、デイブがキーボードを打ち込んで、それで、ドラムのテイクを録ったのだったと覚えています。そのテイクはずっといいものでした。 
 最初のテイクでは、私たちは、最終ヴァースに於いては、ドラムを使わなかったのだったと思います。どう言うことだかお分かりでしょうか? 私が望んでいたスウィングの感じがなかったからです。ちょっと、「ドン、バシン」が過ぎたのです。ビートに乗る「ドン、バシン」が大き過ぎたのです。 
 勿論、スタジオを使うのですから、費用がかかります。また、承認する様にと言う圧力も感じるのです。でも、それは、おそらく、承認すべきものではないのです。それで、熟考して、二日後に、再録音したのです。チッピング・ノートンで録った最後のドラム・トラックだったと思います。ヘイドンのスタジオに行く前でした。」 
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2019年09月02日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 4

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 3: ノエルかえる不恵留





バーンハート「以前に貴方はベース・パートについて少しだけ話して下さいました。そこで、今回は、そのベース・パートについて伺いたいのです。デモ版とアルバム『 Apple Venus 』の中の完成版とでの、もう一つの違いは、ベース・パートでの短い引用にあるのです。それは、ビートルズの「 With a Little Help from my Friends 」からの引用なのですが。あれは意図的なのですか? 私は、そこにマッカートニーを垣間見るのですが。」
モールディング「( クスクス笑う ) ええ、多分そうでしょうね。」 
バーンハート「貴方は、私が話した[ ベースの ]フレーズを分かっていましたか?」
モールディング「ええと、スキップする様なところですか? そうですよね。もう本当に可笑しいことですけれど、ヘイドンは、この歌に、他のビートルズの曲の借用を指摘していました。コード進行なのですけれどね、彼は、「 She’s Leaving Home 」をなぞっていると言うのです。どこかと言いますと、( 歌う )[ 歌詞の ]「 She’s leaving home, bye-bye 」のところです。同じ様な降下があるのです。( 歌ってみせる )、[ 歌詞の ]「 We’re all so frivolous tonight 」のところ。訴訟を起こされないといいですけれど。( 笑う )」 
バーンハート「( 笑いながら ) そんなことはないですよ。模倣は最も誠実なお世辞ですからね。」
モールディング「ええ、この歌はヒットはしてないですからね。彼らが訴訟を起こして私から何を取れるかは知らないですけれどね。( クスクス笑う )」 
バーンハート「[ 「 With a Little Help from my Friends 」からの引用を ] 私は音楽的な駄洒落だと思っていました。と言うのはですね、歌詞では、友人たちとダラダラと時を過ごすことを歌っているのですから、それで、「 With a Little Help from my Friends 」から引用したのだろうと思っていたのです。」
モールディング「はあ、成る程! 私も、ファンとして他のソングライターの曲をその様に捉えていました。ところが、ほとんどの場合、その曲が出来上がった過程とは何の関係もないのですよね( 笑う )。この歌の場合もその例の一つですね。貴方が言われる様に、友人たちと過ごすことを歌っているので「 With a Little Help from my Friends 」を引用しようと言う様なことは、まるで考えていませんでした。でも、そうした、ビートルズ印を探せる様なところはたくさんありますね。「 Good Day Sunshine 」もやっぱりあるでしょうね、そうでしょう? ( 笑う )」 
バーンハート「どのベースを使ったかは、覚えていますか?」
モールディング「ええ。ヴォックスです。旧式の、ボックス・アポロです。[ Vox Bass Guitar - Wikipedia ]」 
バーンハート「それは、T・ボーン・バーネットさんから貰ったものですね?」
モールディング「確かにそうです。とても気に入っています。あのベースには、昔風の本当のベースらしさがあります。」 
バーンハート「ヴォックスは、この曲の全部を通じて、本当に上手く「パンチ」しています。」
モールディング「私が思うのに、「パンチ」が適当な語かどうか判断がつきません。でも、ヴォックスは、ベースの「中心核」なのです。轟音はありませんよ。能動回路[ アクティブ・サーキット ]のある今のベースが出す様なものはですね。」 
バーンハート「私が「パンチ」という意味は、そのことだと思います。音が丸くて、でも、力があるのです。」
モールディング「そうですね。私は、「 Rain 」でのマッカートニーのベースの音に心酔しています。あるいは他には、「 Paperback Writer 」で出す様になったあの音です。あれは、現在まで、最高のベースの音だと私は考えています。まだ、誰も、あれ以上のものは出せていません。」 
バーンハート「そうだとするとですね、リッケンバッカーを手に入れようと考えたことはありますか? 持っていたことはあるのですか?」
モールディング「誰かが私に贈ってくれるのを希っています! ( 笑う ) 私の息子は、グラウンドホッグス The Groundhogs [ The Groundhogs - Wikipedia ] のファンなのですけれど、そのバンドのドラマーと少し話す機会があったそうなのですが、と言うのも、私がそのバンドのリッケンバッカーを使っているベース・プレイヤーの音をいつも良いと言っていたものですから。ピート・クリュックシャンクと言う人です。そうだったと思いますが。それで、息子のリーに、「ドラマーに、ピートはまだリッケンバッカーを持っているのか、持っていたら売る気はないのか、を聞いてくれ。」と言っていたのです。( 笑う )、それですからね、私は、まだ、欲しいのですよ。 
 もちろん、リッケンバッカーには他のベースもあります。ポール・マッカートニーは、初期型の4001を持っていましたよね。後から作られたものに、微妙な音の違いがあるのは当然ですね。そんなに単純なものではないのです。」 
バーンハート「クリス・スクワイアさんも、リッケンバッカーを使うことで有名ですね。」
モールディング「そうでした! あの人こそ、他のどのベース・プレイヤーよりもリッケンバッカーを売った人ですよね。’70年代のことですけれど、「 Roundabout 」を聴いて誰もがリッケンバッカーを欲しくなったのですから。」 
バーンハート「あの独特の音色といったら!」
モールディング「本当に。彼は、自分のリッケンバッカーでもっと色々な吠え声を出していましたね。他には、デイブ・ペイトン Dave Paton というベーシストもいました。パイロット Pilot のベースです[ David Paton - Wikipedia ]。パイロットを聴かれたことがありますか?」 
バーンハート「いえ、聴いたことがありません。」
モールディング「イギリスのグループです。’70年代に、素晴らしいポップ・ソングのシングルを何枚も出しています。「 Magic [ Magic (Pilot song) - Wikipedia ] 」を聴いたことがないですか? ( 歌う )」 
バーンハート「ああ、それですか! もちろん、聴いたことがあります。」
モールディング「これがパイロットです。「 January 」がその次のヒット・シングルです。そうだったと思うのですが。ギター・プレイヤーも、ベースと同様に優れたプレイヤーでした。私は、ずっと、デイブ・ペイトンが出す音が好きでした。彼も、また、リッケンバッカーを持っていたのです。それに、モーリス・ギブ Maurice Gibb [ モーリス・ギブ - Wikipedia ]も、ディスコのヒット・ソングでリッケンバッカーを使っていましたね。あれも素晴らしい音でした。」   



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2019年08月27日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 3

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 2: ノエルかえる不恵留





バーンハート「完成された版には、たくさんのコーラスが使われています、私は、貴方達は規模の大きな曲にしようと話し合ったのではないか、と思うのですが。」
モールディング「私たちは、何種類かのピアノを試してみたのです。私たちは、ヘイドン・ベンドールの地元のケントにある彼のスタジオで作業していました。[ ここの原文は、We were working in Kent, down at Haydn Bendall’s studio. ベンドールの出身地はエセックスで、『 Apple Venus 』を製作した主なスタジオはオックスフォードにあるチッピング・ノートン・スタジオなのだけれど、この辺りの事情は、私はよく知りません。 ] アンディーは、恋人に会いにアメリカに行ってました。それから、TVT レコードに寄る予定だったのです。アメリカでのレコード販売がどうなるか確かめに行ったのです( アンディー・パートリッジは、当時、バンドのレコード販売の契約をする会社を探していた。 )。アンディーは、「君の歌を進めておけよ。」と言って出ました。それで、デイブと一緒に二週間をかけたのです。デイブと二人それにヘイドンとも一緒ででとても楽しかったですよ。アンディーが帰って来たときには、実際、彼がすることはほとんどなかったのです。私の二曲のために、アルバムに私が書いた曲はその二曲でしたから、ちょっとギターを弾いただけでした。たぶん、彼のギター用に残しておいたのだったと思います。それで、その他のほとんどは、どの楽器も、デイブと私とで済ませていたのです。 
 ピアノ・サウンドは、ヘイドンが持っていた、サンプルです。私は、彼に、ピアノの音はもう少し大きいものがいいと、要求していました。ピアノが歌を引っ張っていくからです。ピアノが要の歌なのです。それで、「どの機種が使える? 大きな音を出すピアノはない様だけれど。」と尋ねました。そうしたら、彼はこう答えたのです。「私が持っているサンプルから探してみよう。」 それで、実際に、使われたのは、彼のコンピューターの中にあったあるサンプルの音なのです。それは、瞬時の泡の様な感じの音でした。それが良かったのです、曲に合ったのです。なんだか、スケートのアイス・リンクにあるピアノの様な感じ、移動公園にあるピアノの様な感じなのです。」
バーンハート「私は、貴方達は古いアップライトのピアノをどこかで見つけて、その音を電子加工したのだろう、と思ってました。」
モールディング「あれは、全くの電子音なのです。旧式映画の音の様ですよね。大きな映画館か、公会堂かで弾かれている様な音ですね。」 
バーンハート「それは、貴方が望んだ音なのですね?」
モールディング「私は、とっても快活な音が欲しかったのです。ヘイドンは幾つかのサンプルを聴かせてくれたのですが、ぴったり来そうに思えた音が再生された時には、私は大声を挙げる他なかったですね。その音が耳に入った時、「やった、この音だ!」と言ってね。みんなが飛び上がりましたよ( 笑う )。 
 デイブは、ピアノ・パートを仕上げるのに苦労しました。私が歌う主メロディーの音の幾つかは、実際、コードから外れているのですから。悪魔のハーモニー[ 三全音: 三全音 - Wikipedia ]に近いものになりました。」 
バーンハート「ブラック・サバスですね!」
モールディング「( 笑う )、本当に。私が歌う音が根音からは三全音になっているところがあるのです、けれども、デイブが和音を振り当てていて、「不協」になる効果を打ち消しているのです。私たちは、それが不協和音そのものに聴こえない様に、何とかして考えたのです。再度言いますが、デイブは、本当に上手に和音を振り当ててくれたのです。ピッタリ合う音を和音に選んでくれたのです。」 
バーンハート「ええ、ピアノは素晴らしいです。グレゴリーさんは、あまりに過小評価されているキーボード奏者です。誰もが、彼に卓越したギタリストと称賛を贈っています、実際に偉大なギタリストです。でも、同時に、素晴らしいキーボードを幾つも演奏しているのです。貴方の作品では、特に、たくさんのキーボードを弾いている様に思えます。」
モールディング「私は思うのですが、デイブが秀でているところは、作者が何とかしようとしていることに対して、細やかな感受性を持っているところなのでしょう。それはどの作者にとっても、恩恵になります。作者が自分がしたいことを正確に把握していないことは、屡々あることなのです。それで、その望んでいることを言い表すのに、かなり怪しい言い方をしてしまうのです。でも、デイブは、その不確かな言い方をとても上手く通訳してくれる人なのです、私はそう思っています。」 
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2019年08月21日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 2

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 1: ノエルかえる不恵留





バーンハート「この歌そのものについては、何が切っ掛けになったのかを覚えていますか?」
モールディング「ジュリー・アンドリュースの歌った「 My Favortite Things 」がいくらかのヒントだったのだと思います。それに、ノエル・カワードの「 I’ve Been to a Marvelous Party [ I Went to a Marvellous Party - Wikipedia ]」という題名の歌もです。どちらも歌詞は家庭内を舞台にしたものですよね。最近では、そのような歌詞を誰も書かなくなっています。家庭内の些事に誰も興味を持たなくなっているのです。どうやって「 Frivolous Tonight 」を思いついたか、思い出せないのですけれど、「 My Favortite Things 」や「 I’ve Been to a Marvelous Party 」が頭にはあったのです、それに、「 Happy Talk [ ミュージカル『南太平洋』の中の歌:Happy Talk (song) - Wikipedia ]」のような歌もです。そういう歌たちがたくさん関与していたのです。」
バーンハート「さて、この歌を書くについてですが、まずは座って、ギターでコード進行を考えたのですか? あるいは、歌詞を最初に考えたのでしょうか? それとも、一緒に出来ていったのですか、覚えていらっしゃいますか?」
モールディング「私は、メロディーを鼻歌で歌って、それに歌詞を合わせていくと言うのは好きではありません。一緒に出来上がっていけばいいのですがね、私はそれが好ましいと思います。一緒にできていくと言うのが、健全なのだと、私は思うのです。この歌もそうだったと思います。まず、「 let us talk about 」と言う句が浮かんできて( 歌ってみせる )、それについて考えるのです、「 Happy Talk 」と似ていると思ったのです、同じ間隔があると思ったのです。 
 まあ、それは置いておいてですね、私は「 let us talk about 」と言う行を考えつきました。歌全体がそこから出て来たのです。人の想像力と言うものは、ちょうど鳥がパッと飛んで移動する様に動くものなのですよ。その動きは、言葉が連結していく過程だと思います。メロディーと歌詞は一緒に出来上がっていくのです。それが自然な過程なのです。」 
バーンハート「私は、この歌のデモを聴いたのですが、貴方がこれをギターで書いたのは確実だと思うのですが…」
モールディング「ええ。」 
バーンハート「デモは、スタジオで作品化したものよりも、少し、叙情性を抑えてある様に思えます。」
モールディング「これがピアノの歌になることは、私には初めから分かっていました。それと、下降するベースラインは考えついていました。でも、ギターではこの歌は上手くはいかないと分かっていたのです。歌を生き生きとさせるのには、甲高くて大きな音のピアノが必要だと思っていたのです。 
 そう言うことが偶にはあるのです。例えば、今の私は思うのですが、アンディーの初期の歌「 Ladybird 」にしても、彼は、ピアノで演奏すべきだとの意思をはっきりと表明していました。私は、自分ではピアノが弾けません、難しいのです。それに、音楽の仕事をしている人ならば、誰でも分かっていることですけれど、ある楽器で書かれたものを他の楽器用に書き換えると言うのは、簡単なことではないのです。[ 楽器本来が持つ ] 音程に正しく合わせないといけませんし、ボイジングもちゃんとしなければなりませんから。」 
バーンハート「では、そう言った[ 音程を合わせるとかボイジングするとかの ]作業はどの様に行ったのですか? デイブ・グレゴリーさんはこの歌では多くの仕事をされていますよね。貴方は彼と一緒に机に着いて、「この歌で僕がしたいのは、こう言う感覚なんだ。」等と言いながら作業されたのですか?」
モールディング「いいえ。デモ・テープを送っただけです。「ピアノ出したいんだ。」とは言ったと思います。それで、彼はそれを実現すべく取り掛かったのだと思います。ですから、ボイジングのほとんどは、彼が仕上げた仕事だと、私は言う他ありませんね。メロディーはもう出来上がってましたから、彼は、私が何で気分を害するか、何で自分を賞賛して来るか、分かっていましたから。彼は上手くやりました。それはお分かりですよね( 笑う )?」 

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2019年08月15日

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 1

トッド・バーンハートさんのコリン・モールディングへのインタビュー。「 Frivolous Tonight 」について。2009年3月29日に、MySpace で公開のもの。今は、チョークヒルのアーカイブに保存されています。 

Chalkhills: XTCFans: Colin's Take: Colin discusses 'Frivolous Tonight"





バーンハート「さて、これまで、私たちは、貴方のこれまでの全仕事の中から四曲についての対談をして来ました。今回は、「 Frivolous Tonight 」です。『 Apple Venus 』セッションの中からこれを選ぶのは、良い選択の様です。と言うのは、それは少なくとも私の思うところではですけれど、この歌が、直近の貴方の書法を凝縮しているものの様に思われるからです。貴方は、最近では内省的になっている様に思われます。歌詞の面では、家庭内の出来事に焦点を当てている様です。音楽の面では、懐古的なスタイルを採られています。」
モールディング「そうですね。私は思うのですが、人というのは、その人が学んだことの総体なのではないでしょうか、貴方も同意されると思うのですが。ソングライターとしてですが、私は、ライターであるのだから、この上なく誠実に書かなければならない、そうでないと、書いた歌を真面目に受け取って貰えないのだから、と駆け出しの頃は考えていました。少しでも不真面目なものについては、頭を向けることが出来なかったのです。と言うのはですね、私のことを真面目に受け取ってくれる人は一人もいない、と私は感じていたからです( クスクス笑う )。 
 ですが、年齢を重ねてくると、「そう言う考え方は的を外している。」と思う様になるものです。私は、私が好きな歌、例えば、コール・ポーターの「 Let’s Do It 」ですが、その様な歌に注意を注ぐ様になったのです。「 Let’s Do It 」は傑作ですね。たくさんの行に、聴き手を騙す様ないたずら的な語法が使ってあるのです。「 Let’s Do It 」を聴くと、これまで私は歌をまったく間違った仕方で考えて来たのではないかと、思う様になったのです。それで、このアルバムの時には、軽佻な流儀で歌を書いて見ようと考えたのです。」
バーンハート「意図してそうしたのですか?」
モールディング「定まった方針があったとは、言うつもりはありません。流れでそうなった、と言うことです。その頃ずっと、ノエル・カワードのものをたくさん読んでいたのです。それに、[ ミュージカル ]ショーの創成期の頃の曲を注意して聴いていたのです。ロジャース&ハマースタインですよ[ ロジャース&ハマースタイン - Wikipedia ]。それに、同じ頃のその他のものも。そうしていると、このライティング・スタイルで一度書いてみたいな、と思ったのです。 
 その頃、私たちは、ヴァージン社に対してストライキをしている最中でした。記憶に間違いがなければですけれど。まあ、たくさんの水が橋の下を流れて行ってしまったのです。その期間、私は、なんどもなんども『 My Fair Lady 』や『 West Side Story 』を聴いていたと思います。それに、他のミュージカルの音楽もです。このスタイルで書いてみたいと思う気持ちは、この様に、他の人が作った音楽を聴くことを通して、起こったのです。( クスクス笑う ) 私の場合、大抵は、そうして事が起こるのですよ。」 
バーンハート「そのスタイルの音楽は、もっと若い時も、少年時代にも、たくさん聴いていたのですか?」
モールディング「私は、その手の音楽は嫌いでした。大人の音楽ですからね。興味がありませんでした。ブラック・サバスの「 Paranoid [ Paranoid (Black Sabbath song) - Wikipedia ]」と、どうやって合うのです? ( 笑う ) ミュージカルは、ヘビーじゃありませんでしたから。」 
バーンハート「( しばらく笑う ) それはその通りですね。でも、ミュージカルの音楽のいくつかは、貴方が望みもしないのに、貴方の中に浸み込んでいたのでしょうね、私はきっとそうだと思います。」
モールディング「本当のことを言いますと、今は、あの手の軽佻なものが大好きなのです。」 
バーンハート「気持ちの変化はいつ起こったのですか?」
モールディング「歳を取っていったと言うことに尽きますね。40代か50代になった時だと思いますよ、その頃になると、人は、何が好きかと言うことで他人から評価されることを気に掛けなくなるのです。その歳になると、それがどうした、と言うことになるのです。ちょっとどうかなと言うものを好きになっても、それも構わないと思うようになるのです。それで、そんなものを好きになっても、他の人の注意を惹こうと、それについて口にすることはないのです。その曲というのは、おそらくはですね、自分の父親が「ハイ・ファイ」で聴いていた様な、ずっと昔の曲なのです。 
 私の父は、ボブ・ディランの大ファンでした。私がまだ幼児の頃、父が『フリーホイーリン・ボブ・ディラン[ https://ja.wikipedia.org/wiki/フリーホイーリン・ボブ・ディラン ]』を聴いていたのを覚えています。元々、私は、音楽は真面目なものだと考えていました。それで、ミュージカル・ショーの曲は、ラジオでちょっとだけ耳にしていたと言うだけです。でも、貴方の言う様に、人はそれを聴いてしまっていて、その人が思っている以上に、その人の内奥に入り込んで行くのでしょう。後年になって、それが現れて来るのですね。」 





バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 2: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 3: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 4: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 5: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 6: ノエルかえる不恵留

バーンハート、モールディング対談「 Frivolous Tonight 」について 7: ノエルかえる不恵留

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2019年04月21日

Warren Vaché ‎『 Iridescence 』

 ウォーレン・バシェ Warren Vaché ‎のアルバム『 Iridescence 』、1981年。

Warren Vaché - Iridescence (Vinyl, LP, Album) | Discogs

 ジャケットのアートワークが『 Apple Venus 』と似ているから。( 前にメモしたかな? 検索してもない様だけど、 )
孔雀の羽、でも、『 Apple Venus 』とは上下が反対。 

 ウォーレン・バシェは、アメリカのトランペット奏者、ジャズ音楽家、1951年生まれ。お父さんも同じ名前で、ジャズ・ベーシストで評論家。おとうさんは、Sr. で息子は Jr. 。
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2012年08月17日

Say it 訳

 ムールディングの「 Say it 」。

 歌詞は、チョークヒルのサイトにあるものを見たのですけれど、テキストを眺めるだけで、美しさに感心してしまいます。入念に選ばれた言葉が丹念に並べられている感じ。
 『 Apple Vinyls 』では、「 Apple Venus 」サイドに入れられていたと思うので。


胸襟を開いて、
言ってしまいたいと思ったことを話してごらん。
言い難いことなのかもしれない、
けれど、ともかく、言ってしまうんだ。

紅茶とトースト、
そんな朝食を摂る、その時に、話してごらん。
誰が焼いたトーストが一番好きか、
それを言わずに、出掛けてはいけない。

墓地の入口で、
それを言っておけば良かった、
と、悔やむ人は幾人もいるもの。
そんなふうに、溜息を吐く一人に、君もなってしまってはいけない。
だから、今、話してごらん、迷わずに。

場所なんて、それが何処でも、
八時三十一分発ユーストン駅行きの
満員電車の中でもだよ。話してごらん。
同じ時は二度とこないのだから。

ただ一人の人に、話してごらん。
毎日、君の背広の襟にブラシを懸けてくれる人だよ、
それに、寒い十二月に、まるで温かい五月でのあるかのように、
外をぶらつきながら君を待ってくれる、その人だよ。

墓地の入口で、
それを言っておけば良かった、
と、悔やむ人は幾人もいるもの。
だけれど、私たちは、そんな失敗はきっとしないだろうよ。

さあ、話してごらん、それが何処ででも。
さあ、話してごらん、面と向かって。
さあ、
後生だから、話して。
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2012年07月09日

And let our Rael Brook shirts hang out

 先日、flowerlava さんと言う方が、ご自分のブログで「 Frivolous Tonight 」を訳されていて、とてもいいもので、私は好きなのですが、一つどうしても気になることがあり、私見をコメントに投稿しました。ご返事も頂き、私にはとても参考になりました。
 その部分と言うのは、「 And let our Rael Brook shirts hang out 」の行です。レイル・ブルック・ワイシャツをズボンの外に垂れ下がったままにする、とご理解されての訳でした。( そのような訳は、日本盤のライナーノーツの対訳も含めて多々あります。 )  そこに、私は疑問を感じたのです。
 実は、私も最初は、そのように受け取りましたけれど、歌詞の物語り ( と言う程のストーリーはないのですが ) の流れを考えれば、どうしても、それではしっくり来ないように感じたのです。
 それで、hang out に「洗濯に出す」と言う意味があるので、そちらをとったのでした。ただ、その時には、シャツを洗濯に出したまま、取りに行かずにいる、と言う意味に考えました。

 そこで、flowerlava さんは、「 Sometimes I drink my scotch neat and sometimes I loosen my tie and let my shirt hang out 」と言う例文を示されて、シャツを出している様子ということを説明されました。
 私は、仕事から帰って、仕事用のシャツ・レイル・ブルック・ワイシャツを着替えないまま飲みだして、シャツが着乱れてしまった様子が想起されて、一旦、納得しました。
 ですが、歌詞に再び戻ってみると、やはり、それはおかしいことに気がつきました。「 And let our Rael Brook shirts hang out 」は、歌詞の世界の始まりの部分、パーティーがこれから始まると言うところです。とすれば、ここは、「さあ、仕事用のレイル・ブルック・ワイシャツは脱いで洗濯に出しましょうよ」と言う、呼びかけと取る方が自然だと。
 この歌の登場人物たちは、レイル・ブルック・ワイシャツを着ているのですから、銀行か証券か保険かの金融に関する仕事をする人たちで、中間管理職、仕事場では苦しい立場と思えます。彼らが、仕事を終えて、パブなどではなくて、自宅に帰って、少ない友人だけのパーティーをするというのが、歌の世界です。
 ですから、さあさあ、着心地のよくない仕事用のレイル・ブルック・ワイシャツは脱いでしまいましょう、さあ、飲み始めましょう、と言う場面なのだと、思います。ジャケットを脱いでネクタイを外して、シャツをはだけて、さあ飲みましょう。でも、歌の世界は成り立つと思います。その方が滑稽感があるかもしれません。ですが、私は、レイル・ブルック・ワイシャツという仕事を表象する事物が視界から除かれる、「洗濯に出す」方をとります。


 それで、その部分を訂正。
 それから、同じムールディングの「 Ten Feet Tall 」の訳、From strength to strength の部分を訂正。
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2012年03月26日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 12

ベルナール「貴方も空いた空間を満たしたいとお考えですよね。」
プリンス「ええ、それはそうです。私が曲を組み上げられれば、もっと感情的にすることを試すことが出来たら良かったのに、と思いはします。ですが、私がそう言うと、アンディは必ずこう言ったのです。「いいや。全く同じ調子を保ったまま、出来るだけ激しく叩いてくれないか。」 全く取りつく島もないのです。
 トッド・ラングレンの仕事の為に私たちが雇っていた前の音響技師は、客席係の男でしたけれど、彼は、After Show [ ステージが終わった後に流すテープ ] を作っていたのですが、何年もの間、「 Stupidy Happy 」で初めていたのですよ。 ステージが終わって客席の照明が点くと直ぐに、彼は、「 Stupidy Happy 」を始めるのです。」
ベルナール「その音響技師は、その曲を貴方が演奏していると言うことを知っていたのですか?」
プリンス「さあ、どうでしょう。彼の一番のお気に入りのその歌で、私が演奏していることを知っていたかどうかは、分かりません。でも、ずいぶん後になって、私が彼に話しました。彼は、XTC の大ファンだったのです。」
ベルナール「それは、可笑しいですね。ミュージシャンの中で、XTC はよく知られているのですね。ミュージシャンたちは、必ずと言っていい程、XTC を知っていますね。
 「 In Another Life 」では、貴方は、曲の間中ずっと、大きな大きな音のバス・ドラムを鳴らしています。あの音を出す為に、何か特別な仕掛けをしたのでしょうか。『スカイラーキング』のことをお話頂いた時に、「 Sacrificial Bonfire 」で、偽のティンパニーを作られたと話して頂いたのを、私は覚えているのですが。」
プリンス「あのようなことは、『 Apple Venus /Wasp Star 』では何もしていません。あのセッションの時は、私とコリンとエンジニアだけだったと思います。それで、コリンがこう言ったのです。「単純に、それで、君の思うままに叩いてよ。」 それで、そうしたのです。出来上がったものに、コリンは満足していたと今も思っています。」
ベルナール「ムールディングさんは、貴方と一緒に演奏したのですか?」
プリンス「いいえ、コリンは一度も私と一緒に演奏はしませんでした。『スカイラーキング』の時は、一緒にしました。それで、『アップル・ビーナス』のセッションでも一緒にするつもりかと聞いたのですけど、コリンは、その必要はないと思う、と言ってました。それで、私は意気消沈して一人で演奏したのです( 笑い )。」
ベルナール「( 笑い ) 「だけど、僕は一緒が好きなんだ、一緒に演奏したいんだ!」」
プリンス「ええ、そうです。私はコリンと一緒に演奏するのが大好きなのです。それに、デイブとも。あ、それに、アンディとも。ですが、この録音では、ほとんど私一人で演奏したのです。」

( ここで、会話を録音していたテープが終わり、次のテープに入れ替えるのに失敗。続きは、もし出来れば、後日に。 )




おわり
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2012年03月25日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 11

ベルナール「ええ、他の楽器に飲み込まれる前にですよね。
 そて、では、『 Wasp Star 』に話を進めましょう。アルバムに使われた歌についてお話し下さい。もちろん、貴方が覚えていらっしゃる、完成版に使われなかったものについても、私は聞きたいのですけれど。」
プリンス「分かりました。最初の曲は「 Playground 」でした。[ 完成版のドラムは、Chuck Sabo 。 ] あの曲は、とても楽しく演奏しました。私は、とても上手く演奏出来たと、録音の時は思いました。ですが、完成版を聞いた時には、「良くはないにしても、自分のバージョンも好きなのだけどな。」と思ったことを、正直に言わないといけないでしょうね。それでも、私のドラムもよく鳴っていたのですよ。
 このアルバムに入れられたた、チャック・サボの演奏で私がもっとも驚愕して、打ちのめされたのは、「 We're All Light 」です。彼は、抜きん出た演奏をしています。」
ベルナール「あれは、力強いうねりがありますね。」
プリンス「そうです。頑強なグルーブです。私の演奏もそれに近いものだったとは思うのですが、アンディは満足していませんでした。それに、「 You and the Clouds 」もです。その二曲は、あのアルバムの中で、アフリカ風の響きがある曲ですね。チャックは、本当にすごい演奏をその二曲でしていると思います。」
ベルナール「ええ。その二曲での彼の演奏は、はっきりとうねりがあって、流れているようです。
 「 Stupidly happy 」では、XTC は、貴方の演奏をそのまま使っていますね。あまり難しいドラムでは…、」
プリンス「( 笑い ) どれ程大変だったか、分かって下さったらなぁ、、。私は、何度も何度も何度も繰り返したのです。きっと、100回は遣ったと思います。」
ベルナール「一つの歌を、ずっと揺れもなく簡単なものを一貫して叩くのは、色々切り替えたり、ドラム・セットの各ドラムを全部使うよりは、より一層難しいですものね。」
プリンス「そうです。一時に、ラモーンズの三人のドラマーがいる様な感じですよ( 笑い )。
 ですが、何も変えずに、同じものを何度も何度も繰り返すのは、心底大変なのです。アンディが歌を作り上げる過程で、それぞれの楽器を加えて行くのに応じて、それに合うようにするには、ほんのちょっと激しさを増すことが許されるだけなのです。ドラムをもっと昂ってもっと大きな音にしようとしても、曲は同じ部分なので、そんなことをするのはもっての他なのです。」
ベルナール「貴方は、ガイド・ギターと大まかなボーカルだけを聴いて演奏して録音するのですから、難しさは尚更ですね。」
プリンス「その通りです。」
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2012年03月24日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 10

ベルナール「『 Apple Venus 1』の最後の曲は、「 The Last balloon 」です。」
プリンス「この曲で、私が一番好きな部分は、ヴォーカルがフリューゲルホルンを導き込む所です。それに、この歌に付けられたオーケストレーションです、…、もうまるで魔法です。」
ベルナール「曲全体が、宏大な大気を感じさせますね。ドラム・セットの全部を貴方が演奏したのでしょうか? と言うのは、ライド・シンバルはパートリッジさんが叩いているように、私には思えるからですが。」
プリンス「ライド・シンバルも、私が叩いたと思います。」
ベルナール「貴方ですか?」
プリンス「ええ、確かに私です。私は、今日、この曲を聴いて見ました。それで、ライド・シンバル以外にも私が演奏したものがないかどうかを思い出そうとしたのです。ブラシも演奏したと思います。ですが、本物のドラムの音か気球の「熱気」の音か、私ははっきりと言うことが出来ません。もう一度、聴いてみるつもりです。
 ですが、たぶんですが、私が演奏したのは、ライド・シンバルだけかもしれません。兎も角、それは確かに私です。もう一度出来ますよ ( 笑い )。アンディに訊いて確かめて下さい。それでも、私は、このライド・シンバルのパートだけの為に、何時間も費やしたのを覚えています。」
ベルナール「( 笑い ) なるほど。他の楽器はまだなくて、ドラムのパートだけに集中出来れば、正確なドラムを録音することは容易だとお考えなのでしょう。
 私がまだレコーディングをしていた時ですが、最初に、メトロノームとドラムだけで、それと、頭の中にある歌だけで、録音するのが好きなのだと知りました。貴方がドラムズだけを聴くとすれば、もうそれだけで、全てが分かるのですね。響きのいい、感触のいい骨格と成るドラム・トラックが出来上がった上で、その上に他の楽器を被せることで、より良い音像が作れることを貴方はご存知なのですから。」
プリンス「間違いはありません。その通りです。レコーディング過程で、私が遣り遂げた基礎の部分を聴き直すことが、私はとても好きなのです。それは、簡単なギターと、ベ−スにドラムだけです。それだけで、歌を理解出来るのですから。私は、The Tubes で遣った基本トラックをたくさん持っています。それを何度も聴いています。バンドが他の楽器で圧し潰してしまう前のドラムの響きを聴くのが、とても好きなのです。」
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2012年03月23日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 9

ベルナール「次の歌は、「 Harvest Festival 」です。この曲も、ブラスティックの様に聞こえるのですが。」
プリンス「この歌では、本物のブラシを使ったと思いますよ。」
ベルナール「この歌の他の部分では、スティックを使ってはいませんか?」
プリンス「ええ。主要部分で使っていますね。…、録音の時には、私のパート部分が来るまでどうか上手くいきます様にと祈りながら震えて控えていました。その日、百回目の録音の時ですね。もちろん、もちろん、アンディに非はありませんよ ( 笑い )。」
ベルナール「( 笑い ) パートリッジさんは、どうしたいのか自分でよく分かっていますから。」
プリンス「ええ、アンディはよく知っています。それに、どうやって実現するかも知っています。眠る前、夕食前に、何とか出来て嬉しかったです( 笑い )。
 私は、「 Harvest Festival 」が好きです。私の恋人、ダイアナは、セッションの半ばに渡英して来ました。それから、一緒に滞在したのです。朝食を一緒に食べて、アルバムの曲が作り上げられるのに立ち会ったのです。ダイアナがいてくれたことは好都合でした。と言うのは、あの時、私は誰かの支えを必要としていたからです。それに加えて、私とダイアナは付き合い始めて間もない頃で、このアルバムの歌は、私の彼女への愛の素敵な思い出を思い出させてくれるのです。」
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2012年03月22日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 8

ベルナール「「 I can't own her 」が次の曲です。アルバム収録の曲の中で、私には、もっともオーケストラルな曲の様な印象があります。特に、終末部に於いてです。貴方は、そこの部分では、トムを演奏しているのですよね。」
プリンス「ええ、 Martin Denny [ マーティン・デニー:1911年生まれ、2005年没。アメリカの作曲家、エキゾチカ exotica を作り出した人。 ] のことを考えて演奏しました。デニーが、Trader Vic レストラン [ サンフランシスコにあるレストランのチェーン店、エキゾチックな料理のレストラン。 ]で流れている様な、循環するトムのパターンを作ったのですから。」
ベルナール「この曲でも、ドラムのチューニングに際しては、パートリッジさんは、貴方にピッタリとくっ付いて調音したのですか。」
プリンス「仰る通り、正にその通りです。アンディは、トムを曲の他の部分・楽器と正確に合う様にしたがっていました。シンバル・スウェルの大きな響きと、小さな響きは、別々に録音されました。
 何て豪華な曲なのでしょう。これは、私の一番好きな曲ですね。「 Green Man 」には躍動感があります。でも、「 I can't own her 」には、途方もない感覚があるのです。まるで、美しい夢のようです。」
ベルナール「このように、弦楽が厚く増されると、骨の髄まで感動するのではないですか?」
プリンス「そうですね。」
ベルナール「この曲は、デモ・テイクの段階から良くなったものの中で一番良くなったものだと、私は思います。オーケストラと、管弦楽法は、正に、次の次元に進んでいます。」
プリンス「それは、「 The Last Balloon 」もそうです。この二曲での、オーケストラは、信じられない次元のものです。
 XTC が、アビー・ロード・スタジオでオーケストラのセッションをしている時には、私はそこにいませんでしたけれど。」
ベルナール「貴方のドラムのパートを録り終えると直ぐに、XTC は、アビー・ロード・スタジオに行ったのでしょうか?」
プリンス「二、三週間か、一ヶ月後だと思いますよ。私がそこに行くと言う予定はもとよりありませんでした。でも、立ち会えたらよかっただろうにと思います。」
ベルナール「アビー・ロード・スタジオで仕事をしたことがありますか?」
プリンス「いいえ、ありません。ニッキー・ホプキンズの仕事で録音をした時には、サヴィル通りのビートルズのスタジオ、アップル・スタジオを使ったことがありますが、アビー・ロード・スタジオではなかったのです。」
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2012年03月21日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 7

ベルナール「『 Apple Venus 』に戻りましょう。「 Your Dictionary 」に可愛らしいタンブリンとベルが鳴っていますね、そう聞こえるのですが。」
プリンス「あれは、全部アンディです。あの歌では、私はなにもしていませんから。でも、あの歌は大好きですけれど。私には、とてもビートル的に思えます。」
ベルナール「私にも、そう聞こえます。私には、デモ・テイクの方がよい様に思えます。と言うのは、直の感じ、生の感じがしますから。」
プリンス「私も同じ様に感じています。」
ベルナール「貴方とパートリッジさんは、この歌について、ドラムを使うかどうかを話し合ったのでしょうか、その上で、お二人ともが、使わないことに決めたのですか?」
プリンス「アンディがドラムを使おうと意図してたとは、私は思いません。彼は色々なことをして、私が去った後、付け加えたのだと思います。私がこの歌で何かしたとは、パーカッションを聞いてみても、全く思い出せないのです。」
ベルナール「「 Fruit Nut 」が次の曲です。貴方がこの曲に施したものは、とても優れていますね。例えば、ヴァース部分での、ハイ・ハットの三連譜。それから、コーラス部分での、素晴らしいアクセントを添えています。私が、ムールディングさんに「 Frivolous Tonight 」のことを話して頂いた時、ムールディングさんは、貴方に、「meat and two veg [ 典型的な英国の食事 ]」的な演奏を頼んでしまった、と言われて、申し訳なさそうなご様子でした。ですが、実際には、ムールディングさんは貴方にそれ程緊張を強いてはいず、貴方には自由な余地があった様に、貴方の言葉では、感じられるのですが。」
プリンス「コリンは私に、少しばかりの余裕を呉れたと覚えています。「君が思うままに演奏して」と言う様なことを言っていました。私は、とても速く仕上げました。私とコリンは、二、三回で仕上げたのだったと思います。「ものすごく上手くいったと思うよ。これで録音しよう。」とコリンは言っていました。彼も、やはり、いくつかの彼の考えを私に示しました。でも、コリンは、ドラム・パートにはとても満足していました。随分変な歌ですよね ( 笑い )。」
ベルナール「ムールディングさんのデモ・テイクは、パートリッジさんのものの様には、出来上がってはいないですよね。完成版をお聴きになって、きっと驚かれたのではないですか?」
プリンス「そうです。相当に驚きました。実際、コリンのデモ・テイクは至って簡略なのです。私の記憶が正しければですけれど。彼自身の歌とアコースティック・ギター、それに、少しだけのドラム・マシーンでしたから。」
ベルナール「「 Fruit Nut 」では、シンバルを使いましたか?」
プリンス「そうではなかったと思います。ハイ・ハットだけです。」
ベルナール「ムールディングさんは、何か特別な要求をされましたか?」
プリンス「コリンが鈍い殴打のの様な音が欲しいと言っていたのを覚えています。Troggs [ トロッグス ] の様な感じですね。
 スタジオで退屈していた時か、あるいは、何か他の時だったかもしれませんが、誰かが、トロッグスのアウトテイクをスタジオに持込んだことがあったのです。私たちは、それを全部聴きました。誰もがよく知っている部分が鳴り出すと、( アクセントを真似て ) 「ドラマー! 奴らに一杯吹かせてやろう。」と言ったのです。無茶苦茶でしたね、死ぬ程笑いました。楽しい日でした。」
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2012年03月20日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 6

ベルナール「「 Green Man 」は、相当に大掛かりな作品です。」
プリンス「デモ・テイクを初めて聴いた時には、たくさんある中で一番好きな曲でした。アンディが私のドラムを加えた完成された版よりも、むしろ、デモ・テイクの方が、私は好きなくらいです。実は、完成された版のドラムの音には、少しばかりがっかりしているのです。デモ・テイクでは、完成版よりもドラムの音が前に出ているように聞こえていました。デモでは顕著だった中近東的な躍動感よりもオーケストラの方が重要だと、アンディは結論付けたのだと、私は思います。」
ベルナール「ですけれど、この曲でも、貴方の素晴らしい演奏があります。それは、本当に異彩を放っています。ちょうど、ヴォーカルが入る直前で、演奏されている三連譜なのですが、…」
プリンス「ええ、私は、二つの装飾音を加えました。」
ベルナール「何を使われたか覚えていますか? どういうドラムだったのでしょう?」
プリンス「いつも使っているドラムだったと思います。」
ベルナール「音を高く調音したのですか?」
プリンス「少し高めに合わせたのだったと思います。トムをタブラの様な音が出る様にしました。それに、響線を外して、底を引上げたスネア・ドラムを使ったと思います。そうすると、甲高いドラムの様に聞こえるのです。たぶんそうだったと思います。…、そうだと言って下さいよ ( 笑い )。貴方が色々と質問をするののですから、ちょっと、もう一度聞いてみなければなりませんよ。
 この曲の録音以来、私は、「 Green Man 」の歴史を色々と調べてみたのです。アンディが、この神格に私の興味を向けたものですから。」
ベルナール「貴方の絵画制作に、パートリッジさんの考えが入り込んでいるのでしょうか?」
プリンス「そうです! Lyle Workman ( ライル・ワークマン ) のアルバム『 Tabula Rasa 』のカバー・ジャケットがそうです。そこに、グリーン・マンからの影響が表れています。あれは、本当のグリーン・マンではないのですけれど、頭に葉が載っています、それはつまり、全体的に再生が主題になっているのです。
 私は、ワークマンの最近作三作のカバーを描きました。ちょうど、最新作『 Harmonic Crusader 』が発表された所です。あれは、全部がインストロメンタルで、荘厳で、交響的な管弦楽法が使われていて、ジャズの影響が大です。」
ベルナール「それらのアルバムで、貴方は演奏もしているのですか?」
プリンス「ワークマンのレコードでは、残念ながら、演奏はしていないのです。次のアルバムでは、演奏させてくれる様に要望をしています。私に演奏を依頼しないならば、ジャケット・カバーは描かないから、と、彼には言ってあります( 笑い )。「もちろんですとも。」と、彼は言っていますけどね。そんなことは、彼は思ってもいないでしょうね。と言うのはですね、彼は、第一級のドラマーと仕事をしているのですから。サイモン・フィリプス Simon Phillips、ヴィニー・カリウタ Vinnie Colaiuta [ ザッパ・バンドのドラマー ] です。」
ベルナール「なんとまあ、残念ですねえ。」
プリンス「ええ、悔しいですけど。ワークマンのレコードでの、ドラムのソロは、それはもう、信じ難い程素晴らしいものです。」



Lyle Workman
『 Tabula Rasa 』(2001)
プリンスさんのイラスト:
Lyle Workman – Tabula Rasa ≪ Lyle Workman


20-lyle-workman-tabula-rasa.jpg
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2012年03月19日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 5

ベルナール「「 Knights in Shining Karma 」ですが、ウッド・ブロックがあるだけですよね、そう思うのですが。それは、パートリッジさんですか、貴方ですか?」
プリンス「たしか、アンディです。あの曲では、私は何も演奏しなかったと思います。素晴らしい歌です。私は、あの題名が好きです。」
ベルナール「「 Frivolous Tonight 」ですが、少し前に私はムールディングさんと話したのですけれど、その時、貴方はブラシで演奏したのかどうかと言うことを、ムールディングさんに聞いたのです。と言うのは、私には、ブラシを使っている様に聞こえたからです。」
プリンス「ブラスティック ( Blasticks ) を使ったと思いますよ。「 IN Another Life 」でも、ブラスティックを使いました。その二曲を、コリンと一緒に、一日で録音したのだったと思います。確かではないのですけれどね。でも、とても速く仕上げたのです。」
ベルナール「なるほど、ブラスティックと言うことでしたら納得出来ます。と言うのは、ブラシなのか、スティックなのか判別出来なかったのですから。それに、幾つかの部分に分けて録音したと言うのも、理に適っていますね。ブラシ、ブラシスティックから普通のスティックに変えるのが簡単ですから。」
プリンス「そうですね。もちろん、時には、私はブラスティックをひっくり返して使いましたけど。ブラスティックは、木の柄ですから。[ ブラスティックの持ち手の方を普通のスティックの様に使ったと言うこと? ]
 この二枚のアルバムのコリンの歌は、本当に Kinks のようですね。「 Sunny Afternoon 」の感じですね。四つ打ちの、ボン、ボン、ボン、ボンと言う感じ。( 笑い ) コリンの曲は、演奏するのが楽しかったです。それに、アンディと比べて、コリンとは楽しくいられます。( コリンを真似て ) 「ああ、いい、とってもいい。それでいいよ。」 アンディだと、一つのパートに、6時間7時間かけたのですけど、コリンとは、一日で、少なくとも二曲録音しましたからね。」
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2012年03月17日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 4

ベルナール「それでは、それぞれの歌についてお話し下さい。「 River of Orchids 」では、ドラムは全くないですよね、違いますか?」
プリンス「ですが、なんて素晴らしいパーカッションの曲なのでしょう! 滴る水滴のパーカッションなんて、とても独特ですよね。デモ・テイクでも第一曲目だったことは確かです。その構築の仕方があまりに見事だったので、衝撃を受けたことを覚えています。」
ベルナール「そして、弦楽のピッチカートが、それ本来の力を発揮して、とても打楽器的です。」
プリンス「ええ、とても打楽器的です。」
ベルナール「パートリッジさんとは、ドラムやパーカッションを加えることが出来るかどうか、話し合わなかったのですか?」
プリンス「私はパーカッションを加えることを主張したのだっと思います。ですが、結局、彼は必要と思わなかったのだと思います( 笑い )。もしかすると、アンディは、弦のピッチカートだけで十分だと言う考えだったのでしょう。驚嘆すべき曲です。私はこの曲が大好きです。」
ベルナール「ええと、「 I'd Like That 」については、もうすでにお話になったので、「 Easter Theatre 」についてお話し下さい。大まかなヴォーカルとガイド・ギター、それに、頭の中にあるデモ・テイクより他に、何の参照もなしに、この曲のドラム部分を貴方が録音された、と言うのは、私には考え及ばないことなのですが。」
プリンス「私たちは、この曲をたくさんの部分に分けて録音したのです。実際、いくつかの曲で、部分に分けて録音しました。この曲については、例を挙げれば、シンバル・スウェル [ シンバルを轟かせる様に鳴らすこと、曲の冒頭や、何箇所かで使われています。 ] だけで、一つのトラックをまるごと使ったのです。フロア・トムを使って、ティンパニのロールのように聞こえる音と一緒に聞こえるでしょう。
 アンディに覚えているかを聞いてみたいですねえ ( 笑い )。私は、彼が「全然そうじゃない!」って言うのが嫌でしたから。」
ベルナール「( 笑い ) ですけれど、私がパートリッジさんと話した時には、「このことについては、プレイリーに聞くべきですよ。」と、何度か言われたのですよ。」
プリンス「( 笑い ) そう、それは良かった。…、そういうことにしましょう。
 たくさんの部分に分けてやったことを覚えています。彼はこんな風に言ったものでした。「オーケー、これは、あの部分にぴったりだ。」それから、アンディは聞くのです。「疲れちゃった? 背中を踏んだげようか。」彼は、背中のマッサージが上手いのです。」
ベルナール「 ( 信じられない風で ) 本当に、背中を踏んだのですか?」
プリンス「そうです、スタジオの床でです。アンディは上手いのです。私は、一日中ドラム・キットに座っていて、録音をしていたのですから、休憩が必要だったのです。それで、「紅茶がいい、背中踏む?」になるのです。( 笑い )
 朝には、全員が揃って朝食を摂って、マーマイトを塗ったトーストを齧りながら、『テレタビーズ / Teletubbies』[ BBC で放送されていた幼児番組 ] を見るのです。たぶん、ちょうどその頃放送が始まったのだと思います。それから、スタジオに入るのです。で、録音を初めて、10時頃にお茶をします。それから、昼食。それから、また、夕食まで仕事です。そうして、10時か11時頃まで、録音をするのです。これが一ヶ月毎日でした。」
ベルナール「へえ、そうして、貴方は給料を稼いだのですね。」
プリンス「ですが、私は小切手の金額さえ覚えていないですよ ( 笑い )。ですが、イギリスにいる間、私は何もかもに神経が過敏になっていました。時差ぼけだったのです。一週間かそこら前にデモ・テイクを聞いて採譜した譜面を読んで、何とか思い出そうとしていたのを覚えています。私は、早朝の3時に目が覚めて、5時か6時まで起きていたのです。それから、8時まで寝て、そしてスタジオに行くのです。」
ベルナール「XTC が貴方を直ぐにスタジオに入れて「 I'd like That 」を録音させた、と言うのに、私は、とても驚いています。と言うのは、西海岸から着いたばかりで、飛行機に乗っていたと言うことは目に見えていて、時差ぼけに違いない、と言うのは分かる筈ですから。」
プリンス「ええ、でも、私たちは、本当に、スタジオに直行したのです。」
ベルナール「飛行機では眠れましたか?」
プリンス「大抵、眠られます。」
ベルナール「それはいいですね。私も眠ることが出来ればいいのですが。」
プリンス「エコノミー・クラスでも、中央座席でも、私は眠られます。テーブルに打ち臥して、眠りに落ちるのです ( 笑い )。それも、薬を使わずにですよ!」
ベルナール「 ( 笑い ) それで、「 Easter Theatre 」では、貴方は、部分に分けて、音楽を構築したと言うことですけれど、パートリッジさんは、彼がしようとしている曲の感触について、何か特別なことを話したのですか?」
プリンス「アンディは、極めてオーケストラルな交響的なものこそを望んでいました。つまり、芳しい花々の薫りとチョコレート・ウサギの匂いの満ちた、復活祭の日の教会を思わせる様な、そんな感覚です。( 笑い ) 私は、そのようなのは好きですね。本当に、この歌は大好きです。」
ベルナール「この歌のある部分は、私に、ビートルズを思わさせます。特に、とても鈍くて響きのないドラムの音がビートルズを思い出させるのです。貴方は、ドラム・キットに、何か特殊な仕掛けをしたのですか? それとも、録音後の処理なのでしょうか?」
プリンス「それぞれの録音の前にドラムを録音していた時に、アンディが、プロデューサーのすぐ後ろにくっつく様に座っていたのを覚えています。確かに、チューニングをしていました。彼は、どういう音にしたいか、さんざん私に説明したのです。「この音を上げて、この音を少しだけ下げて、これを叩いて、あれを叩いて。」と言って、音の調整に長い時間を費やしたのが思い出されます。
 この歌に関しては、たぶん、トムのようであるよりもティンパニのように、少しくぐもった感じにしたのかもしれませんね。今日、これを聴くと、まるでティンパニかオーケストラのドラム・アンサンブルの様に聞こえるのに驚きます。」
ベルナール「私は、貴方がオーケストラのパーカッションを使ってオーバーダブをしていたのかと思っていました。」
プリンス「もしかしたら、XTC が後でアビー・ロード・スタジオに行った時に、オーケストラで何か加えたのかもしれません。私自身は、オーバー・ダヴは全くしていません。各部分を別々に録音はしたのですけど、それはそれで、ほとんど合成、オーバー・ダヴのようですけれどね。」
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2012年03月16日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 3

ベルナール「スネアは一つだけだったのですか、それとも、ヤマハに何種類か注文したのですか?」
プリンス「数張りです。真鍮のスネアと、二張りの別の種類の木製のスネアです。」
ベルナール「それぞれ、深さも違ったのですか? どういう種類の木材なのです?」
プリンス「深さも材質も違ってました。樺と楓でした。それらを全部使ったことは確かです。少なくとも、アンディとプロデューサーのヘイデンとエンジニアのバリー・ハモンドの前で、全部を試してみました。」
ベルナール「樺のドラム・キットだったのですか?」
プリンス「思い出す限り、樺だったですね。」
ベルナール「それは、貴方のお好みなのですか?」
プリンス「私がヤマハから最初に手にしたのが、樺でした。それ以来、ずっとそれが好きなのです。同じくらい好んでいる、楓のいいドラム・セットも持っています。ですが、楓のセットは、樺の様なアタック感がないのです。楓は、温かい音色で、特定の曲調にはよく合っています。私は、橅のドラムも好きです。樫のドラムも好きです。…、私は、何でも好きなのです! ( 笑い ) それぞれ、別の理由で好きなのです。樫のドラムは、どのドラムよりもアタック感が強いのです。とても、大きな音が出ます。」
ベルナール「最も堅い木材だからでしょうか?」
プリンス「そうだと思います。どれも、素晴らしいドラムです。ですが、楓は、特別な温もりがあるのです。樺は、私には他と比べ難い音があるのです、もう長い間、樺のドラムを使っていますから。橅は、…、実際には、私は全部が橅のドラム・セットを演奏したことがあるかどうか、よく覚えていないのですけれど、何回か、橅のスネアを使ったことがあります。とても好きです。ヤマハの、Akira Jimbo モデル 13×7 の楓のスネアを持っています。それは、はじける様なファンクの音楽に本当によく合うのです。」
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2012年03月15日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 2

ベルナール「「 I'd like that 」については、最初、ドラムでやってみたのですか?」
プリンス「たぶん、そうだと思います。ドラム・セットに座って、極く簡素な、マーチングのスネアのような演奏を試してみたのです。でも、アンディが、手の方が良さそうに思うと言ったのです。」
ベルナール「そうですか、それで、バンドが主要な伴奏を録音する前に、貴方がドラムズの部分を録音したのですか? つまり、おおまかなヴォーカルと、ガイド・ギターだけでと言うことですが。」
プリンス「そうです。大抵は、私がドラム・セットに座っている間、アンディは側にいました。彼は、大まかなギターとドラム・マシーンで録音をしていたのですけれど、二曲程、それと大まかなヴォーカルに沿って、演奏しました。私がアンディの側に座ると、彼は、まず、曲をどうやるかを見せてくれました。もちろん、私たちは、デモ・テイクも参考にしました。それから、私は演奏したのです。アンディは、その間ずっと、私を操縦しているようでしたね。
 一日に一曲以上録音したとは覚えていません。スタジオには、丸一ヶ月いました。それで、全部を録音したのです。「 Fruit Nut 」「 Frivolous Tonight 」「 In Another Life 」をコリンが録音する時には、アンディとコリン自身を除いては、誰もほとんど演奏はしませんでした。
 それらの曲では、コリンの大まかなヴォーカルとアコースティック・ギターのテープに沿って、一人だけで演奏しました。」
ベルナール「グレゴリーさんは、ピアノとか、何かしなかったのですか?」
プリンス「デイブは、ピアノをオーバー・ダヴィングしたのだと思います。何曲か、ピアノを弾いていたのを覚えています。コリンの三曲の中の一つがそれだったと思います。」
ベルナール「ピアノの印象が強いのですけれど。」
プリンス「ええ。でも、私が、デイブがピアノを弾いているのをちゃんと覚えているのは、一回だけです。デイブは、ギターの部分を一つか二つ弾いていたと思います。ちょっとだけの重ね録りですね。たぶん、デイブは、そんな風では、楽しくなかったのだと思います。XTC のメンバーは、私がいる間には、ドラムを録音することに集中していましたから。」
ベルナール「そうですか、貴方の滞在は一ヶ月だったのですね。それで、ドラムの部分は出来上がったのですか?」
プリンス「ええ、上手くいきました。私たちは、二枚のアルバム[ 『 Apple Venus 』と『 Wasp Star 』 ] の歌、全部を仕上げたのですけれど。ですが、XTC は、『 Wasp Star 』に入れられる曲は、私のドラムは他のものに取り替えたのだと思います。私は、四曲を演奏したのですけど。」
ベルナール「ええ、「 Stupidly Happy 」「 In Another Life 」「 My Brown Guitar 」で演奏していますね、それに、XTC のカタログの最後の曲「 The Wheel and Maypole 」もです。」
プリンス「あの曲には、私は当惑しました。その理由は、…、忘れました ( 苦笑い ) 。でも、私が演奏した、他の曲のことは覚えているのですけれど。それらの曲は、どの曲も、結局は彼らが仕上げたものよりもよくはなかったかもしれないのですけれど、十分な仕上がりだったと思います。でも、私がこのようなことを言ってもいいのか知ら? 私は、アルバムの全ての事情は知らないのですから。
 『 Wasp Star 』がリリースされたのは、もっと後ですよね。約一年間は、留められたままだったですよね。」
ベルナール「ええ、すべきことがまだたくさんあったのでしょうね。」
プリンス「私が彼らと録音したラフ・ミックスのテープを持っていればいいのですが。」
ベルナール「そうですか、XTC は、記録の為に、試し録音のテープを送っては来なかったのですか?」
プリンス「ええ、その類いは貰えませんでした。でも、デモ・テイクをまた聞ければいいと思うのですが。出てはいないですよね、確か?」
ベルナール「ああ、『 Homespun 』『 Homegrown 』は、デモ・テイクを発表したアルバムですよ。
 それで、イギリスに貴方が運び込んだ荷物ですが、貴方の楽器を全部持っていったのですか? それとも、借りたのですか?」
プリンス「ヤマハからドラム・セットを、パイステからシンバルを提供してもらいました。それから、パーカッションは、アンディがスタジオに用意していて、それを私たちは使いました。タンバリン、マラカス、そのような物ですね。」
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2012年03月14日

プレイリー・プリンスのアップル・ビーナス回想 1

 Todd Bernhardt さんと Prairie Prince さんとの対談:
( 2009年8月17日公開 )
http://www.myspace.com/xtcfans/blog/505862605


ベルナール「『アップル・ビーナス』のセッションについて、お話し下さい。以前に、貴方は、ちょっとした緊張があったと話されていました。それは、パートリッジさんのデモ・テイクが隅々まで作り上げられていて完全に出来上がっているので、バンドの他のメンバーには、歌をアレンジするに際して、以前にしていたのと同じ程のアレンジへの貢献をする余地がなかった、と言う事実と関係している様に、私には思えるのですが。」
プリンス「私は、アンディの歌は、よく出来ていたけれど、完全に出来上がってはいなかったと思いますよ。 ( 笑い ) 私は、デモの束を郵便で受け取りました。とても興奮しましたね。それがどんなものかとの予想で、私は息が詰まりました。そのに週間くらい前に、XTC は、私に電話を寄越して、彼らが私に送って来る予定のデモを私が気に入るようならば、私がドラムを担当することを確約していたのです。でも、私は「気に入るに決まってますよ。」と言っていたのです。
 それで、私は座ってデモ・テイクを聞いたのですけれど、「私は行く必要があるのだろうか?」と思いました ( 笑い )。ドラムのプログラミングは非の打ち所がなくて、歌は素晴らしいものに聞こえました。ただ一つ、瑕疵があるとすれば、本物の弦楽隊でないということだけでした。それは、アビー・ロード・スタジオで完成されたのですけれどね。」
ベルナール「貴方がデモ・テイクを受け取ったときですけれど、何曲あったのですか?」
プリンス「全部です! 全部ありました、後になって書かれたに曲を除いて全部です。そのに曲は、「 Standing for Joe 」と「 I'm the Man Who Murdered Love 」です。それは、第二部のアルバムが出来た時に書かれたのだと思います。」
ベルナール「ええ、彼らがその二曲を加えたと言うのは面白いことですね、その二曲は、どちらとも、古いものだからです。「 I'm the Man Who Murdered Love 」は、『 Nonuch 』の頃に書かれて、「 Standing for Joe 」は、結局発表されなかった、バブルガムのアルバムのために書かれたものですから。」
プリンス「ええ、本当ですか? 今ここに、デモがあればいいのですが。私は、あのデモ・テイクを見つけられなかったのですよ。自分のテープ・ボックスを探したのですけれど、5,000のテープがあるものですから ( 笑い )。それで、全部をちゃんと分けられてないですから。テープは同じところに見つかるとは思うのですけれどね。デモ・テイクは、たぶん、アルバム『 Apple Venus Vol. 1 』の完成されたものと同じ順だったと思います。」
ベルナール「貴方が受けた依頼についてお話し下さいますか。」
プリンス「確か、デイブが、最初に電話をして、私がイギリスに来て録音に参加したいかどうかを聞いたのでした。それから、すぐに、アンディから電話があって、細かい所を話し合ったのです。「もちろん、絶対にですよ。」と、私は言ったのですけれど。
 アンディとの話しの中で、彼はこのように言いました。「僕たちは色々考えて答えが出せずにいたから、自分たちの最近の三枚のアルバムを聞いてみて、三枚のアルバムのうちで、君のドラミングが、僕らは、一番好きなのだと分かったんだ。」 たぶん、アンディは、あのアルバム『スカイラーキング』が好きだとは言わなかったでしょうね。ただ、彼は、ドラミングが好きだと言ったのです ( 笑い )。その当時でも、アンディはまだ憤慨していたのですね、きっと。
 私は、それで、とても嬉しかったのです。「最高です!」と言いました。アンディは、彼にしてはかなりの金額を申し出たと思います、その当時の私のギャランティとしては、実は少々低めだったのですけど。ですけれど、何が何でも、海を越えて行って、あの素晴らしい音楽家たちと一緒にいられると言う体験をもう一度するのだ、と思ったのです。
 それで、私は仕事を引き受けました。それから、10日後にデモ・テイクが来ました。一ヶ月後には、イギリスへの途上にありました。ロンドンへ飛び、それからタクシーを拾って、いや、誰かが迎えに来ていたのかも、ともかく、自動車で Chipping Norton スタジオに着いたのです。チッピング・ノートンは、コッツウォールドにある小さな村でした。レコーディング・スタジオは、20年かそれくらい前までは、男子校だったのです。そのスタジオでは、それまでには、上品なクラシックのアルバムが作られたのだろうと、私は思いました。
 私が働きそして暮らした環境と言うのは、いくつかの脇部屋、仕切られた部屋のあるスタジオがあって、そのほかに台所がある住居部分があり、側にコテージが二軒付いている、大きな建物でした。とても素敵でした。それで、何もかもが上等でした。私たち全員がそこに住み込んで、仕事をしました。ただ、エンジニアは、毎日通っていたと思います。バンドも、何人かの料理人と管理人、それに、そこに住んでいる庭師と一緒に滞在したのです。
 驚く様な嬉しいことでした。私が到着した最初の日、アンディが出て来て私に挨拶をしたのです。「また会えてよかった。」と彼が言ったのですよ。二人は気持ちよく笑いました。コリンとデイブもその場にいたのです。それから、腰を降ろして旧交を温めて、それから、直ぐにスタジオに入って、最初のトラックを始めたのです ( 笑い )。

 「一緒に演奏するのかい?」と聞きました。アンディは、「いやいや、僕がおおまかなギターを入れて、おおまかなヴォーカルを入れて、そこに、君にドラムを入れて欲しいんだ。」と答えました。私は、どれを最初にするのかを聞き返しませんでした。ですが、それは、「 I'd like that 」だと分かりました。

 ええと、私はあれらの歌を演奏したのですが、それで、どういう順で録音されたか思い出そうとしているのですけれど、何年も経っているので、思い出せないのです。

 「 I'd like that 」は、実際には、ドラムはありませんでした。シンコペーションして腿を打って鳴らしたのです。フラメンコ・スタイルの手拍子で、アンディと私が一緒にしたのだったと思います。それでですけど、ストゥールに座っていた私の腿は、打つ度に、段々と赤くなって行きました ( 笑い )。何度も繰り返して録音したことを覚えています。アンディは、「すごく良い音だ! もっと、もっと叩け!」と、言い続けていました。」
ベルナール「( 笑い ) 他人の腿でするのだから、言うのは簡単ですよね。」
プリンス「その通り!」
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2011年10月20日

apple

 古典ギリシャ世界では、女性が男性に林檎を投げつけるのは、求愛の印。


Θεόκριτος 『 Ειδύλλια 』の第五歌「 Βουκολιασταί 」の、6行から、


Βάλλει τοι, Πολύφαμε, τὸ ποίμνιον ἁ Γαλάτεια
μάλοισιν, δυσέρωτα καὶ αἰπόλον ἄνδρα καλεῦσα・



ポリュペモスよ、ガラテイアが君の羊にリンゴを投げて、
恋に疎い羊飼いだと言っている。   ( 古澤ゆうこ訳 )




『エティオピア物語』第三巻 3-8の中の、

Καί οι γυναίκες του λαού, αυτες που δεν μπορούν με την εγκράτεια να κρύβουν το πάθος της ψυχής, τον έραιναν με άνθη και με μήλα, με την ελπίδα ότι έτσι θα κέρδιζαν από κείνον κάποια εύνοια・


そして、庶民の女性たちは、魂の熱情を隠すような節度ある態度ではいられないので、若者に花や林檎を撒きかけるのです。
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2011年09月04日

喜びと悲しみと

 私は、アルバム『 Apple Venus 』は、CDで買って聴きました。ビニール盤は持っていません。後に Idea が出版した、シングル盤コレクションになった『 Apple Box 』は買ったのですけれど。

 ですので、アルバムも、CDのフォーマットで聞いていました。『 Nonsuch 』は、フォーマットとしてCDを前提にアルバムが構成されていると考えていましたから、『アップル・ビーナス』も、CDフォーマットだけで聞いていました。
 ところが、『 Vinyl listening project 』というブログに、『アップル・ビーナス』が取り上げられて論じられているのを読んで驚きました。
 『アップル・ビーナス』は、ビニール盤のA面・B面の構成で考えられるように、解説してありました。A面が Happy-side、B面が Sadness-side と言う捉え方です。そして、ムールディングの歌、A面の「 Frivolous Tonight 」が幸福感そのものの歌で、B面の「 Fruit Nut 」が悲しみ、苦しみからの回復を歌う歌である、と主張されていました。
 私は、その説明に深く納得してしまいました。

 これまで、私は、グレゴリーの意見、『アップル・ビーナス』はパートリッジのソロ・アルバムにすべきだった、と言うのに賛成でした。と言うのも、ムールディングの歌が、パートリッジの歌と合っていないように感じることがあったからです。
 ですけれど、上のような聞き方を示唆されると、ムールディングの歌がパートリッジの歌をまとめているように思えます。


 
 『アップル・ビーナス』を取り上げている『 Vinyl listening project 』の記事は、
http://vinyllisteningproject.wordpress.com/2011/08/09/apple-venus-volume-1-xtc/
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2010年03月14日

I'd like that 訳

 パートリッジの「 I'd like that 」。スタンダード・ナンバーの「 My Favorite Things 」を思いださせるような楽しい歌です。「 My Favorite Things 」の音形を反転させて調性を変えれば、「 I'd like that 」になると言うことはないでしょうけれど。このような歌、パートリッジはこれまでにも書いています。「 Rocket from a Bottle 」「 Yacht Dance 」「 Ballet for a Rainy Day 」、少し違いますが、「 Me and the Wind 」も。

 歌詞には古今の恋人たちが並べられていますが、その名前には、別の意味もあり、それも、使っているようです。
 Victoria は、英国の女王ですが、勝利の意味も。
 Hector は、ギリシャ神話の英雄ですが、弱いものいじめの意味も。
 Nelson は、英国の海軍提督ですが、レスリングの技、後ろから相手の首を押さえる、の意味も。

 歌は、エロティックな面もあります。

 拙訳です:






こんなことをしてみたいんです、
私たち二人で、どこかの小径を自転車で降って行くというのはどうです、
こんなことをしてみたいんですが、
私たち二人で、降る雨の帳に自転車で突っ込むと言うのはどうです、
マッキントッシュ・レインコートも羽織らず、濡れるにまかせて、
私はアルバート公ですね、貴女がヴィクトリア女王ならば、
( 我らの勝利、ハッハ )
私たちは可笑しがるでしょうね、滴が一滴当たる毎に、私が伸び上がってしまうでしょうから、
本当に高く、天高く伸び上がるでしょう、実際にある丈高いもののように、
言って下さいな、「ひまわり!」と。

こんなことをしてみたいんです。

こんなことをしてみたいんです、どうお思いです?
私たち二人で、私の家の暖炉の前に横たわるというのはどうです、
こんなことをしてみたいんですが、
貴女は、私を火箸の鉤から落として下さいますか、
私は焼き上がっているでしょうから、
貴女がトロイアの王女ヘレネーならば、私はトロイアの王子ヘクトールにはなりません、
( 貴女に辛く当たったりはしません、アア )
私たちは可笑しがるでしょうね、焔の舌が一舐めする毎に、私が伸び上がってしまうでしょうから、
本当に高く、天高く伸び上がるでしょう、実際にある丈高いもののように、
言って下さいな、「ひまわり!」と。

こんなことをしてみたいんです。

あまりに笑うものだから、私の顔は二つに割れてしまうでしょうね、
そうしたら、貴女が接吻の糊で付けて下さるでしょう、
こんなことがしたいんですが、
そう、こんなことがしたいんです。

こんなことをしてみたいんです、どうお思いです?
私たち二人で、寝台の上を漂うというのはどうです、
こんなことをしてみたいんです、どうお思いです?
貴女が私の腕枕で眠っている間に、
私が貴女の心の中、想像の中を櫂を漕いで巡るというのはどうです、
貴女がハミルトン夫人ならば、私はネルソン提督ですね、
( 貴女の頭を後ろから抱えて、なんて楽しい! )
私たちは可笑しがるでしょうね、私が櫂を一回漕ぐ毎に、私が伸び上がってしまうでしょうから、
本当に高く、天高く伸び上がるでしょう、実際にある丈高いもののように、
言って下さいな、「ひまわり!」と。

貴女がそう言うのを私に聞かせて下さいな!

言って下さいな、
「貴方は、向日葵になる、
私の雨で伸びていくでしょう」と、
もう一度言って下さいな、
「ひまわり!」と。
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2010年03月12日

Hector and Helen of Troy

 「I'd like that」、もう一組は、ヘクトールとヘレネー。これは、夫婦でも恋人でもありません。歌詞にも、「I wouldn't Hector if you'd be Helen of Troy / もし君がトロイアのヘレネーだったら、僕はヘクトールにはならないよ。」と。
 ヘクトールの妻は、アンドロマケー。ヘレネーの夫は、パリス。パリスは、ヘクトールの弟。
 歌詞では、Hector が、ギリシャ神話の英雄 ヘクトールの意味と、普通名詞の「弱いものいじめをする人」の意味の両方を同時に使っています。


 映画では、『 Helen of Troy 』。1956年の公開。監督は、Robert Wise 。ヘレネー役は、Rossana Podestà 。ヘクトール役は、Harry Andrews 。

Helen of Troy (1956)

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 他に映画では、Μιχάλης Κακογιάννης ( Mihalis Kakogiannis ) 監督の『 Τρωάδες ( The Trojan Women )』。1971年。
 これは、エウリピデスの悲劇で、トロイア戦争の後の物語ですが。
 ヘレネー役は、Ειρήνη Παππά ( Irene Papas ) 。

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2010年03月11日

Emma, Lady Hamilton and Horatio Nelson

 パートリッジの歌「I'd like that」のもう一つのカップル、ホレーショ・ネルソン提督とエマ・ハミルトン。英国が誇る英雄と一世を風靡した美女のカップルなのですが、公娼出身のエマは、ウィリアム・ハミルトン卿の妻であり、ネルソンとは愛人関係。三人の奇妙な同居も世間の知る所でもあります。また、エマは不幸な死を迎えます。この楽しい歌に相応しいのかどうか。
 エマは、モデルとしても知られていて、その相手の中には、文豪ゲーテも。

 エマとネルソンの恋愛は、映画にもなっています。『That Hamilton Woman ( 邦題:美女ありき )』。1941年の公開。監督は、アレクサンダー・コルダ Alexander Korda 。エマ役は、ヴィヴィアン・リー。

That Hamilton Woman (1941)

( 以前に備忘したと思っていたのですが )

 YouTube にあるトレイラー:





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2010年03月10日

Albert and Victoria

 「I'd like that」の歌詞に出る、Albert と Victoria 。英国の女王 アレクサンドリナ・ヴィクトリアと、その夫 ザクセン=コーブルク=ゴータ公子アルバートなのですが。
 『 Albert and Victoria 』と言う、テレビドラマが、1970年から71年に、英国のITV で放送されていたそうです。シチュエーション・コメディ。こちらは、19世紀の中産階級の家庭なのだそうです。


Albert_&_Victoria.jpg
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2010年03月08日

Rainwear

 パートリッジの歌「I'd Like That」の歌詞に出る、Mackintosh raincoat 。ホームページを備忘しておきます。アルバムでは、三曲後のムールディングの歌「Frivolous Tonight 」には、Rael Brook shirts が出るのですが、二人は相談して、取り上げているのか知ら。
 『Skylarking』にも、黄色のレインコートが出てました。

 マッキントッシュ・レインコートは、日本の女性に人気があると言うことですが。

Mackintosh Rainwear



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2010年03月07日

Fruit Nut 訳

 ムールディングは、一つのアルバムに数曲の歌を提供するのですが、それは、全く違った面を持つものです。ただ、このアルバム『 Apple Venus 』の二曲「 Frivolous tonight 」「Fruit Nut」は、一見、似ているように思えます。両方とも、愚者礼賛をしているように思えます。それでも、やはり、何か違う次元のような気もします。

 「Fruit Nut」、歌詞は、短い言葉の連なりです。薄くて短い短冊のような言葉なのですが、指物名人の品のように、どのように繋がっているのかが分からないほどの巧みさで、一体化しています。言葉が、水平方向、垂直方向に複雑に絡んでいるのですが、その複雑さをまったく感じさせないで、ただの小さな箱のように見せています。

 いくつかの食べ物と楽器が並べられて、イメージを織りなしています。
 fruit & nut ( チョコレート )、苺、ラズベリー、ストロベリー・フール ( デザート )。それに、 bud ( 芽 )と言う植物用語。
 fruit →flute フルート、hoot 喇叭。

 また、どの語にも、いくつかの意味があり、それも、上手く連想に使われているように思えます。
 hobby は、ハヤブサ類のうち、小さなものを指す語でもあります。
 ところで、歌詞の中には、nut は出ないのですが、、


拙訳です、






看板「畑ニ居リマス」

畑仕事の最中なんです、ボクの「愚者」を育てているんです、
みなさん、興味の対象を何か持つべきですよ、( おっ! ハヤブサだ )
健康でいるには、独り用の小屋が要りますよ、( 外聞は脱ぎ捨てようっと ) 。

新芽に殺虫剤を撒いている最中なんです、ボクの「未生」に湯浴みをさせているんです、
病気に罹らないようにしなくてはいけませんよ、
殺虫剤を混ぜているんです、家内は何も言いません。

ボクのことを、本流から外れている、
そうでなければ、ユルユルの土台の上の空っぽ頭な男、
と言う人もいるね、( あ、ストロベリー・フール、食べたくなっちゃった )
でもいつか、そう言った人たちも解ると思う、
そしたら、当て擦りでも言おう、おならでも嗅がせてやるかな、
黄金の林檎、末広がりの梨というのは、ボクのことだからね。

というわけで、畑仕事の最中なんです、
誰かを大笑いなんかさせませんよ、
畑仕事はボクを落ち着かせますからね、穏やかにさせますからね。
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2010年03月01日

Fruit Nut

 ムールディングの「 Fruit Nut 」、少しばかり違うのですが、英国に、名前の似たチョコレートがあります。Fruit & Nut 。Cadbury 社のチョコレート菓子。1928年から続いている菓子です。
 ムールディングの歌、『 Wasp Star 』の「 In Another Life 」にも、Milk Tray が出てますし、チョコレートが好きなのかしら。

Cadbury: Cadbury Chocolate

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a strawberry fool

 ムールディングの「 Fruit nut 」、歌詞に strawberry fool と言う語があります。歌詞の内容とは、直接関係ないのですが、strawberry fool という、16世紀頃から伝わっている、英国のデザートがあります。
 歌の途中に、ちょっと思い浮かべれば、また違った感覚があるのかもしれません。ムールディングが好きなのかどうかは、私は知らないのですが。

 About.com の説明:

Strawberry Fool - Recipe for Strawberry Fool - Fruit Fool Recipe


 YouTube には、strawberry fool はないのですが、mix berry fool の recipe がありました。

YouTube - How To Make Mixed Berry Fool


 about.com によると、fool は、フランス語の fouler ( 圧しつぶす ) が訛ったものとのことです。
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2010年02月28日

Harvest Festival

 YouTube で、イギリスの小学校の Harvest Festival を探してみました。


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2010年02月27日

Harvest festival 訳

 歌詞の言葉だと、ムールディングの「Fruit nut」にも関連しますし、何より、『 Wasp Star 』のパートリッジの「 Playground 」に繋がるように思えます。これまでの、「 You're the Wish You Are I Had 」なども思い浮かびます。

 歌詞の中で、興味深いのは、パートリッジは、髪型と果物を並列することです。「 Ballet for a Rainy Day 」でも、使っていました。
 「 crops 」ですが、収穫祭ということなので、収穫物のようにも思えます。クロップという、女性のショートカットの髪型の名称でもあります。その双方を言っているのでしょう。

 you をあの娘に変えて読みました。
 拙訳です。



ぼくは、それが今起こっているかのように思いだせる、
ぼくの目には、今でも、演台の回りを飾る花々が見える、
ぼくの目には、今でも、校長先生の椅子の下のブリキ缶の中の桃の作り物が見える、
学校の収穫祭の光景が……。

選ばれた二人の生徒が、ぼくの目には見える、今でも、
二人が手を取り合って講堂の中央に進み出るのが、ぼくの目には見える、今でも。

収穫祭だ、
あれは学校の収穫祭だ、
収穫祭の催しの中でも一番だったのは、
あの娘がぼくに向けた羨望の眼差し、
あの羨望の眼差しは、その学年の間ずっと、ぼくを勇気づけるのに十分過ぎたんだ。

ぼくの目には、今でも、籠を抱えた生徒たちが見える、
ぼくの目には、今でも、校則で、玉蜀黍のように刈られ、こぎれいに櫛を入れられた生徒たちの髪が見える。

収穫祭、
収穫祭の行事の中で何よりだったのは、
あの娘がぼくに向けた羨望の眼差し、
あの羨望の眼差しは、讃美歌集や帆布張りの椅子を越えてやって来た、
あの羨望の眼差しは、その学年の間ずっと、ぼくを勇気づけるのに十分過ぎたんだ。

何ていう年だったんだろう、試験にも失敗したし、髪型も変になってしまった、
あの娘が合格したのは当然だったけれど、それ以来、あの娘を見ることがなくなった、
僕たちはみな大人になった、世間に揉まれ、傷付けられ、罪に問われもした、
そして、思いもかけなかった金文字の招待状、あの娘の結婚式の招待状が来た。

そして、今このとき、ぼくの目には、祭壇の回りを飾る花々がまざまざと見える、
あの娘と新郎が結婚式を挙げる、ぼくはそれを見ている、僕はあの娘の幸福を祈る。

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2010年02月24日

River of Orchids 訳

 繰り返しが多いので、それは省きました。

 「take yourself out to play」、play は、ホースで水を噴出することを言うこともあります。それに近い使い方だと思いました。

 歌詞は、ライオン→サーカス、orchidの orc の部分、 arc ( 弧 )、 ark ( 車、ノアの方舟 ) など、多様な連想が働いているのだと思います。
 ペッカムの薔薇、ペッカムはマッチ銘柄で、その箱に薔薇の絵があるのだそうです。薔薇の香りに加えて、マッチの薫り、マッチ売りの少女の説話などが連想されるのでしょうか。

 拙訳です。


おおーい!
僕は、ピカデリー広場でたくさんの蒲公英が咆哮するのを聞いたんだ!
僕は聞いたんだ! 蒲公英は咆哮するんだ! ピカデリー広場でね、
さあ、一抱えの種の入った袋を持ち上げて出掛けよう、
それを自分たちの手で撒き散らすんだ!
僕は、自動車道路だったところが、蘭の河のようになるのを見てみたいんだよ。

君たちの自動車を道路から押し出そう!
環状線の中で君たちが乗っている自動車、それを押し出そう!
君たちは、自分の尾を追っているみたいだ、発狂した犬みたいだ、
君たちは、果てしもなく回っている、環状線の中で。

草がコンクリートを破って芽吹く、
草はコンクリートより活き活きしているに決まっている、
それは、君の家の裏庭で起こっていることのすべてなんだ、
君は、気分の足元に全世界を持っているんだ、
さあ、君の自動車を道路から押し出そう!

河のような蘭の群生が道路に巻付いてしまった、その日には、
逆立ちになって、ロンドンに入城しようではないか!
河のような蘭の群生が道路を覆い尽くしてしまった、その日には、
歩いてロンドンに入ろう、その日のロンドンは、ペッカムの薔薇の香りがするんだ。

君たちは、出来ることは分かっているだろう、
発狂した犬みたいに回っている自動車を環状線から追い出せる、と。

僕は、自動車が化石になると言う時を夢見ているんだ、
さあ、一抱えの種の入った袋を持ち上げて出掛けよう、
それを自分たちの手で撒き散らすんだ!
僕は、自動車道路だったところが、蘭の河のようになるのを見てみたいんだよ。

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2010年02月21日

Karma

 『 Karma 』という、1986年公開のインドの映画があります。「 Knights in Shining Karma 」とは関係ないのですが。

Karma (1986)





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Knights in Shining Karma 訳

 パートリッジは、歌詞に対を多用します。この「 Knights in Shining Karma 」でもそうです。太陽と月です。ですけれど、一組の対になる、二つのものだけで、この歌詞ができているのではありません。その対になっている一組のものと、対峙する別のものが置かれています、それが、「輝く運命の騎士たち」です。
 この「 Knights in Shining Karma 」は、「 Church of Women 」と同様の女性礼賛の歌のようです。
 女性を礼賛しているのが、「輝く運命の騎士たち」です。それと対峙している「太陽と月」は、女性を虐げているものということでしょう。
 「太陽と月」の対の構成も、面白いものとなっています。通常であれば、暖かいものが太陽で、冷たいものが月なのでしょうけれど、この「 Knights in Shining Karma 」では、それが反対になっています。また、「妬む」「高慢」という形容も、太陽と月が反対にされているように思えます。
( 「Jealous winter sun」と「Swollen summer moon」は相反するものが対にされていますので、Swollen は、ここでは膨れると言う意味ではなくて、「妬む」と反対になるような「高慢」の意味です。 )

 歌詞の語の中での面白みは、「 flame 」が「 brazier 」と、その程度が大きくなっているのに呼応するかのように、「 cold 」が「 cool 」と、その程度を減じさせているところにもあります。



 拙訳です。






輝く運命の騎士たちは、
あなたの焔を見守っています、
鎧となった愛を身に纏って、
騎士たちは変わることなく見守り続けます。

いつでも、あなたの臥所のそばにいます、
あなたが眠っている時でさえ、騎士たちはあなたを守っています、
このような雨を遮って、あなたの魂を守っているのです、
輝く運命の騎士たちは変わることがありません。

つめたく冷やされたヴィシソワーズのような
妬みがりやの冬の凍えた太陽は、
焚き付けにしようと、あなたの微笑みを盗むのです、
太陽は、星を暖める紅蓮の炎を熾そうとするのです。

輝く運命の騎士たちは、
あなたの足を洗います、
瑕疵のない作法で、あなたの足を完璧に美しくします。

いつでも、あなたの台所の脇に控えていて、
紅茶の滴を乾かすのです、
このような熱を遮って、あなたの魂を守っているのです、
輝く運命の騎士たちは、完璧に乾かすのです。

熱く茹で上げられた卵のような
自惚れやの夏の熱した太陽は、
あなたの夢に乱入し、夢を灰にしてしまう、
あなたの静かな眠りから、冷たい一口を盗むのです、
月は、冷たいビール樽を満たそうとするのです。
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2010年02月18日

I Can't Own Her 訳

 トッド・ベルナールさんとの対談で、パートリッジは、この歌は、自然のイメージ、例えば、沸き上る雲のようなイメージがあると言っています。何か螺旋を描いて、あるいは、渦を巻いて蠢動すると言うイメージは、これまでも、「Ballet for a Rainy Day」などにもありました。パートリッジは、雨のイメージを好んで使うようです。
 また、50年代のシガレットのコマーシャルで、男性が一人寂しげにテムズ川を逍遙するというものがあったそうで、そのイメージもあるのだと言うことです。

 この歌の歌詞は、その俯瞰の大きさ、広さに魅力があるのだと感じます。始めに、月の情景があって、そこから見下ろす河があって、その畔に街があって、と言う広大な俯瞰です。ベクトルは反対になるのですが、人の目線に近いところにある屋根の樋に発生している渦、それが、荒漠とした空へ写像されて、雨雲、降りしきる雨のつくる大きな渦になります。そのような自然の大きさが魅力的に描かれているように思います。
 また、その渦が、独りの女性の乱れ髪のイメージとも重ねられているのですが。
 歌詞は、解り難いのですが。
歌の後半は掛け合いになっています、その部分の、I と You は、同じ人物をさしているので、「私」に統一して読みました。
 拙訳です。


ああ、私と言うものは! 弥が上にも、月でさえこの手にと望んだのだろうか。

私はこの河を手に入れた、そこを遡る船人たち誰をも。
私はこの街を手に入れた、そこを滑る酔人たち誰をも。

ああ、だからと言って、彼女は手に入れられないのだ、私と言うものは! 望みもしないのだ、
彼女を手には入れられない、認め難い真実ではあるのだが、
私はそれを雨と共に呑み込もう、
そして、樋は、雨に洗われその虚ろさが露わになる、
空が、吹き荒ぶ雨に洗われた後に、その虚ろさを輝かす様そのままに。

巡って来るどの朝も、巡って来るどの年も、私は得意でいる、
明るい陽光をポケットの中に折り畳んで持ち歩いているのだから。

ああ、だからと言って、彼女は手に入らないのだ、望みもしないのだ、
彼女を手には入れられない、認め難い真実ではあるのだが、
私はそれを雨と共に呑み込もう、
どうやって、彼女の髪の毛を洗い流せるのだろうか、
空から吹き荒ぶ雨がするようには、どうすればいいのだろうか。

彼女を手に入れると入っても、
無論、買うと言うことではない、
金にはまったく関係のないことだ、
単にただ、私は彼女を腕に抱きたいだけだ、
永遠の永遠に、奇怪な望みだろうか? 
何か可笑しいだろうか?

果たされる機会などありもしない望み、
まるで、月をこの手にと望んでいるようなものだろうか、この私は!

彼女を手には入れられない、認め難い真実ではあるのだが、

彼女を手には入れられない、
私が手に入れたもの全てがあったとしても、私が望むものは彼女だけなのだ、
彼女は、私が所有することの出来ない唯一のものなのだ。
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2010年02月15日

Frivolous Tonight 訳

 ムールディングの「Frivolous Tonight」。
 今は、カーニバルの季節ですが、それに似つかわしいようにも思います。陽差しだけが暖かげで、地面から浮いた所に楽しさがあると言うような。
 frivolous は、真面目な内容のないと言うような意味ですが、また、表面だけのと言うような意味でもあります。それを思い浮かべるような語がないかなと考えて、「うたかた ( 泡沫 )」と言う語を思いつきました。でも、そうすると、東洋的な無常観のようになってしまうかも知れません。
 ridiculous は、ラテン語の笑うと言う語が語源なので、そんなふうに変えてみました。

 ムールディングのこの歌は、真面目な取引、商行為から離れた、何の利害も発生しない所に、人間性が見出されると、歌っているのでしょうけれど。記録するような価値はないと思われる、生活の些末な行為、それを寿いで、それこそに、聖的なものが感じられるとも、歌っているのでしょう。

 歌には、商行為に使われる語が選ばれていて、しかも、それを違う意味で使うと言う可笑しみがあります。drive とか。

 拙訳です。





さあ皆さん、僕たちの好きな瑣事について何かお話でもしましょうよ、
アレやコレといった、ちょっとしたこと、
ああ、そう、あの太っちょのうわさ話とか、どうです?

黒ビールは手酌でお願いですよ、
レイル・ブルック・ワイシャツは洗濯に出したままにして置きましょうよ、
契約書にはもう何も盛り込みませんよ、
さあさあ、意味のないちょっとした話しでのたりのたりしましょうよ。

僕たちは、みな、うたかたの身、今夜はね、今夜は流されていくだけ。

さあ皆さん、子供っぽさを隠さないでいましょうよ、
株も明細書も下落にまかせましょう、
さあさあ、しだらになりましょう!

家内のお義母さんを笑う冗談でも話しましょうよ、
でもでも、お義母さんが戸口に立った時の婿殿の跳躍は見物ですよ、
宴は円滑に進んでいますよ、
だから、僕たちは、瑣事について話しましょう。

僕たちは、みな、うたかたの身。

だけど、どうしたっているもんなんだね、
商売のことを話したがる輩って言うのがね、
そんな輩は、玄関まで引き取ってもらいましょうよ、
箒かモップを使ってね。

さあ皆さん、はかないお話をしましょうよ、
ああ、そう、貧乏を陳列しているあの可哀想な奴の話し、どうです?
ソレ、ソレ、ソーレー!
女性たちには、スラックスを履いてもらってですね、
夫君の毛むくじゃらの背中の話しをしてもらいましょうよ。

誰だか、僕たちはちょっとばかり底抜けの笊だと思っているらしいですね、
だけど、今夜は僕たちにとって一番楽しい時に違いないですよ!

僕たちは、みな、うたかたの身、今夜はね、今夜は流されていくだけ。
今夜は笑いのさざめきに流されていくだけ。




2012年7月9日 訂正:
レイル・ブルック・ワイシャツは洗濯に出したままにして置きましょうよ

レイル・ブルック・ワイシャツは脱いで洗濯に出しましょうよ
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2010年01月02日

Easter Theatre 訳

 これは以前に訳してみたもので、その後、検討はしていないのですが。

拙訳です、





黄金の太陽が回りだせば、
大地よ、
貴方の腕からは、
乳首のチョコレート褐色の欠片が溢れだし、
貴方の胸のように脹らむのだ。
大地は目覚める。
野兎たちは、跳ねては、貴方を蹴る。
花々が、熱り立つように昇り上がり、
虹の口の湿った口づけで咲きほころびる。


舞台上手
復活祭登場、卵黄色の衣装。
舞台下手
神の子は既に死んでいる、父なる神は産まれそうだ。
起立
私たちが胸いっぱい息を吸い込み、煙幕を吹き払うと、
新しい生命が現れる。
私たちは、復活の新しい生命に喝采する。

オーディンは樹上に昇り、
私たちのために
キリストに血を降り注ぐのだ。
オーディンは、春の足取りで跳ね回る。
芽吹き咲きこぼれる芽々は
先を争って
耕地を回る。
それらは、回転する台本のプロンプターの指示通り。


復活祭、彼女の帽子の上で、
復活祭、彼女の髪の中で、
復活祭、彼女が何処にでも結ぶリボンに、
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2009年10月29日

Greenman 歌詞 訳

 先日、リフェラ元に「グリーンマン 訳」と言う検索がありました。『Apple Venus』の中心となる歌でもあります。私の読みを書いておきます。

 歌詞は、Idea のLyric にあるものを原歌詞としました。

 この歌は、五月朔日のMay day の頃に行われる、英国古来からの風習、グリーンマンの祭りを歌ったものですが、この歌詞が、その時に歌われるものを踏まえているのかどうかは、私には分かりません。

 この歌は、森・豊穣の神格であるグリーンマンと、土地との関係を歌っていると思いましたので、歌詞で使われている二人称を、「村」としました。当然、スウィンドンのことと考えました。
 Heed the Greenman
 /Heed the Greenman のところ、「 heed 」は、「to pay close attention to」ではなくて、「follow」の意味だと思います。
 lay your head on the Greenman / lay your head with mine のところ、「head」は分かりません。祭儀の時に「head」と呼ばれる供え物があるのか、花嫁のことを言っているのか、丘の意味なのか、あるいは、グリーンマンの面は教会の軒などの高いところにあるので、その頭をグリーンマンの身体へ下ろすことなのかもしれません。「mine」は代名詞ではなくて、鉱山から派生した意味の語だと思います。

 私の拙訳。


森男

唯一なる者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方に傅くことを祝えよ、
あの御方はこの地をを花嫁にとお望みなのだよ、
唯一者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方に傅くことを祝えよ、
永久にあの御方に結ばれるのだよ、私たちの村は。

明らかなことだよ、あの御方は百万年もこの土地を慈しんでおられる方なのは、
唯一者は、百万年以上もずっとおありなのだよ、
明らかなことだよ、グリーンマンは百万年もこの土地に添われている方なのは、
柔らかな地表から、硬い地殻まで、あの御方はこの土地を愛しておられる、
グリーンマンに随いて行くのだよ、
唯一者に従うのだよ。

唯一なる者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方の周りを踊り回ることを祝えよ、
あの御方はこの地をを御子にとお望みなのだよ、
唯一者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方の周りを踊り回ることを祝えよ、
あの御方は野の果実を纏っておられる。

明らかなことだよ、あの御方は百万年もこの土地の慈父であられたのは、
唯一者は、百万年以上もずっとご存命なのだよ、
明らかなことだよ、あの御方は百万年もこの土地の慈父であられたのは、
戸口であの御方に腕を開こうよ。

この村の一等をグリーンマンに供えようよ、
この村を宝物と共に供えよう、
この村の一等を唯一なる者に供えよう、
樫と松で寝所を造ろうよ。

ご覧よ、グリーンマンはキリスト教会の壁の上から接吻を投げておられる、
キリスト教会は、唯一者の呼び声を、知らずに広めているのだよ。

唯一なる者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方に傅くことを祝えよ、
あの御方はこの地をを花嫁にとお望みなのだよ、
唯一者、グリーンマンと呼ばれる者、その御方に傅くことを祝えよ、
永久にあの御方に結ばれるのだよ、私たちの村は。

明らかなことだよ、あの御方は百万年もこの土地を慈しんでおられる方なのは、
唯一者は、百万年以上もずっとおありなのだよ、
明らかなことだよ、グリーンマンは百万年もこの土地に添われている方なのは、
柔らかな地表から、硬い地殻まで、あの御方はこの土地を愛しておられる、
グリーンマンに随いて行くのだよ、
唯一者に従うのだよ。
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2009年09月01日

プロモーションフィルム

 シャドー・キャビネットのスティーブ氏の制作だと思われる、『Apple Box』のプロモーションフィルム。これが実際に使用されたのかどうかは、私は知りません。





 それから、プロモーションフィルムにも使用されている、アビーロード・スタジオでの録音の時の、アンディの様子を撮影したもの、こちらはスティーブ氏の制作とクレジットがあります。


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2009年06月24日

I Can't Own Her

The Neta Dance company による『Apple Venus』のバレー。
「I Can't Own Her」。




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Knight In Shinning Karma

 The Neta Dance company による『Apple Venus』のバレー。

「Knight In Shinning Karma」
By Neta Pulvermacher
Music: XTC
Set: Neta Pulvermacher
Dancers: The Neta Dance Company (Tami Stronach and Jeremmy Laverdure)


http://www.youtube.com/watch?v=WP4ic8dhhXI
posted by ノエルかえる at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | Apple Venus | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月15日

バレー「River of Orchids」

 The Neta Dance company もYouTube にチャンネルを設けています。
いつか、「River of Orchids」のビデオを配信するのでは、と期待していました。
10月27日に
アップロードされていました。




The Neta Dance Company ホームページ:
http://www.netacompany.org/netacompany.org/Home.html
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2008年06月27日

Peckham Rose

Todd Bernhardt 氏とのパートリッジの対談から:

「River of Orchids」の歌詞、「Peckham Rose」は、マッチの名前から、とパートリッジは言っています。
チェコの人形アニメーション作家、ヤン・シュヴァンクマイエル (Jan Švankmajer)
の1966年の作品『Punch And Judy』の中で、
パンチが、蝋燭に火を点けるのに使うマッチが、Peckham Rose です。

パートリッジは、
この歌は、ストリングスのピチカートから発想したと言っています。
そのピチカートのリズムが輪舞を思わせ、
重ねたトランペットのタンギングが車のクラクションを思わせ、
渋滞している道路へと連想が進み、
また、ストリングスの音が、水の音を連想させ、
それに、ノートに取っていた「dandelion roared in Piccadilly Circus」が重ねられて、
ロンドンへと連想が及び、テムズ河が連想され、
この河に花々が浮かぶと言う想像になり、
これが、初めの車の渋滞と取って代わる、という幻想に到るのだ、と。
この多層な連想、旋回+車+水+河+花に、更にマッチの臭いが重なって、面白い、と。
それは、また、dandelion が草であって動物ではないのと同じで、
Peckham Rose が花ではない、という面白さもあるのだ、とパートリッジは言っています。

ピクチャ 1.gif

ebay にも、出品されていました。シュヴァンクマイエル の映画のものとは、違うデザインです。写真は見やすいのですが。ベルギーのマッチのようです。

1432_1.JPG


YouTube に投稿されている『Punch And Judy』:



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2008年05月14日

北斗七星

 昨12月の、Idea フォーラムでのパートリッジのコメントの整理の後は、暫くは、XTC を聴く気持ちも持てなかったのですが、昨晩は、また、どうしても、『Apple Venus』が聴きたくなりました。
 ムールディングの歌は、時間が経てばそれだけ、何度も繰返して聴けばその回数だけ、磨かれて美しさを増すような気がします。『Apple Venus』発表当初の頃は、ムールディングの二つの歌は、パートリッジの圧倒的な聖性の中に埋もれているようでした。また、聴いていくうちに、聖的な『Apple Venus』にはそぐわないように思えて、グレゴリーのパートリッジのソロアルバムにするべきだった、との意見に同意する時もありました。けれども今では、「Frivolous Tonight」は、パートリッジの数の多い歌に勝って、輝く美しさを聴かせています。
 この歌のあまりに簡明な美しさは、そのプロポーションにあるのでしょうか。全体の旋律の構造は、「My Favorite Things」と同類ではないかと思います。もし、コルトレーンのような優れた演奏家がこの歌を演奏すれば、均整の美しさが強調され、この歌の構造が明瞭になるのではないか知ら。
 静かに柔らかく、だけれども、弾んでいるバース。伸びやかなコーラス。翳りのあるブリッジ。この構成、比率が、「Frivolous Tonight」と「My Favorite Things」に共通しているように思えます。
 けれども、どうして、これほどに美しく思えるのか知ら。とても広い空間に、小さな点が整然と並んでいるような美しさなのですが。
 バースの最後の三つの長音、その間合いの妙なのではないでしょうか。
(一連のchew the fat、四連のgo to pot、など)
これは、そのまま、コーラスに重ねられます。コーラスは長音五つと、装飾的な短音二つの七音ですが。
 その音の配列に耳を傾けていますと、頭の中に、北斗七星が浮かんできました。あまりに簡明な形体、だけれど、それだからこそ、悠然としていて、不変の美しさを持っています。
 それに気付いた時、『Apple Venus』中の聖的なパートリッジの歌に対して、これまではあまりに世俗的に感じていたムールディングの歌が、やはり、日常を超えた聖的な声に聴こえ始めました。帰途にふと立ち止まり見上げた空に、北斗七星を見つけた時、ほんの小さな欠片に過ぎない光の点に、宇宙の大きさを感じるのに似て。



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2007年11月19日

strawberry、raspberry

 ムールディングの歌「Fruit Nut」にはいくつかの果物が登場します。
strawberry とraspberry 、それから、apples と pears です。これらの語には、果物の種名と共に、意味する概念もあります。
 「strawberry」は、地上に生るものなので、「価値の低い」とか「低俗」と言う意味があります。あるいは、「痛みやすい」と言うこともあるのか知ら。また、語に含まれている「straw」は、「空虚な」と言う語感もあるでしょう。
 「raspberry」は、酸っぱさで尖らした時のような口で発語して、軽蔑の意味を表します。
「blow (you) a raspberry」での「raspberry」は、「raspberry tart」です。この「tart」が「fart」の洒落になっています。ですので、「お前に屁を吹付けてやる」と言うような意味です。
 apples と pears は、上の二つの果物と違って、「実り」「価値ある」と言うような語感です。

 ですので、歌詞のこのコーラス部分は、

僕のことを本流から外れている、
頭の空っぽの下らない輩と言う人もいるよ。
でも、いつの日にか、その人たちも分かるよ。
そうしたら、おならでも嗅がせてやろう。
だって、価値ある者は僕なのだもの。

と言うような意味です。




2012年1月11日追記:

apples and pears は、英語で、階段の意味もあるのですが。
British rhyming slang stairs
posted by ノエルかえる at 12:01| Comment(0) | TrackBack(0) | Apple Venus | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月31日

A Ballet : River Of Orchids

 「River Of Orchids」にバレーを付けたThe Neta Dance Company 、時折、Idea のニュースアーカイブから、webページを見ていました。一度、そのバレーを見てみたいものです。
 URL をブックマークしていませんでしたので、ここに備忘しておこうと思います。

 バレーは、2000年2月に行われたニューヨークでのThe Orchid Show で上演されたもの。バレー団は、VHS は販売しているようなのですが。

The Neta Dance Company

River Of Orchids
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2007年10月11日

グリーンマン

 グリーンマン伝説については、このブログにも備忘していたと思っていたのですけれど。ないようなので、日本で出版されている書籍を、また、備忘します。

『グリーンマン伝説』カサリン・バスフォード   阿伊染 徳美 訳
社会評論社  2004年07月刊

『The Green Man』Kathleen Basford
Ds Brewer  1998


『グリーンマン―ヨーロッパ史を生きぬいた森のシンボル』ウィリアム アンダーソン
板倉 克子 訳
河出書房新社  1998年03月刊

『Green Man: The Archetype of Our Oneness With the Earth』William Anderson
Harper San Francisco  1991年刊



『グリーンマン伝説』 on Amazon.jp

『グリーンマン―ヨーロッパ史を生きぬいた森のシンボル』 on Amazon.jp




追記:
やはり、以前に備忘してました。

祭り:注記

posted by ノエルかえる at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | Apple Venus | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする